幕末掃苔屋 公式ブログ

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佐柳島の埋め墓と参り墓

2016年07月10日 | 掃苔録

佐柳島(さなぎじま)に行ってきました。

佐柳島は香川県仲多度郡多度津町にある島で、塩飽諸島の一つです。
最近では猫島として注目されていますが、一故人に対し埋め墓(遺体を埋めた墓)と参り墓(墓参のための墓)の二基をつくる両墓制が残っていることで知られる島です。

この島を訪れた目的は、咸臨丸の乗組員として渡米中に客死した平田富蔵と、海援隊士として活躍した佐柳高次の掃苔です。
参り墓の墓地は一般的な墓地で、すぐに平田富蔵と佐柳高次の参り墓と出会い掃苔することができました。
参り墓の近くには、二人を顕彰する碑も建てられていました。

渡米中に客死した平田富蔵の埋め墓はサンフランシスコにあるそうですが、佐柳高次の埋め墓は乗蓮寺のすぐ近くにある埋め墓の墓地にあります。
埋め墓の墓地には、たくさんの小さな埋め墓が海に向かって建っていました。ほんの20メートル程先は海で、瀬戸内海の島々が見えます。聞こえるのは波の音と風の音、風が揺らす木々の音だけ。沢山の埋め墓に囲まれ潮風にさらされていると、なんとも不思議な心境になりました。
佐柳高次の埋め墓は草に覆われており、見つけるのに苦労しました。なお佐柳高次の名は坂本龍馬が名付けたそうで、参り墓にも埋め墓にも前田高次とありました。

掃苔が終われば、島でのノルマは達成です。船便が少ないので、次の船が来るまでの間、たっぷり猫と戯れました。
島の方とのなにげない挨拶から会話がはじまり、心温まる交流を持つことができました。
これだから島旅はやめられません。