幕末掃苔屋 公式ブログ

幕末掃苔屋のブログです。掃苔録不定期更新中。ご意見、ご感想はご自由にどうぞ。

近況報告

2011年06月28日 | その他

近況について報告します。

6月20日
「幕末酒場・新選組屯所/春廼舎」で開催された釣洋一先生の誕生日お祝い会に参加しました。
釣先生は78歳になられましたが、その気力・体力・目力・ユーモア、いずれも健在で、ますますのご活躍を期待してしまいます。
お祝い会にはたくさんの方が集い、みんなで乾杯をしました。
昨年の「釣洋一さんの喜寿を祝う会」のような盛大さはありませんが、気のいい仲間と楽しい時間を過ごせました。


6月25日
友人から誘われたので、十数年ぶりに沖田総司のお墓参りをしてきました。
随分ご無沙汰していましたが、十代の頃に夢中になっていたことを思い出し、感慨無量でした。
相変わらずたくさんの方がお参りに来ており、揺るぎない人気を感じました。
「幕末酒場・新選組屯所/春廼舎」で顔馴染みの方が十人ほどいらっしゃいました。
お参りのあと、皆さん釣先生のまわりに集合していたので私も加わり、昼食をご一緒しました。
そのあと伊東成郎先生の講演会「幕末・新選組新資料あれこれ ~上野雁鍋主人の回想から、龍馬、沖田芳次郎まで~」が開催されました。
沖田芳次郎は警視庁に出仕しているので講演内容に興味はあったのですが、私は予定があったので参加しませんでした。

私は警視庁と丹南藩の歴史を調べている者で、新選組のことを直接調べているわけではありません。
しかし新選組の周辺には、素晴らしい先生や熱くて愉快な愛好家がたくさんいらっしゃいますので、これからもお付き合いさせていただきたいと思っています。


川路大警視の『龍泉遺稿』と鱸松塘

2011年06月23日 | 川路利良

川路利良の趣味は漢詩を作ることでした。
川路は生前、「吾雖職事整頓、稍得餘間、然後邀鱸翁、與論詩、豈不亦樂乎(私はもし官職上の仕事が片づき、僅かに余った時間を自分のものにしたら、そこではじめて鱸翁に出会って、一緒に詩を品定めすると、きっと非常に喜ばしいだろう)」と語っていたそうです。
鱸翁とは漢詩人の鱸松塘のことです。

鱸松塘は文政六年(1823)に安房国安房郡国府村谷向の名主の家に生まれ、天保十年(1839)に江戸に出て梁川星厳に詩を学び、星巌門下三傑と謳われました。
脇坂安宅・山内容堂・松平春嶽・松平確堂などとも交遊があり、浅草向柳原に開いた私塾・七曲吟社で学ぶ者は数百人を数えたと言われています。

川路の死後、家を継いだ利恭は川路の遺した漢詩の批閲を鱸に依頼しています。
鱸は川路の師であった重野安繹とともに批閲を引き受けました。
そして明治十四年(1881)、自ら『龍泉遺稿』と題し、川路の漢詩集を出版しました。

鱸は川路の漢詩について、『龍泉遺稿』の序文で「蓋君之詩清秀温雅、間發警語。雖専門名家、或不能過焉(思うに君の詩は高尚で美しく優しく上品であり、時々僅かな字数で実情をうがった辛辣な文句をハッキリと示す。たとい(漢詩だけを)学ぶ優れた専門家であっても、ある人は(君の漢詩より)勝ることが出来ない)」と評しています。
また、生前の川路が鱸に会いたがっていたことに対して、「但余不得承君餘間。杯酒談論、一吐肝胆。是爲無窮之憾也已(しかし私は(川路)君の余った時間(に君の漢詩)を(君から直接に)承ることが出来ない。(君と共に)酒を飲んで語り論じ(漢詩につい)て意見を述べて、一度(私の)真心を述べたい。これが(私の君に対する)無限の恨みであるのだ)」と書いています。

川路が仕事の合間に作った漢詩は、鱸松塘のお陰で現在に伝わっています。
川路大警視ファンにとって恩人ともいえる鱸松塘の墓は、故郷である千葉県安房郡三芳村谷向の蓮華院にあります。
旅を愛した鱸ですが、最晩年は故郷に戻り、明治三十一年(1898)に亡くなりました。
本堂前にある墓には「鱸松塘之墓」と彫られています。この文字は高橋是清によるものだそうです。
墓のまわりは草が欝蒼と繁り、湿り気もあるため、小さな雨蛙やカタツムリがたくさんいました。


※写真は鱸松塘の墓
『龍泉遺稿』の現代語訳は、『甦る大警視川路利良の人物像 現代語訳付き 龍泉遺稿(編者 肥後精一・西岡市祐 発行所 東京法令出版株式会社)』を参考としています。

川路の食に関するエピソード

2011年06月16日 | 川路利良

川路大警視には食に関するエピソードがいくつか伝わっています。
かまぼこが大好きで店に頻繁に買いに来るために宿屋だと思われていたというエピソードと、大根おろしで茶碗酒を飲んでいたことがきっかけで土方久元と知り合ったというエピソードについては、当ブログでご紹介したことがあります。
今回はその他に伝わっている川路大警視の食に関するエピソードをご紹介します。

