幕末掃苔屋 公式ブログ

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『七星旗白雲の間を動く 幕末庄内藩』を読みました

2011年06月09日 | お知らせ

掃苔仲間の光夢世宇留さんが幕末庄内藩スキーのお仲間とともに発刊した『七星旗白雲の間を動く 幕末庄内藩』を読みました。

私が光夢さんと出会ったのは昨年末ですが、その何年も前から光夢さんのホームページ「月虹神殿」は存じ上げていて、度々お世話になっていました。
「月虹神殿」は光夢さんが訪れてきた東北の幕末史跡を紹介した、大変充実した内容のホームページです。
紹介されている史跡数が多数に渡り、史跡・墓所へのアクセスがわかりやすく紹介されているので、青森・福島・宮城・山形を掃苔する際にはいつも参考にしています。

『七星旗白雲の間を動く 幕末庄内藩』は光夢世宇留さん、Aki_1031様、エノカマ様の共著です。

光夢さんは「酒井玄蕃について」「酒井玄蕃の戊辰戦争~山形篇」を執筆担当されています。
酒井玄蕃が率いた隊がとても強かったことはもちろん知っていますが、具体的にどのような戦いを繰り広げたのかについては知りませんでした。
この作品では敵から「鬼玄蕃」と恐れられた酒井玄蕃の戦ぶりについて詳細に書かれており、とても興味深く読ませていただきました。
多くの優れた漢詩を残しているところや、戦場で部下を思いやるエピソードがいくつも残されているところなどは、私が追っかけをしている川路利良のそれと似ているなあと思いました。
肺病で亡くなっている点も同じです。
今回は戊辰戦争山形篇でしたが、光夢さんにはいつか酒井玄蕃の人生を丸々書き切った本を読みたいと思います。
その時はぜひ、光夢さんが自ら訪れ撮影してきた数多くの酒井玄蕃ゆかりの史跡写真を存分にご披露いただきたいと思います。

Aki_1031様は「酒井玄蕃と松本十郎」「山形・秋田以外の庄内藩ゆかりの地」「庄内藩と薩摩藩邸焼き討ち事件」を執筆されています。
黒田清隆との関係から松本十郎に関心があったので、興味深く拝読しました。
薩摩藩邸焼き討ち事件は大変重要な事件にも関わらず、知らないことだらけで、読んでいて驚きの連続でした。

エノカマ様は「庄内藩における改革と到道館の教育」「天保期の庄内藩転封阻止運動と水野忠邦の幕政改革」を執筆されています。
酒田の豪商・本間家について触れられていますが、本間耕曹が警視庁に出仕していることもあり、興味深く読ませていただきました。
矢部定謙が庄内藩の転封阻止に大きな役割を果たしたことを知って驚きました。
幕末の庄内藩本でありながら、天保期の転封阻止運動を取り上げるあたりに、著者の歴史へのこだわりを感じました。

いずれの文章からも、膨大な文献を読み、現地を訪れて取材を行ったことがひしひしと伝わってくる作品でした。
幕末の庄内藩を扱う本が少ないなら「自分達で作ってしまえ」という思いにも、共感を覚えました。
50ページほどのコンパクトな冊子ですが、これほどたくさんの情報と情熱が詰め込まれた本は久しぶりで、大いに刺激を受けました。
ぜひ続篇に期待したいと思います。

興味のある方は光夢さんのホームページ「月虹神殿」をご覧下さい。