エンタメ系の時代小説を読もうと、浅田次郎著「大名倒産」(文春文庫)を読みました。2023年には映画化されているので、その映画もdvdで観てみました。
上巻のカバー表紙
(上巻あらすじ)
下巻のカバー表紙
(下巻あらすじ)
(感想など)
長い小説ですが、ストーリー展開が早く、どんどん筋を追っていけるので、あっという間に読了しました。経済小説の趣もあって、江戸時代後期の送金や金融の仕組み、さらに殖産振興、参勤交代の経費などのことも描かれていて、感心しました。
モデルとした場所は、新潟県村上市で、特産の鮭の加工や売りさばきなどについて、城下にある両替商(金融)の支店まで巻き込んで、借金返済への奮闘が続きます。両替商や資産家(大農家)など市井(民間)の有力者が、藩の殿様に協力したのには、心打たれました。
最後は金鉱の発見まで出てきて、やや安易ですが、借財の大きさがうなづけました。地方の衰退を食い止める努力は、江戸時代にも行われていたことが描かれ、貧乏神や七福神も活躍するエンタメ小説ですが、それだけではない作品。
(著者の紹介)
【映画 大名倒産】
【ストーリー】
越後・丹生山(にぶやま)藩の鮭売り・小四郎はある日突然、父から衝撃の事実を告げられる。なんと自分は、〈松平〉小四郎― 徳川家康の血を引く、大名の跡継ぎだと!庶民から一国の殿様へと、華麗なる転身…と思ったのもつかの間、実は借金100億円を抱えるワケありビンボー藩だった!?先代藩主・一狐斎は藩を救う策として「大名倒産」つまり藩の計画倒産を小四郎に命じるが、実は全ての責任を押し付け、小四郎を切腹させようとしていた…!残された道は、100億返済か切腹のみ!
(キャスト)神木隆之介、杉咲花、松山ケンイチ、小日向文世、小手伸也、桜田通、宮﨑あおい、浅野忠信、佐藤浩市
(スタッフ)原作:浅田次郎『大名倒産』(文春文庫刊)
監督:前田哲、脚本:丑尾健太郎、稲葉一広 音楽:大友良英
(映画の場面から)
幼いころの松平小四郎
先代の藩主(佐藤浩市)。大名倒産を目論んでいる。
藩の立て直しに奮闘する松平小四郎(神木隆之介)。
小説とは異なり、悪役の二人が登場。両替商(金融業)と幕府老中。右に、隠居した先代藩主。
帳簿をあらためているところ。
悪役が逮捕。このへんは、ドタバタ劇です。
25万両(約100億円)の返済目途がたったことを、幕府老中に報告。実は、先代も悪事を暴く方に回っていたのでした。
お姫様役の藤間爽子。着物姿が似合っていました。
越後から江戸へ、船で産物(鮭)を運んでいるところ。鮭を持っているのは、藩主(松平小四郎)の育ての親。脚本は、原作をかなり捨象したものになっていて、深みはありませんが、エンタメ映画として、よく出来ていたと思いました。
(参 考)「大名倒産」公式サイト。予告編も含まれています。