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ユビキノンと複合体3

2014-09-07 15:11:17 | ラジカル

ユビキノン(略号:UQ)とはミトコンドリア内膜や原核生物の細胞膜に存在する電子伝達体の1つであり、電子伝達系において呼吸鎖複合IとIIIの電子の仲介を果たしている。ベンゾキノン(単にキノンでも良い)の誘導体で、比較的長いイソプレン側鎖を持つので、その疎水性がゆえに膜中に保持される。酸化還元電位 (Eo') は+0.10V。ウシ心筋ミトコンドリア電子伝達系の構成成分として1957年に発見された。還元型のUQは『ユビキノー』と呼称していることが多い。別名、補酵素Q、コエンザイムQ10(キューテン)、ビタミンQ、CoQ10、ユビデカレノン等、多種多様な名前が付いている。UQの酸化還元に関わるベンゾキノン誘導体部位はパラ型に酸素原子が結合しており、C2にはメチル基、C5,C6にはメトキシ基が結合している。C3にはイソプレン側鎖が結合しており、生体膜中に保持されるように長い炭素鎖を形成している。化学構造を以下に示す」。

Ubiquinone構造式

イソプレン側鎖の数(n=)は高等動物では10、下等動物では6~9であり、イソプレン側鎖が長くなればなるほど黄橙色を呈するようになる。なおn=10のユビキノンは『UQ10』と、イソプレン側鎖の数字を筆記する。UQは二電子還元を受け(ユビキノールとなる)、一電子還元を受けて中間型(ユビセミキノン)も形成する。中間型はプロトンキノンサイクル機構でその意義があるとされている。UQの酸化還元様式は下図の様になる。

 Ubiquinoneredox.PNG

酸化型のUQは275nmの波長の電磁波を吸収する。したがって、UQに電子伝達を行う酵素群の活性測定はこの波長に類する吸収帯を使用する。UQはミトコンドリア内膜や原核生物の細胞膜から単離され、膜内の電子伝達に関与することが古くから知られている。特に電子伝達系、呼吸鎖複合体I(NADH脱水素酵素)から呼吸鎖複合体III(シトクロムbc1複合体)への電子伝達に寄与している。

 呼吸鎖複合体Iにおける反応

NADH + ユビキノン(UQox) → NAD+ + ユビキノール (UQred)

 呼吸鎖複合体IIIにおける反応

ユビキノール + シトクロムc (Cytox, Fe3+) →UQox+ Cytred(Fe2+)