「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

            隠岐の島のイカ 豊かになった食材

2012-02-03 06:50:43 | Weblog
近くに住む70年来の竹馬の友から隠岐の島の新鮮なイカが届いたから差し上げると電話があった。友人の奥さんが隠岐の島の出身なので、時々故郷からクール宅急便で届くが、夫婦二人だけの生活なので、その都度わが家もおすそ分けに預かる。さすが”美食の島”隠岐の名産だけに味は一匙違う。娘一家にもおすそ分けのおすそ分けして早速刺身にして頂いた。

冷凍冷蔵技術の進歩で、日本人の食卓も、この半世紀ほどで飛躍的に豊かになった。昭和30年代、高度成長時代までは、東京に住むわが家ではとても隠岐のイカなど食べられなかった。サカナといえば江戸前(東京湾)がまだ主流で、せいぜい関東の海で獲れたものが多かった。北海道のシシャモだのほっけは昔は東京では食べられなかった。北海道産といえば、新巻の塩辛い鮭や身欠きニシンであった。海なし県の信州育ちの老妻はサカナといえば口がまがるほど塩辛いイワシを思い出すという。

それに比べて今はよい世の中だ。冷凍食品ならば日本全国はおろか世界中の食材が手にはいる。それにつれてグルメ・ブームである。一度では覚えられない名前の西欧料理やアジアのエスニック料理が東京でも食べられるようになった。ものの本によると、奈良時代隠岐のイカははるばる50㌔の海を渡り、朝廷に献上されたという木簡が出土したという。冷凍や冷蔵技術がなかった時代、どうやって運んだのか興味があるところだ。