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深泥池(みぞろがいけ)ーウィキペデイアを編集・加筆

2014-02-21 10:11:24 | まち歩き

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図1 深泥池周辺の地図。深泥池の右側に宝ヶ池、左下に、加茂川に隣接した半木(なからぎ)神社の池が見える。

京都の北山には大小さまざまな池が点在し、水鳥の楽園になっている(図1)。大は宝ヶ池で鴛鴦の飛来地である。二番目は鴨川GCにある池(名前は不明)、次が深泥池(みぞろがいけ)である。小さいが有名な池に太田の沢や半木(なからぎ)神社の池などがある。人間生活では分からないが、鳥瞰図で見ると良く分かる。テラスから空を眺めていると、時々、白鷺や川鵜が飛んでいるのを目にすることがある。人間にとっては水鳥が京の空を飛ぶことが奇妙に見えるが、水鳥にとっては、鴨川を中心に、あちらこちらの池を飛び回ることは生活習慣の一環なのである。そういえば、ユリカモメは遥かカムチャッカから鴨川に毎年遣ってくる。鴛鴦も琵琶湖、宝ヶ池を通って、深泥池まで遣って来る。何れも”陸続き”、でなく、”空続き(ソラツヅキ)”なのである。

宝ヶ池の西に位置する深泥池は周囲が約1540m、面積は約9.2haで、池の中央に浮島が存在する(図2)。その広さは甲子園球場の2倍程度!

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図2 深泥池の模式図。浮島は池の中央に位置し、夏は浮き、冬は沈む。

この深泥池に流入する河川はない。周囲は高々200mの小高い山々に囲まれており、南西端のみが開けている。その形態から、およそ1万年前までに、池の南西部にできていた出口が、鴨川(賀茂川)の扇状地堆積物によってせき止められ、自然堤防の原型ができた。この時期の最終氷河期の地層から、地質調査によってミツガシワの花粉が確認されている。

深泥池は氷河期からの生き残りとされる生物と、温暖地に生息する生物が共存しており、学術的にも貴重な池として著名である。1927年6月14日に、植物群落が「深泥池水生植物群」として国の天然記念物に指定され、その後、1988年に「深泥池生物群集」として生物群集全体に対象が広げられている。また、2002年に発刊された京都レッドデータブックには「要継続保護」として掲載されている。深泥池の南側から水域を隔てた池の中央部分に、池全体の3分の1を占める浮島が存在する。この下には水の流れがあり、島が池に浮いていることが確認されている。この浮島は、標高が水面とほぼ等しいほか、窒素やリンなどの無機塩類がほとんど含まれない貧栄養性の湿原が広がる。ここでは有機物の分解が進まず、枯死した植物が堆積していくために、コケ類を始め多様な植物が生育する絶好の場となっている。浮島は夏になると浮かび上がり、冬には沈んで冠水する。この特徴により、多様な植物が生育している。ミツガシワやホロムイソウのような寒冷地に分布する植物や、ジュンサイのような各地に自生する植物、タヌキモ やモウセンゴケのような食虫植物、オオミズゴケ、ハリミズゴケ、ヌマガヤ、イヌノハナゴケといった高層湿原(ミズゴケ湿原)の構成種が共存している。

また、約60種に上るトンボを始め、フナ、ヨシノボリ、スジエビ、クサガメ、ニホンイシガメなどの池に生息する動物や、ヒドリガモやルリビタキを始めとした、晩冬期を中心に170種の野鳥の飛来が確認されている。1930年(昭和5年)には、日本で初めてミズグモが発見されるなど、希少動物にとっての数少ない生息地でもある。春になるとミツガシワの白い花が咲く中を、ニホンミツバチやハナアブ(ハナダカマガリモンハナアブ)が花粉や密を食べながら送粉の役割を果たして飛び回る。5月には主に白色のカキツバタや赤色のトキソウが、秋には青色のサワギキョウが咲き競う。また、池の集水域となる周辺の山々には、コナラ、アベマキなどの落葉樹、アカマツなどの常緑樹による林が形成されている。ナガバオモダカ、キショウブなどの植物や、ブルーギル、オオクチバス、カムルチー、アカミミガメなどの外来種が問題視されている。これらは繁殖力が強く、生態系に悪影響を与えているとされ、メダカやタモロコなど、いくつかの在来種が食物網(特に捕食-被食関係)の変化によって姿を消している。

北大路魯山人が「京の洛北深泥池の産が飛切りである。これは特別な優品」と評したジュンサイは、初夏から秋にかけて暗紅紫色の花を咲かせる。かつて、深泥池の水質悪化、外来種植物の繁殖が影響したほか、ルアーフィッシングの妨げになると刈り取られたことから、ほとんど見られなくなった時期もあった。このため、地元住民や研究者らが、定期的に在来種の調査や外来種の駆除を行うなど、生物群集の生育に適した水質改善に取り組んでいる。観賞用の水草として知られる外来種の食虫植物オオバナノイトタヌキモが、2000年ごろに浮島の一部で確認され、その後急速に生息域を拡大させている。人の手で池に持ち込まれた可能性が高く、2012年夏には池の水面を10センチの厚さで覆いつくすほどにまで繁殖した。「深泥池水生生物研究会」によって調査と駆除が試みられているが、まだ十分な効果は上がっていない。水草の水面増殖により日光が遮断されて水中まで届かず、酸素濃度の低下を招くことによる生態系への悪影響が懸念されている。http://www5a.biglobe.ne.jp/~kageyama/homes.html