焼酎好き

夫婦揃って焼酎が大好きで、客があるとお茶がわりに朝から焼酎を勧めたそうです。
焼酎を持って行くと飲み終わるまで絶対に帰さなかったため、「川路大警視のところに焼酎を持って行く時は一本に限る」と言われていたそうです。
川路大警視のそんな焼酎好きが関係しているのかどうかはわかりませんが、鹿児島県警では「川路大警視」という焼酎を製造販売しています。
詳細は2010年10月03日の記事「焼酎 川路大警視」をご覧ください。

大食い

日当山温泉へ遊浴に行く際、母親に「どうか一升飯を炊いて下さい」と頼んだそうです。母親が弁当だと思って用意すると、一升のご飯をいっぺんに食べてしまい、「何、面倒くさいから昼飯の分までいっしょに腹の中へ納めて行きもす」と言ったそうです。
私は一升の量がわからなかったので、実際に炊いてみました。
写真はどんぶりに盛ったものです。
横に置いてあるのは一般的な茶碗です。
太っている人はたくさん食べそうに見えますが、実際は痩せている人の方がたくさん食べることができるという話を聞いたことがあります。
川路大警視は長身で痩せているように見えますが、実際は大食漢だったそうで、ロシアを訪れた際に一日一食だったため困ったという話も伝わっています。
そんな川路大警視も、フランスへ向かう船の上では船酔いのためにろくに食事をとれなかったようです。
そのことについて大久保利通が以下のようなチャリ(冗談)を言ったそうです。
「川路さんは朝飯前に太平洋を横ぎりました。川路さんは桑港を出帆したのが朝飯前でした。それから横浜へ着くまでというものは、まるで死人同様で、一度も食事をしなかったのです。如何です。川路さんは朝飯前に太平洋を横切ったわけになりましょう・・・・・」


※私が炊いた一升のご飯は、 12回にわけてすべておいしくいただきました 。


森重さんの連載「古写真探偵」

2011年06月12日 | お知らせ

「幕末酒場・新選組屯所/春廼舎」で頻繁にご一緒する古写真研究家の森重和雄さんが、『月刊WILLヒストリカル・カルチャー・エンタテインメント 歴史通』にて「古写真探偵」を連載中です。

毎回「古写真探偵」こと森重さんが有名な古写真の真実に迫るという内容で、連載1回目(5月号)は龍馬の妻・おりょうと言われている写真、連載2回目(7月号)は皇女和宮と言われている写真を紹介し、解説しています。

6月9日に発売した連載2回目掲載号(7月号)を購入して読みましたが、大変興味深い内容で、これは人気連載コーナーになるだろうと感じました。
結論に至るまでの経緯が推理小説っぽく、「古写真探偵」というタイトルがぴったりです 
森重さんの調査手法や根拠についてもしっかりと示しているので、論に説得力があります。
わずか9ページの記事ですが、これを書くためには大変な量の文献を読み取材をしてきたのだろうなぁと感心しました。

7月号が面白かったので5月号も読みたくなり国会図書館に行きましたが、利用中で閲覧できませんでした。
係の方に聞いてみたところ、コピーの申請があったとのことで10日ほどは閲覧できないということでしたので、区立図書館で探してみたいと思います。
「古写真探偵」は1年間の連載の後には、本にまとまる予定とのこと。
今から楽しみです。


『どっからみても波瀾万城』を購入しました

2011年06月11日 | お知らせ

桝田道也先生の城擬人化漫画『どっからみても波瀾万城』の電子書籍が、パブーおよびforkN上で販売開始となりました。

桝田先生には現在制作中の拙著『侍たちの警視庁 大警視川路利良の時代』の表紙と挿絵を描いていただきましたが、私が桝田先生に惚れ込んだきっかけがこの『どっからみても波瀾万城』でした。

『どっからみても波瀾万城』については当ブログでも紹介したことがありますが、城を擬人化(美少女から熟女まで。一人だけ男の娘)するという驚きの発想&城にまつわる確かなうんちく&桝田先生独特のギャグが融合した、他では味わえないコクのある作品です。

一話一城の読みきりで、姫路城・江戸城・五稜郭・熊本城・安土城・小田原城・彦根城・松本城・犬山城・八王子城の全十話です。
これらの城はすべて桝田先生自らが訪れて取材しているので、縄張や石垣や虎口などの画がリアルです。
掲載誌である『コミック大河』が休刊となったため連載も中断となりましたが、私としては桝田先生が描く鶴ヶ城や二本松城がとても見たかったです。

電子書籍『どっからみても波瀾万城』の価格は全話合計180ページで250円ととても良心的です。
パブーでは『どっからみても波瀾万城』だけでなく、『コミック乱』に掲載された桝田先生の歴史漫画『はぐらかし京伝』と『お見通し保己一』の電子書籍も販売中です。
試し読みもできますので、興味のある方はぜひご覧ください。

http://p.booklog.jp/users/mitimasu

また、6月6日には桝田先生の『いつもどこかで刃乱万丈』が連載中の『歴史魂vol. 3』も発売となりました。
『いつもどこかで刃乱万丈』は日本刀教養ギャグ漫画で、今回は村正と徳川家康が取り上げられています。