新鹿山荘控帳

山荘管理人が季節の移ろいを、書きとめました
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「アメリカン・スナイパー」と斜陽産業

2015-03-20 18:02:22 | 芸術鑑賞
「アメリカン・スナイパー」観てきました。
ネイビーシールズの伝説のスナイパーと呼ばれクリス・カイルの実話です。
父親から狩猟の腕を叩き込まれた主人公が、9.11事件を見て30歳にしてシールズに入隊します。射撃の腕を認められ、狙撃手になります。イラクの町をパトロールする海兵隊の小隊に、戦車用の手りゅう弾を投げようとする母と少年を狙撃することから彼の経歴が始まります。
4回の赴任で公式記録では160人の敵を狙撃するのですが、帰任のたびに彼が少しづつ心が病んでいきます。
帰国するたびに除隊を考え、妻にもせがまれるのですが仲間を打たれたことでの復讐をするため、オリンピック選手出身の敵狙撃兵との対決に臨みます。

この映画には、大量破壊兵器の話もありません。世界の警察としてのアメリカも書かれていません。
TVでうつされた貿易センタービルのあの映像で、国のために戦おうとした一兵士に話を絞っての映画です。
4回目の帰国後後遺症の治療も何とか終わり、彼は後遺症で悩む兵士の治療の手助けを始めますが、射撃によるボランティアで、射撃場で病んでいる帰還兵に殺されるのです。

書店で立ち読みしましたので、経過も最後も知っていました。2月2日の朝、病んでいる帰還兵の母親に頼まれた彼は、その帰還兵の迎えの車で妻や子供たちに見送られ家を出ます。
この後どんなシーンになるのか考えていましたが、クリント・イーストウッドは米国民が誰もが知っている結末を、あっさり終わりました。
こんな終わり方でよかったのではと、私は納得しました。

葬儀と追悼式の実写の後、黒地に白のエンドロールが始まりますが、BGMもなく全く静かに延々とエンドロールが流れます。彼の死を悼むイーストウッドの演出でしょうか。見ているうちに映画の製作に携わる人々の多さに感心しました。映画の出演者よりも多いのではと思いました。

音響効果も戦場の臨場感を十分に感じられ劇場で観た甲斐がありました。

○○○****

ここまではよかったのです。
180人のキャパで、ざっと20人しかお客はいませんでした。 なのに私の後ろに夫婦が腰かけました。奥さんは気を使って小声ですが、旦那の声の大きいこと。

さて出口でチラシでも貰おうかと思ったら、何もないそうです。ですから今日も画像で紹介するものは何もありません。
自宅に戻りこんな映画を見たと土産話もできず、夫婦で来られた方は助手席の奥さんと映画の感想を語るのもできずです。
何もないのかと聞きますと、パンフレットを買ってくれと言います。落語の独演会でもチラシはあります。
そうではなくて、紙一枚でもチラシがあれば映画の話が弾むといいました。
映画上映前には作っているのだが、上映が始まると「破棄」するそうです。
破棄するものがあるのなら、出口に置いておくだけでもいいのです。
責任者が出てきて「何もない、観たままをお話しください」の一点張りです。

『あなたは実は映画が好きではないでしょう。たまたま配置換えで支配人になったのでは?』と言ってやりました。
でも私は映画館で映画鑑賞は20年ぶりくらいです。もし今日のようなことがどこの映画館でも当たり前に行われているのでしたら、映画館産業がお客の気持ちを忘れていることからして、斜陽になるのは仕方がないことですね。

そんなわけで画像はありません。ネットで検索してください。

蛇足ですが、You Tubeには、シールズのスナイパーの射撃テクニックの解説が沢山登録されています。ですから今回、1700メートル先の、敵狙撃兵に対する射撃も十分納得できるのですが、映画の中では一切その説明はありませんでした。一般の観客だ信用できるでしょうか。
彼らの狙撃技術はすごいものですよ。
さらに蛇足です。狙撃手の仕事の内容がよく分かりました。なるほどこんな事をするのかと、理解できました。

コメント
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