増税は間違い! 日銀が金融緩和で70兆円刷れば、日本は復調し世界経済は復活する
これは、国際経済の門外漢には、よく判る説明です。
収入の10%を超えると(実際に超えている)
重税感が増して、生活が苦しくなり、やる気が失せるのです。
福祉が充実している訳ではないので、元気が出ません。
政治家と財務省と日銀は
ぜひ、以下の記事を読んで経済復活をしていただきたい。
国民が困っても経済が不況でも、
どうも日銀は自分が発行した紙幣の値打ちが下がるのを極端に嫌うのだろう。
そんな日銀(民間企業)は不要です。
自分だけ得をする企業はつぶれる運命になります。
以下、ニフティ ニュース より転載です。
文=高橋洋一(嘉悦大学教授)
ギリシャ発の欧州金融危機が“第2のリーマン・ショック”として再び襲いかかろうとしても、日本にはその危機を回避し、さらに経済成長を促進する方策がある、と元財務官僚で経済学者の高橋洋一氏は言う。その解答は1929年の世界恐慌から日本を救った時の大蔵大臣、高橋是清のとった政策にある。
現在のヨーロッパの金融危機が世界恐慌に近い状況に広がっていく可能性は十分にあると見ておくべきだろう。
危機の発端となったのはギリシャの経済破綻だが、同国の負債額は政府と民間合わせても60兆円程度で、ちょうど3年前に破綻したリーマン・ブラザーズ1社の負債総額とほぼ同規模だ。
しかし、事態はより深刻かもしれない。リーマン・ショックの時は、企業だからアメリカ政府が連鎖倒産を防ぐための救済措置を行なったが、ギリシャの場合は国家であり、EUが中心になって救済にあたっている点に不安があるからだ。
実はギリシャという国家は過去200年で100回以上のデフォルト(債務不履行)を起こしている。2年に1回のペースだ。ドイツをはじめヨーロッパの他の国にすれば、「ギリシャの国民は懲りてない」という認識であり、そうした“札付き”の国を自国民の税金である財政資金を投じて救済することに非常に抵抗が強い。そのため、EUは思い切った救済策をとれない可能性がある。
そうなれば、“第2のリーマン・ショック”あるいはそれ以上の衝撃が世界経済を襲っても不思議ではない。
バーナンキ議長も高橋是清の真似をした
世界各国が経済危機の波及に戦々恐々としているが、日本は的確な政策をとれば、危機を回避し、景気を上向かせて、世界経済を牽引することができる。
日本が取るべき政策の指針となるのが、世界恐慌の際に、時の高橋是清・蔵相が行なって世界的に高い評価を得ている経済政策だ。
1929年の世界恐慌は日本では「昭和恐慌」と呼ばれた。当時の浜口雄幸内閣の井上準之助・蔵相は徹底した緊縮財政というデフレ政策を取り、金融政策でも、ウォール街の株価大暴落の2か月後に「金解禁」に踏み切ると、正貨(金)が海外に流出し、金融引き締めとなって株・商品市場が大暴落した。街には失業者と欠食児童、農村では娘の身売りが相次いだ。
それは明らかな政策の誤りだった。日本に限らず、当時は、GDP統計などがないから、各国がどんな政策が有効なのかの判断基準が難しかった。また、金本位制で金融政策の自由度が小さかったため、多くの国が金融引き締めやデフレ政策で失敗していた。
そこに登場したのが犬養毅内閣の高橋是清蔵相だった。
彼は真っ先に金の輸出を再禁止すると、国債を増発して財政拡大路線に転換し、同時に、国債を日銀に引き受けさせて大胆な金融緩和を実行した。デフレ政策から、ゆるやかなインフレをめざすリフレ政策をとったのだ。この時、お札の印刷が間に合わずに裏面が真っ白な通称“是清札”まで印刷され、市中にはお金が溢れた。これによって日本は世界の中でもかなり早い段階で恐慌を脱出することができた。
しかも、是清はいったん国債を日銀に引き受けさせた後、そのうち9割くらいは市中に売却させることでハイパーインフレも防いでいる。見事な手腕としか言いようがない。
大恐慌の研究者として名高いFRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長は、私が大蔵官僚時代、プリンストン大学に留学していた時の学部長だったが、彼はこの是清の政策を「すばらしい着想だ」と高く評価していた。
