新鹿山荘控帳

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濱嘉之「報復連鎖」

2013-03-12 17:38:46 | 読書
最近、発売されていれば黙って購入する作家に濱 嘉之があります。いくつか単行本で購入していたのですが、はずれが全くなく、毎回驚いてしまう読了感です。

本日紹介するのは、シリーズ3作目で、毎作品文春文庫に書き下ろされています。
主人公は青山望を筆頭として、優秀な警察官4名による複雑な事件を解決していくストーリーです。
他の警察小説と全く異なるのは、4人とも前作では警部であり、本作品では四人とも警視に昇任しそれぞれ出先の警察署の課長として着任しており、大勢の部下を持っている設定です。青山をはじめとして同期の四人はそれぞれの能力を生かし助け合って難事件を解決していきます。もう一つの特徴は色々な組織の障害に直面しても彼らは自分たちでそれを排除してしまう、すぐれた能力を持っているのです。

毎回濱嘉之の作品は、現在日本で起きているタイムリーな事件犯罪を、ち密にその背景から登場人物まで書いてくれることです。
一般市民には想像できない内幕は、あれやこれや登場人物を想像してしまいますが、かなり核心に迫った描写はここまで書いていいのかと心配になってくるほどです。

最近ニュースに登場する「半グレ」暴走族グループが公安部も刑事部も把握していなかったとする部分についてはぞっとしてしまいます。
事件事故が起こるたびに行政がその情報を把握していなかったとよく釈明されますが、警察でもそのようなレベルだったのかと落胆させられます。

本作の小説の発端は、大間のマグロが築地に配送されてくるところから始まります。12本の伝票が、実際には13本の木枠箱が届きます。
その中には腹部を断ち割かれた男の死体が氷積めになっていました。
「半グレ」から中国マフィアを含め、東京の闇社会の勢力が大きく塗る変えられているのでは・・・

警視庁公安部、内閣情報室出身の作者だから描ける迫真の小説です。

濱嘉之の小説に登場する警視庁の捜査手法など、最近の犯罪捜査で登場しTVで解説されている事例がいくつもあります。

時間があればぜひ一読を勧めます。


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