中小企業社長、起業家のバイブル「『ランチェスター経営』がわかる本」（竹田陽一著/フォレスト出版刊）

～儲けのしくみ、教えます！～
第一章 経営の基本をマスターしよう！～ランチェスター基本戦略～
第二章 戦略と戦術はまったく違う！～ランチェスター法則～
第三章 小さな会社の戦略を学べ！～ランチェスター「弱者の戦略」～
第四章 小さな会社が売り込められる商品を作れ！～ランチェスター商品戦略～
第五章 小さな会社は１位の地域を作れ！～ランチェスター地域戦略～
第六章 小さな会社は業界と客層を絞り込め！～ランチェスター業界・客層戦略～
第七章 小さな会社は接近戦の営業しかない！～ランチェスター営業戦略～
第八章 小さな会社はお客に好かれることが一番！～ランチェスター顧客維持戦略～

「会社が倒産しないためには、必要な粗利益を安定的に作り出す必要があります。こうした事実から、会社を経営する社長がチェックすべき最も重要な指標があります。それは『従業員一人当たりの粗利益がいくらになっているか』を早めに押さえ、業界平均のデータと比較しておくべきだということです」。

当たり前のことではあるが、失敗者の多くが見落としてしまった原則を著者は最初に強調する。

竹田氏は、本ブログでこれまで取り上げた12/2「小さな会社のすごい社長！」（羽山直臣著/フォレスト出版）、12/14「リーダーのためのとっておきのスキル」（石田淳著/フォレスト出版刊）、1/7「『仕事ごころ』にスイッチを」（小阪裕司著/フォレスト出版刊）の著者たちが師事する方である。

その竹田氏が心酔したのがフレデリック・ウィリアム・ランチェスター（Frederick Wiliam Lanchester、1868年10月28日-1946年3月8日）は、イギリスの自動車・航空工学のエンジニアである。

「若くして自動車開発に取り組み、1900年代初頭から「ランチェスター」Lanchester のブランドで独創的なメカニズムを備えた先進的な自動車を製造販売したが、市場の支持を得ることができず、後に会社を大手自動車メーカーに売却した」。

「また、ドイツのルートヴィヒ・プラントルとともに、３次元翼の理論（ランチェスター＝プラントル理論または揚力線理論）を発表した。1914年に勃発した第一次世界大戦に際し、ピタゴラスの定理にヒントを得て、2つの軍事的法則を考察、発表した。これは後に「競争の法則」と呼ばれる「ランチェスター法則」となった。ランチェスター法則は、日本では軍事より経営論として有名である」。

第1法則。（一騎打ちの法則）攻撃力＝兵力数×武器性能（質）
もし質が変わらなければ、攻撃力は兵士数に比例する。

第2法則。（間隔戦、確率戦の法則）攻撃力＝兵力数2乗×武器性能（質）
もし質が変わらなければ、攻撃力は兵士数の2乗に比例する。
（ウィキペディア）

実際のランチェスター法則、戦略は緻密な計算式がもとになっていて難しい。著者はそのエキスを取り出し、簡略化して説明してくれている。中小企業、起業家に対して著者は、第一法則を中心にすえた「弱者の戦略」を徹底することを強調する。

また、誰もがわかったつもりで誤用していることの少なくない「戦略と戦術」についても語源のギリシャ語から噛み砕くように説明する。

「『戦略（ストラテジア）とは見えざるもの』、『将軍の術』経営戦略とは『経営目標を効果的に達成するための全社的なやり方』、または『その知恵』になります」。

「『戦術（タクティコース）とは見えるもの』、『兵士の術』、手や体を何回も繰り返し、体にあせをかく仕事です」。

＜小さな会社に必要な８つの重要事項＞
①商品、または有料のサービス対策、②営業地域対策、③業界・客層対策、④営業対策、⑤顧客維持対策、⑥組織対策、⑦資金対策、⑧時間対策

＜儲けるには「商品３分に売り７分」＞
上記地域対策、業界・客層対策、営業対策、顧客維持対策を「広い意味での営業対策」を一つにまとめ、それを著者が積み上げた企業のローデータから割り出すと、「広い意味での営業対策」53％、商品対策27％、組織対策13％、資金対策7％となる。


＜「弱者の戦略」の基本を徹底的研究！＞
１）強い競争相手の差別化、２）競争目標と攻撃目標の分割、３）小規模１位主義、部分１位主義、４）細分化する、５）重要な目標を１つに絞る、６）目標の範囲を狭くする、７）接近主義、直接主義、８）経営力の集中投下、９）軽装備の実行、１０）隠密営業の実行、１１）長時間労働、１２）弱者は小さな成功で調子に乗るな

「これから起業する人は、目標をいくつも持っていれば、経営力が最も弱い立場なのですから、ほどなく分解するのは目に見えています。失敗する起業家が多いのは、あれもこれもできるという悪いクセを出して、結局何１つ集中していないからです。そういう人は、まずあなたの力を１つの目標に集中投下し、小規模１位、部分１位を達成したあとで次の目標を定めればいいのです」と戒める。