実際にアメリカの金融政策を担うバーナンキ議長がリーマン・ショックの後、思い切った金融緩和でドルを刷りまくり、危機を脱出したのは大恐慌の研究者として当時の各国の政策に深い造詣があったからである。
現在、日本経済を苦しめているデフレ、超円高は、リーマン・ショック後に各国が金融緩和を行なっているのにもかかわらず、日本だけがそれをしなかったことが大きな原因だ。マネタリーベース(世の中に出回っているお金の総額)で考えると非常にシンプルでわかりやすい。ドルが増え、円が増えなければ、ドルの価値は下がり、円は相対的に希少性が高くなり、円高になるのは当然だ。
日本がいまやるべきなのは、思い切った金融政策で「円」を刷りまくることだ。「政府紙幣」の発行や国債の日銀引き受け、あるいは買いオペ(発行済みの国債を日銀が市場を通じて買う)など手段はいくらでもある。
そうすれば、市中にお金が増え、デフレを脱出できる。さらに為替は円高から円安に振れるから、輸出産業は大幅に収益が改善し、景気は良くなり、資金需要も増えるという相乗効果が生まれる。
それが高橋是清のとった手法だ。まずこの金融政策の大転換をしないかぎり、どんな政策も効果は薄い。
金融緩和を行なわずに、財政出動しても、変動相場制のもとでは、資金調達のために国債を発行すると長期金利が上昇して、円高になる。そうなれば輸出が減り、財政出動で増えた内需を相殺してしまうからだ。その意味では、金融緩和をせずに減税した場合も、税収不足を国債発行で補うため、同じ理屈で相殺されてしまう。
減税とまでは言わないが、税をこれ以上増やさず、金融緩和を行なうことが肝要だ。
70兆円カネを刷ればすべてが解決する
では、具体的にどの程度金融緩和をすればよいのか。
アメリカはリーマン・ショック後にドルを刷りまくったため、現在のドルのマネタリーベースはざっと2兆ドルある。それに対して日本の円は130兆円でこの間、あまり増えていない。ドル、円だけで単純な比較をすれば、割り算で、「1ドル=65円」になる。過去の為替レートの変動は7~8割程度、この計算でほぼ説明がつく。多くの“経済学者”“専門家”が信じないが、実はこんなにもシンプルな話なのだ。「為替はその国の国力を反映する」などということをもっともらしく解説する者が多いが、でたらめもいいところだ。
実際、ジョージ・ソロスなどプロの投資家は多少のアレンジはあるにせよ、私の述べたことと同じ理屈で投資を行なっている。是清にもそれがわかっていた。
仮に日本が金融緩和によって70兆円分「お札」を刷れば、マネタリーベースは200兆円となり、円の価値が下がって円安に向かう。先と同様に計算すると「1ドル=100円」に相当する。物価や為替への急激な変化を抑制するには20兆円ほどずつ3回に分けて実施するのが望ましいだろう。
自動車や電機など、日本の主要な輸出企業は想定為替レートを「1ドル=80円台」で計算しているから、100円になれば大増収増益になる。当然、税収も増え、財政再建につながる。増税の必要はまったくない。減税をするにはハードルがかなり高いが、少なくともこれ以上税金を増やさないことが肝要だ。
ところが、野田政権は高橋是清と正反対の政策をやろうとしている。
先日も、安住淳・財務相はパリで開かれたG20(20か国財務相・中央銀行総裁会議)で、「消費税率を10%に引き上げる法案を来年の通常国会に提出する」と表明した。
増税は政府が民間からカネを吸い上げるのだから、間違いなくデフレを深刻化させる。
実は、日銀にも、「政府にいわれて国債を引き受けたら負けだ」というおかしなDNAがあって、高橋是清が行なった「国債の日銀引き受け」は歴史から“抹殺”したい政策であり、「是清は大インフレを招いた」と批判してきた(是清の時代に大インフレは起きていない。戦後の大インフレはGHQの指導で行なった復興金融公庫の公債引き受けで起きたもので是清の政策とは関係ない)。
国債の日銀引き受けは禁じ手だと言われているが、そんなことはない。現実に、日銀保有国債の償還分の一部については毎年日銀が引き受けている。皆知らないだけだ。
