「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

             大震災に備えて歴史的な掘り起し

2012-02-27 06:58:48 | Weblog
東日本大震災を機会に過去に国内で発生した大地震や大津波の歴史的な検証が盛んである。確かに大震災前は数百年とか数千前に起きた震災については一般には無関心であった。もう、そんな大震災は起きるわけはないという気持ちが期待をこめて僕らの中にあった。鎌倉の長谷の露座の大仏の首が僅か90年の関東大震災で地面に落ちたことさえ知る人は少なくなり、関心も薄れていた

先日、地域の老人会の旅行で館山市の真言宗の古刹、那古観音に詣でた。お寺は海岸から離れた小高い丘の上に立っており、立派なケヤキ造りの多宝塔がたっていた。住職にいわれを聞くと、二百数十年前の地震のあと建造されたという。帰宅してから調べると、元禄16年11月23日(1703年12月31日)にいわゆる元禄地震が起きている。

元禄地震は房総半島南端の野島岬を震源地とするM8.5の海溝大地震で、付近一帯の海面が隆起したと伝えられている。素人で調べたわけでもないが、那古観音も、このとき隆起した丘の上に建てられたのかもしれない。観音様の本堂へ上る坂道の下には、古い槇の古木があったが、大地震の前は、このあたりに本堂があったのではないかと勝手に想像したりした。この元禄大地震では、対岸の鎌倉にも津波が押し寄せ、八幡宮のあたりまで水浸しになったと記録にのこっている。

平安時代、東北地方に発生した貞観大震災(869年)のことなど、昨年の大地震が起きるまでは一部の地震学者以外、一般には誰も知らなかった。地震のあと、学際的な研究が行われているようだが、想定外のことが起きるということを今回の大臣が教えてくれた。改めて過去の歴史の掘り起しが必要なことを感じた。(写真は那古観音本堂)