安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

石合力著「響きをみがく 音響設計家 豊田泰久の仕事」(朝日新聞出版)を読みました。

2021-05-13 19:46:51 | 読書

書店で石合力著『響きをみがく』という面白いタイトルの本を見つけたので、購入しました。音響設計家の豊田泰久さんについて書かれた本ですが、著書は多くの音楽家などに取材しています。 

   

(著 者)

石合力さんは、1964年生まれ、88年に朝日新聞社入社。中東アジアアフリカ総局長、国際報道部長、ヨーロッパ総局長などを経て現在、大阪本社編集局長補佐を努めています。外交、紛争地取材のかたらら、クラシック音楽と政治、社会に関する取材も多くされている方だそうです。

(おおまかな目次)

序章  コンサートホールの黒衣
第1章 運命を決めた演奏会
第2章 ふたりのマエストロとの出会い
第3章 21世紀のコンサートホールが完成した
第4章 音響は科学か、それとも天気予報か
第5章 「大地の歌」をめぐって起きた「事件」
第6章 究極の響きを指揮者とつくる
終章  コロナ後のコンサートホール
コンサートホール・リスト 豊田泰久氏の音響設計による主なコンサートホール
(サントリーホール、ミューザ川崎シンフォニーホール、ウォルト・ディズニー・コンサートホール、マリインスキー・コンサートホール、フィルハーモニー・ド・パリ、エルプフィルハーモニーなど)

(感 想)

音響設計という仕事の中身と、豊田泰久さんの驚異的な業績について、初めて知って感動、興奮した面白い本です。不明を恥じなければいけないのですが、コンサートホールの音響設計について、世界のトップを走る方が日本人だとは衝撃でした。

ワレリー・ゲルギエフやサイモン・ラトル、ダニエル・バレンボイム、エサ・ペッカ・サロネンらの指揮者やクリスチャン・ツィメルマン(p)といった演奏家と親交をもち、仕事を依頼されたり、リハーサルの立ち会いなども行っています。豊田さんの音楽を聴く能力は、音楽家と同等、あるいはそれ以上のようです。

『音が豊かに、しかも非常にクリアに聞こえることという、しばしば相反する二つの音響的に重要な要素が高い次元で両立することを究極の目標』にし、建物の建築家と共同作業を行っていく、仕事ぶりも描かれています。著者の石合さんも、音楽に詳しく、多くのインタビューを行ってできた労作です。

   

上の写真は、豊田泰久さんのポートレート、下は、エルプフィルハーモニー(ドイツ・ハンブルグのコンサートホール)。

   

上は、2003年にロサンゼルスで指揮者のサイモン・ラトルと。下は、2014年に来日したワレリー・ゲルギエフのリハーサルに立ち会っているところ。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。