世界中で日本人だけが財政破綻を信じている
世界経済危機を前に、日本の財務省は「増税」というデフレ深刻化政策を掲げ、日銀は金融引き締め状態を変えようとしない。まさに昭和恐慌のときの井上準之助蔵相が取ったのと同じ間違った道だ。
国民の多くは、財務省の宣伝とそれに乗った大メディアの報道で、「日本は財政危機」という間違った認識を植え付けられている。
だから安住財務相が、「増税による財政再建」を打ち出しても、「ギリシャの二の舞いにならないためには仕方がない」と思い込んでいる。
しかし、世界からは日本が財政危機だとは全く思われていない。その国の財政が破綻の危機に瀕しているのかどうかは、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のレート(保証料)を見ればわかる。破綻する可能性が高ければ、レートは上昇する。
だが、G7の中で日本(1・1%)はアメリカ(0・5%)、英国(0・9%)、ドイツ(1%)に次いで4番目に低く、フランス(1・7%)より上位にある。日本政府は借金は多いが、一方で巨額の資産(約650兆円)を持っているから、財政破綻は心配されていないのだ。この基準で言えばギリシャは約 50%で、それだけのレートがついてしまう破産状態の国だ。日本は全く違う。
それにもかかわらず、日本がこのまま金融緩和をしない、増税、といったデフレ政策を続けるなら、各国が通貨安競争で輸出を増やし、経済を立て直そうとしている一方で日本だけ円高が進み、日本の企業・経済は弱体化していく。
一刻も早く、昭和恐慌の教訓を思い出し、「井上政策」から「是清政策」への大胆な転換をはかるべきだ。
世界で信用収縮が始まり、景気が悪化する中にあって、GDP世界3位の日本が金融緩和によって景気を回復し、日本市場を拡大させることが、世界経済を支えることにつながる。リーマン・ショック後、日本はIMFに10兆円を緊急融資した。日本経済が復調すれば、今回の金融危機でも日本政府がさらに世界に金融支援する余裕も生まれるはずだ。
これは、国際経済の門外漢には、よく判る説明です。
収入の10%を超えると(実際に超えている)
重税感が増して、生活が苦しくなり、やる気が失せるのです。
福祉が充実している訳ではないので、元気が出ません。
政治家と財務省と日銀は
ぜひ、以下の記事を読んで経済復活をしていただきたい。
国民が困っても経済が不況でも、
どうも日銀は自分が発行した紙幣の値打ちが下がるのを極端に嫌うのだろう。
そんな日銀(民間企業)は不要です。
自分だけ得をする企業はつぶれる運命になります。
以下、ニフティ ニュース より転載です。
文=高橋洋一(嘉悦大学教授)
ギリシャ発の欧州金融危機が“第2のリーマン・ショック”として再び襲いかかろうとしても、日本にはその危機を回避し、さらに経済成長を促進する方策がある、と元財務官僚で経済学者の高橋洋一氏は言う。その解答は1929年の世界恐慌から日本を救った時の大蔵大臣、高橋是清のとった政策にある。
現在のヨーロッパの金融危機が世界恐慌に近い状況に広がっていく可能性は十分にあると見ておくべきだろう。
危機の発端となったのはギリシャの経済破綻だが、同国の負債額は政府と民間合わせても60兆円程度で、ちょうど3年前に破綻したリーマン・ブラザーズ1社の負債総額とほぼ同規模だ。
しかし、事態はより深刻かもしれない。リーマン・ショックの時は、企業だからアメリカ政府が連鎖倒産を防ぐための救済措置を行なったが、ギリシャの場合は国家であり、EUが中心になって救済にあたっている点に不安があるからだ。
実はギリシャという国家は過去200年で100回以上のデフォルト(債務不履行)を起こしている。2年に1回のペースだ。ドイツをはじめヨーロッパの他の国にすれば、「ギリシャの国民は懲りてない」という認識であり、そうした“札付き”の国を自国民の税金である財政資金を投じて救済することに非常に抵抗が強い。そのため、EUは思い切った救済策をとれない可能性がある。
