葦津泰國の、私の「視角」

 私は葦津事務所というささやかな出版社の代表です。日常起こっている様々な出来事に、受け取り方や考え方を探ってみます。

鎌倉(稲村ガ崎)からの富士

2009年02月10日 16時17分24秒 | 私の「時事評論」
 鎌倉にはもう戦前の昭和15年からですから、もう70年も住んでいることになります。
 新聞社に勤めていたころはなかなか忙しく、ゆっくり鎌倉の雰囲気を楽しむことができず、ただ休日や原稿が思うように進まないとき、何か頭の整理をしたくなったときなどに散歩して海岸を眺めるか、庭に出て風の音を聞く程度でしたが、五年ほど前に社長の座を譲り、かねて副業にしていた趣味をかねたささやかな出版事務所だけを残すことにして以来、時間ができたのでブラブラ散歩するのが楽しみになりました。
 こんな鎌倉の景色の一つが、まるで絵ハガキみたいですがここの海岸からはるかに富士山を仰ぐ景色です。我が家近接の由比ガ浜海岸からは、周りを山に囲まれた要塞の地鎌倉らしく、右手に稲村ガ崎の半島が邪魔になって富士は見えませんが、そこを越え、七里ガ浜に近づくと、その整った容姿を惜しげもなく示してくれます。お風呂屋さんの絵みたいにも見えますね。
 私は日本の日本らしいものが大好きで、この独特の日本が近年、人々の生活感から締め出され、日本中がまるで黄色い顔をした西欧人をあこがれるような浮ついた雰囲気を苦々しく思っています。同じ近代化でも、木に竹を接いだようなものではなく、日本に根ざした本物の日本文化を皆が作り出してくれればと常に思い、それを求めて文を書いてきた男です。そんな私にとって、富士はまるで私の憧れを絵に描いた姿のように感じられます。

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