ビター☆チョコ

店じまい後も変わらずご訪問ありがとう。
新居をかまえましたので
お近くにお越しの際はお寄りくださいませ。

オール・ザ・キングスメン

2007-04-11 | 洋画【あ】行

1949年 ルイジアナ州。
市の不正を弾効する出納官ウイリー・スターク(ショーン・ペン)は州知事選に立候補するチャンスを得る。
そのチャンスは対立候補の当て馬として謀られたものだったのだが、
貧民層の圧倒的な支持を得て、ウイリーは見事に当選する。
そんなウイリーの記事を書き続けてきたジャック(ジュード・ロウ)は新聞社を追われ、
ウイリーの参謀としてウイリーと行動を共にすることになる。
かつて市の不正を強く弾効したウイリーだったが、
いざ知事になってみると、かつて自分が嫌ったはずの不正に手を染めてしまうのだった。

重厚な映像の中、ウィリーの演説が一際光を放つ。
貧しいものに希望を与える演説は富裕層にとっては鋭い刃になる。
その刃が鋭くなればなるほど、
貧民層はウィリーに熱狂し、富裕層はウィリーを嫌悪する。

両者の深まる溝の中でウィリーが具体的に何をしたのかは詳しく描かれていない。
ウィリーの言葉や行動から察して
ぼんやりと想像するだけだ。

いつだってそうなのだ。
政治の世界のことは、庶民にはいつも上っ面しかわからない。

この映画を観ながら
私たちの国の某県の知事選を思い出してしまった。
確か、前知事さんが汚職で逮捕されたのだったと思う。
ラジオで聴いた話なので
もし違ってたら申し訳ないのだが
その逮捕された前知事さんは元は県の職員で
県政を変えたいと思って、周囲の反対を押し切って知事に立候補したのだそうだ。
地盤も後ろ盾もない中、やっと当選を果たして知事になってみると
今度は無名だった自分を支えてくれた地元の企業に対して「借り」を作ってしまったような感じで
気がついてみると
自分があれほど変えたいと思っていた悪循環にすっぽりはまっていたのだそうだ。

その後を引き継いだ元タレント知事さんは柵(しがらみ)もなく、
悪循環にはまる要素はなさそうなのだが、そこは政治の恐いところ。
善から悪が生まれることがあるかもしれない。

時代や国が違っても
権力をもった人間の変化は、哀しいことに避けては通ることが難しいことなのかもしれない。

注意深く追ってないと
物語の流れを見失ってしまいそうになるのだが、
ショーン・ペンの演説には惹きこまれてしまった。
ちょっと引いて見ると、あの迫力に胡散臭さも感じてしまうのだが
明日に希望が持てない貧しい人たちには、あの強いカリスマ性が希望の光に見えたのだろう。
ショーン・ペンの演説の間は
私も明らかにあの演説を聴いている貧しい人たちの一員だった。
そして絶対1票入れたと思う(笑)

ショーン・ペンを堪能した映画だった。