そうなれば、“第2のリーマン・ショック”あるいはそれ以上の衝撃が世界経済を襲っても不思議ではない。
バーナンキ議長も高橋是清の真似をした
世界各国が経済危機の波及に戦々恐々としているが、日本は的確な政策をとれば、危機を回避し、景気を上向かせて、世界経済を牽引することができる。
日本が取るべき政策の指針となるのが、世界恐慌の際に、時の高橋是清・蔵相が行なって世界的に高い評価を得ている経済政策だ。
1929年の世界恐慌は日本では「昭和恐慌」と呼ばれた。当時の浜口雄幸内閣の井上準之助・蔵相は徹底した緊縮財政というデフレ政策を取り、金融政策でも、ウォール街の株価大暴落の2か月後に「金解禁」に踏み切ると、正貨(金)が海外に流出し、金融引き締めとなって株・商品市場が大暴落した。街には失業者と欠食児童、農村では娘の身売りが相次いだ。
それは明らかな政策の誤りだった。日本に限らず、当時は、GDP統計などがないから、各国がどんな政策が有効なのかの判断基準が難しかった。また、金本位制で金融政策の自由度が小さかったため、多くの国が金融引き締めやデフレ政策で失敗していた。
そこに登場したのが犬養毅内閣の高橋是清蔵相だった。
彼は真っ先に金の輸出を再禁止すると、国債を増発して財政拡大路線に転換し、同時に、国債を日銀に引き受けさせて大胆な金融緩和を実行した。デフレ政策から、ゆるやかなインフレをめざすリフレ政策をとったのだ。この時、お札の印刷が間に合わずに裏面が真っ白な通称“是清札”まで印刷され、市中にはお金が溢れた。これによって日本は世界の中でもかなり早い段階で恐慌を脱出することができた。
しかも、是清はいったん国債を日銀に引き受けさせた後、そのうち9割くらいは市中に売却させることでハイパーインフレも防いでいる。見事な手腕としか言いようがない。
大恐慌の研究者として名高いFRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長は、私が大蔵官僚時代、プリンストン大学に留学していた時の学部長だったが、彼はこの是清の政策を「すばらしい着想だ」と高く評価していた。
実際にアメリカの金融政策を担うバーナンキ議長がリーマン・ショックの後、思い切った金融緩和でドルを刷りまくり、危機を脱出したのは大恐慌の研究者として当時の各国の政策に深い造詣があったからである。
現在、日本経済を苦しめているデフレ、超円高は、リーマン・ショック後に各国が金融緩和を行なっているのにもかかわらず、日本だけがそれをしなかったことが大きな原因だ。マネタリーベース(世の中に出回っているお金の総額)で考えると非常にシンプルでわかりやすい。ドルが増え、円が増えなければ、ドルの価値は下がり、円は相対的に希少性が高くなり、円高になるのは当然だ。
日本がいまやるべきなのは、思い切った金融政策で「円」を刷りまくることだ。「政府紙幣」の発行や国債の日銀引き受け、あるいは買いオペ(発行済みの国債を日銀が市場を通じて買う)など手段はいくらでもある。
そうすれば、市中にお金が増え、デフレを脱出できる。さらに為替は円高から円安に振れるから、輸出産業は大幅に収益が改善し、景気は良くなり、資金需要も増えるという相乗効果が生まれる。
それが高橋是清のとった手法だ。まずこの金融政策の大転換をしないかぎり、どんな政策も効果は薄い。
金融緩和を行なわずに、財政出動しても、変動相場制のもとでは、資金調達のために国債を発行すると長期金利が上昇して、円高になる。そうなれば輸出が減り、財政出動で増えた内需を相殺してしまうからだ。その意味では、金融緩和をせずに減税した場合も、税収不足を国債発行で補うため、同じ理屈で相殺されてしまう。
減税とまでは言わないが、税をこれ以上増やさず、金融緩和を行なうことが肝要だ。
70兆円カネを刷ればすべてが解決する
では、具体的にどの程度金融緩和をすればよいのか。
アメリカはリーマン・ショック後にドルを刷りまくったため、現在のドルのマネタリーベースはざっと2兆ドルある。それに対して日本の円は130兆円でこの間、あまり増えていない。ドル、円だけで単純な比較をすれば、割り算で、「1ドル=65円」になる。過去の為替レートの変動は7~8割程度、この計算でほぼ説明がつく。多くの“経済学者”“専門家”が信じないが、実はこんなにもシンプルな話なのだ。「為替はその国の国力を反映する」などということをもっともらしく解説する者が多いが、でたらめもいいところだ。
