https://www.ninben.co.jp/katsuo/katsuobushi/eiyo/
和食に不可欠あの素材、じつは「世界一」だった
「和食」は世界文化遺産に登録され、世界中から支持されている。
しかし、日本は高度経済成長以降、食が欧米化に傾き、和食離れが懸念されているのも事実。日本人誰もが和食を理解しているかというと、「Yes!」と言えないのが現状です。
日本人なら一度は食べたことがあって、家庭に必ず置いてありそうな一般的な食材でも、世界ではまだまだ知られていない食品もあります。
日本の基本調味料「さ・し・す・せ・そ」、この中の発酵食品は「す・せ・そ」です。
「す」は酢、「せ」は醤油(せうゆ)、「そ」は味噌。
基本調味料ではありませんが、和食に欠かせない「だし」の素材にも発酵食品が使われているのです。
その素材、じつはあることでギネスにも登録されたのです。
何だと思いますか?
ギネスに登録! それは世界一硬い食べ物
日本人に独特の味覚「うま味」は、だしの文化で発見されたと言われています。グルタミン酸、イノシン酸、グアニン酸が代表的です。素材に使われるのは、主に昆布、かつお節、干ししいたけなど。そのうち「かつお節」は、世界一硬い食べ物としてギネスに登録されました。
さらに、あまり日本人でも知らない人がいるかもしれませんが、かつお節は発酵食品でもあります。
かつお節は乾燥で硬くなっていると思われていますが、味噌、醤油、清酒と同じように麹カビによって発酵して硬くなっています。漢字で「魚」へんに「堅い」(鰹)だけありますね。
© Mocosuku Woman 提供 和食に不可欠あの素材、じつは「世界一」だった
「かつお節菌」はうばって、分解して、生みだす
カビは他の微生物よりも水分が必要なので、麹カビは湿度の高い場所を好みます。かつお節菌も麹カビの一種ですが、かつお節菌はかつおの中の水分も餌にして増殖していいきます。下処理したかつお節はもともと水分含量が低いために、世界一硬い食品になるのです。
かつお節が保存に適しているのは、かつおの水分がかつお節菌に吸われ、乾燥と同時に表面が抗酸化物質に覆われるからです。こらが劣化防止になる、いわば、かつお節自身のアンチエイジングですね。
かつお節菌は発酵の段階で作り出す様々な酵素でたんぱく質を分解し、アミノ酸にします。グルタミン酸や人体内では作られない必須アミノ酸も含まれ、さらに、かつお節のうま味成分であるイノシン酸は、かつおの脂質がかつお節菌の酵素によって分解されたものです。
かつお節菌が付けられるまでの長い道のり
かつおの加工工程はざっくり言うと、
1)切る
2)煮る
3)燻る
4)醸す
の4段階です。
かつお節菌が付くのは、一番最後の段階。
加工工程の段階により、呼び方も変わります。煮て干しただけを「生利節(なまりぶし)」、燻製したものを「荒節(あらぶし)」、荒節にかつお節菌を付け、発酵工程を繰り返し熟成度合いによって「枯節」、「本枯節」、「仕上げ節」と呼んでいます。
かつお節で取っただしは、もちろん動物性ですが、他の動物性のだしと違うことに気付きますか?
鶏がらや豚骨と違って、脂も浮いておらず透き通っていますよね。
これが、カビによる発酵の力です。
日本人には当たり前すぎて、疑問に思うこともないですが、和食には日本人にもあまり知られていないことがあるのです。
こんな「かつお節雑学」、お酒の席などで話してみると、意外とウケるかもしれませんよ。
参考 https://www.ninben.co.jp/katsuo/katsuobushi/eiyo/