作雨作晴


日々の記憶..... 哲学研究者、赤尾秀一の日記。

 

ヘーゲル『哲学入門』序論 十二[意志と普遍]

2019年06月07日 | 哲学一般

 

§12[意志と普遍]


Dass aber der Wille /wahrhaft/ und absolut frei sei, kann das, was er will, oder sein Inhalt, nichts Anderes sein, als er selbst. Er kann nur in sich selbst wollen und sich zum Gegenstande haben. Es will also der reine Wille nicht irgend einen besondern Inhalt um seiner Besonderheit willen, sondern dass der Wille als sol­cher in seinem Tun /frei sei/ und /freigelassen werde/,oder dass der allgemeine Wille geschehe.
Die nähere Bestimmung und Entwicklung von diesem allgemei­nen Grundsätze des Willens stellt die Rechts- Pflichten- und Religionslehre dar.(※1)(※2)


第12節[意志と普遍]

しかし、意志が/真に/、かつ絶対に自由であるということは、意志自身として、意志の欲するものであり、あるいは意志の内容であって、それ以外にはあることのできないものである。意志はただ、自己自身のうちにおいてのみ欲することができ、そして自己を対象としてもつことができる。だから純粋な意志は、意志の特殊性のための特殊な内容をまったく欲していない。むしろ、意志自体はその行為において/自由であり/、かつ/自由に解き放たれている/ということ、あるいは普遍的な意志が生じていることである。意志のこの普遍的な根本原理についてのさらに詳しい規定と展開は、法律−義務−そして宗教についての教課のところで述べられる。

※1
重さが物質の根本規定であるように、真に絶対的に自由なものとして、自由は意志の根本規定であるが、この自由から意志は特殊性ではなく普遍性を求める。個人の、特殊な意志と普遍的な一般的な意志との関係を論じたカントの定言命法がここでも明らかに踏まえられている。法律や義務、宗教は人間の普遍的な一般的な意志を原理とするものだから。

※2
なにぶんにも拙訳のために誤訳の個所も多々あろうかと思います。ご指摘いただければありがたいです。これからも改善してゆきたいと思います。なお、こうしたヘーゲルの作品についても、Wikipedia のように、多数の人々の協力によってより完全な日本語訳が実現されてゆけば、そして、それが日本国民の共有財産となれば、どんなに意義あることだろうかと思います。




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