実際、ジョージ・ソロスなどプロの投資家は多少のアレンジはあるにせよ、私の述べたことと同じ理屈で投資を行なっている。是清にもそれがわかっていた。
仮に日本が金融緩和によって70兆円分「お札」を刷れば、マネタリーベースは200兆円となり、円の価値が下がって円安に向かう。先と同様に計算すると「1ドル=100円」に相当する。物価や為替への急激な変化を抑制するには20兆円ほどずつ3回に分けて実施するのが望ましいだろう。
自動車や電機など、日本の主要な輸出企業は想定為替レートを「1ドル=80円台」で計算しているから、100円になれば大増収増益になる。当然、税収も増え、財政再建につながる。増税の必要はまったくない。減税をするにはハードルがかなり高いが、少なくともこれ以上税金を増やさないことが肝要だ。
ところが、野田政権は高橋是清と正反対の政策をやろうとしている。
先日も、安住淳・財務相はパリで開かれたG20(20か国財務相・中央銀行総裁会議)で、「消費税率を10%に引き上げる法案を来年の通常国会に提出する」と表明した。
増税は政府が民間からカネを吸い上げるのだから、間違いなくデフレを深刻化させる。
実は、日銀にも、「政府にいわれて国債を引き受けたら負けだ」というおかしなDNAがあって、高橋是清が行なった「国債の日銀引き受け」は歴史から“抹殺”したい政策であり、「是清は大インフレを招いた」と批判してきた(是清の時代に大インフレは起きていない。戦後の大インフレはGHQの指導で行なった復興金融公庫の公債引き受けで起きたもので是清の政策とは関係ない)。
国債の日銀引き受けは禁じ手だと言われているが、そんなことはない。現実に、日銀保有国債の償還分の一部については毎年日銀が引き受けている。皆知らないだけだ。
世界中で日本人だけが財政破綻を信じている
世界経済危機を前に、日本の財務省は「増税」というデフレ深刻化政策を掲げ、日銀は金融引き締め状態を変えようとしない。まさに昭和恐慌のときの井上準之助蔵相が取ったのと同じ間違った道だ。
国民の多くは、財務省の宣伝とそれに乗った大メディアの報道で、「日本は財政危機」という間違った認識を植え付けられている。
だから安住財務相が、「増税による財政再建」を打ち出しても、「ギリシャの二の舞いにならないためには仕方がない」と思い込んでいる。
しかし、世界からは日本が財政危機だとは全く思われていない。その国の財政が破綻の危機に瀕しているのかどうかは、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のレート(保証料)を見ればわかる。破綻する可能性が高ければ、レートは上昇する。
だが、G7の中で日本(1・1%)はアメリカ(0・5%)、英国(0・9%)、ドイツ(1%)に次いで4番目に低く、フランス(1・7%)より上位にある。日本政府は借金は多いが、一方で巨額の資産(約650兆円)を持っているから、財政破綻は心配されていないのだ。この基準で言えばギリシャは約 50%で、それだけのレートがついてしまう破産状態の国だ。日本は全く違う。
それにもかかわらず、日本がこのまま金融緩和をしない、増税、といったデフレ政策を続けるなら、各国が通貨安競争で輸出を増やし、経済を立て直そうとしている一方で日本だけ円高が進み、日本の企業・経済は弱体化していく。
一刻も早く、昭和恐慌の教訓を思い出し、「井上政策」から「是清政策」への大胆な転換をはかるべきだ。
世界で信用収縮が始まり、景気が悪化する中にあって、GDP世界3位の日本が金融緩和によって景気を回復し、日本市場を拡大させることが、世界経済を支えることにつながる。リーマン・ショック後、日本はIMFに10兆円を緊急融資した。日本経済が復調すれば、今回の金融危機でも日本政府がさらに世界に金融支援する余裕も生まれるはずだ。