10年前、惜しくもこの世を去ったハバード、今日、四月七日は 誕生日で生きていれば80歳。
カミさんは友達と奈良へ、静かにハバードを偲ぼうとこの一枚を。1981年12月14日、パブロに吹き込んだ゛BORN TO BE BLUE”。
パーソネルは、FREDDIE HUBBARD (tp)HAROLD LAND (ts)BILLY CHILDS(p)LARRY KLEIN(b)STEVE HOUGHTON(ds)BUCK CLARK (per)
曲は、A面ー Gibraltar、True Colors
B面ー Born To Be Blue、Joy Spring、Up Jumped Spring
幕開けはかって地中海と大西洋を繋ぐ軍事拠点、要衝として知られた「ジブラルタル」をイメージしたハバードのオリジナル。スリルとサスペンスが交錯し、対岸のアフリカ大陸を連想させるエキゾチックな香りも帯びた名曲にして名演。酸いも甘いも噛み分けたスケールの大きいハバードのtpが縦横に駆け巡る。トランペッターを志す若者が聴いたら、誰だって憧れるだろう。
"True Colors”は゛HIGH BLUES PRESSURE”(Atlantic 1967年録音)に初出し、ハバードお気に入りのオリジナル・ナンバーで何度もレコーディングしておりアグレッシブな快演。
本盤は鮮やかなRED WAXです。
" Born To Be Blue”、「生まれながらにブルーで・・・・・」と不幸な星の下で生まれた宿命を悲哀感を滲ませつつ深追いせず、むしろ暖かく抱きしめるような包容力に満ちたプレイは見事のひと言。インストものではダントツの名ヴァージョン。密度が濃く深みのある音色も聴きもの。他のプレイヤーではちょっと真似できないでしょう。
ブラウニーの"Joy Spring”、文字通り春の喜びを目一杯tpの音色に乗せて歌い上げている。キレも良くもう何も言うことはありません、パーフェクトですね。
ハバードの人気曲の一つ"Up Jumped Spring”、曲想、曲調はリリカルだけれど、ハバードは思いの外ストレートに攻め、しかも熱くなり過ぎないよう抑制している所がカッコいい。
ベテランのランドもコルトレーン・マナーを上手く消化した渋い味を出し、特にかっての十八番"Joy Spring”ではオリジナル演奏を凌駕しているのでは、と思わせるほどのHOTな好ソロを聴かせる。また、全編に渡りクラークのパーカッションが彩りを効果的に添えている。
ハバードの懐の広さ、深さを秘めた「大人の名盤」。なお、プロデュースもハバード本人がしている。
ハバードを斜めからしか見ない人達は何億年経っても本作の魅力に到達できないだろう。ま、どうでもいい話ですが・・・・・・
ハバードを偲んでもう一つ。
72、3年頃、来日していたハバードを京都・三条河原町のジャズ喫茶?、ライブハウス?に聴きに行った。直ぐハバードの顔から汗が吹き出し、ジェスチャーで「何か拭くものを」と、偶然持っていたタオルを投げ渡した。演奏後、サインを求めると、覚えていて「サンキュウ」とバッグのキャンバス地にメンバー全員のサインを。
FREDDIE HUBBARD、GEORGE CABLES、LENNY WHITE、JUNIOR COOK、RUFUS REID
まるで昨日のように思い出される。何年過ぎようとも、いくつになってもハバードは"Evergreen"なんです。
私の場合、一体、誰なんだろう・・・
ハバードは好きですが、リーダー作がうちにはありません。
客演のものは何枚かありますが、どうも縁がありません。
そろそろ何とかせねば。
未開の原野、それも豊富な資源が埋蔵されていますから徐々に・・・・・・
たまに石ころのようなものも出てきますが、それはそれとして(笑)。