幕末掃苔屋 公式ブログ

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『川崎尚之助と八重』読了

2012年12月30日 | お知らせ

川崎尚之助という人物を御存知でしょうか。
来年のNHK大河ドラマ「八重の桜」の主人公・新島八重の最初の夫です。

私は川崎尚之助という人物について、つい数ヵ月前までなんの興味もありませんでした。
ただ一年ほど前に、川崎尚之助に関する記事が新聞に掲載された際、会津藩好きの友人がその内容に驚いていたことを覚えています。
その新聞記事というのが、今月発行された『川崎尚之助と八重』の著者であるあさくらゆう先生による新発見の発表でした。

歴史ドラマ・歴史小説・歴史漫画などの影響により、長年にわたって誤解を受け続けている歴史上の人物は数多くいます。
川崎尚之助もそんな一人でした。
有名人であれば歴史家によって誤解が解かれることも少なくありません。
しかし有名人とは言えない川崎尚之助が、“史料発掘の鬼”と自称するあさくらゆう先生の興味を惹き、真の姿を明らかにすることができたのは、幸運だったと思います。

川崎尚之助はこれまで、会津藩の敗北と共に八重を置き去りにした軽薄な男とのイメージを持たれていました。
しかしあさくら先生の調査により、川崎尚之助は藩を救うために犠牲となり、悲しい終焉を迎えた人物であったことが判明しました。

『川崎尚之助と八重』は、下記の目次をご覧頂ければわかると思いますが、川崎尚之助や山本家についてはもちろんのこと、出石藩の幕末、蘭学の歴史、会津藩の歴史、戊辰戦争、戦後の会津藩などについても大変わかりやすく、そして正確に説明されています。

序章 「逃げた男」から「一途の男」へ
第一章 出石藩
第二章 出石藩川崎家
第三章 蘭学修業
第四章 会津藩
第五章 会津藩山本家と結婚
第六章 京都守護職
第七章 戊辰戦争
第八章 会津戦争へ
第九章 会津城下の激戦
第十章 会津藩解体
第十一章 戦後の会津
第十二章 斗南
第十三章 函館
第十四章 八重、米沢から京都へ
最終章 終焉

川崎尚之助について残されている史料は多くないため、どうしても推測の部分は出てきます。
しかしそれをあたかも史実のように書くのではなく、そう推測する理由もしっかり説明してあるので、納得しながら読むことができます。

個人的には根津親徳が川崎尚之助の晩年に関わってきていることに興味を持ちました。
また、出石藩士川崎家について紹介する際に、仙石左京についても触れられていたのが嬉しかったです。
彼もまた、誤解を受けている歴史上の人物です。
私もいつかあさくら先生のように、誤解を受けている人物の真の姿を明らかにすることができたらと思います。

なお、あさくら先生はブログを日々更新していらっしゃいますが、それを見るとこの一年間は川崎尚之助の調査のために、豊岡、会津、米沢、北海道と、何度も全国を飛び回っていらっしゃったことがわかります。
調査旅行の頻度と濃度がすさまじく、ブログを読んでいて鬼気迫るものを感じるほどでした。
あさくら先生の努力と執念と専門的技術、そしてあさくら先生の熱意に打たれたたくさんの方々の協力。
この本はそれらの結晶といえます。
この本をより深く味わうためにも、あさくら先生のブログとセットで読まれることをお勧めいたします。



三十一人会の忘年会に出席しました

2012年12月11日 | イベント

三十一人会の忘年会に出席しました。
今年は仕事の都合により、一度も幕末史跡見学会に参加することができませんでした。
この日も仕事が終わってから駆けつけたので、途中からの参加となりました。
それでも約一年ぶりに三十一人会の方々とお会いでき、小島先生からはありがたいお話をいただき、いつもブログを拝見している方ともお話をすることができ、楽しい時間を過ごすことができました。
忘年会のあとはあさくらゆう先生と喫茶店に行き、歴史調査に関する様々な情報を教えていただくことができました。

ここ数ヵ月、ブログの更新がめっきり減っていたのでお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、しばらくの間、歴史調査や掃苔から離れた生活を送ってきました。
日々の生活に追われ、道楽に費やす余裕がなかったからです。
しかし新しい生活にも徐々に慣れ、わずかながら余裕ができてくると、道楽を再開したい気持ちがウズいてきました。
そんななかで三十一人会の皆さんとお会いしたことは、とても刺激になりました。

今年は六月に私家本『侍たちの警視庁 大警視川路利良の時代』を出版しました。
長年調べてきたことを形にすることができ、多くの方に読んでいただくこともできたので、これを区切りにしようと考えていました。
しかし、警視庁についてテーマを絞り、もっと深く掘り下げたいと思うようになりました。
そう思うようになったのには、親交のある先生方の影響があります。
先生方の情熱・行動力・根気、そしてその成果を見ているうちに、私ももっと深く調べねばと思うようになりました。
以前のような掃苔旅行を行う余裕はありませんが、出来ることから活動していくつもりです。
そしていつか、『侍たちの警視庁 大警視川路利良の時代』のように、形にできればと思っています。