北朝鮮を見据えて
米韓軍事演習があるというので、うっかりすると朝鮮動乱が再発するのではないかと緊張が走っている。
突然に韓国に弾丸を撃ち込んできた北朝鮮だ。平時においてでもあんな乱暴なことをするのだから、こちら側から挑発的な揺さぶりをかけようものなら、反撃してくるのはほぼ間違いないということらしい。そんな危険が全くないとは言い切れないとは思うが、私はこの軍事演習に限り、危険は薄いと思っている。それは北朝鮮だってい一応は国なのだ。何も分からず気違いのように暴走するだけの先を考えない捨て鉢の国ではない。彼らの軍事行動は自爆テロではないのだ。そう思ってみているからだ。
ここで北朝鮮が戦争へ走るのではないか。日ごろ、北朝鮮を凶暴な国だとぼんやり眺めているだけなら、そんな気になるかもしれない。国際常識などは常に踏みにじって、強引な無法行為を繰り返す国。日本人を強引に大量に拉致していった事件、飛行機を爆破しようとのテロ事件を起こした国、麻薬取引や偽雑印刷行使の事件をくり返す国、国際条約を守らずに独自の路線を突っ走る国、韓国に対するテロ事件、約束を守らぬ国、数え上げればきりがない。そんな行為ばかりを繰り返している。その延長線上から、そんな危険歳がささやかれるのも、まあ、あり得ないことではない。
だが、北朝鮮だって多くの国民を預かり、自国の存続を本気で考えている国なのだ。たとえ少々計算が飛躍して非常識で荒っぽく独断的であったとしても、これらの乱暴な行為が、何のために行われているのかを見たら、国が生き残るためにやっているのだということも見えてくるものである。
残念ながら、今の北朝鮮は、自国内の力だけでは、飛んでもはねても逆立ちしても、まともに国を維持していくだけの力がない。穏やかに国を運営していけば国が維持できるのならば、それほど周辺諸国をいらだたせなくても済むだろうが、凶暴性を示して、国をなだめるためにと、周辺諸国から応援や援助をして貰いそれで国を維持しなければ、とても目先が乗りきれない。そこでこのような手を相次いで打ち出すことになる。
米国を交渉先に引きずり出し、日本はじめ諸国から資源や財貨を支出させる。中国からの支援に期待する。それがなければ国が維持できないから、けんか腰にならねばならないのだ。その方程式だけはいつもしっかり身につけて眺めるようにしたい。
北朝鮮は動けないと見るのが冷静か
「朝鮮動乱を再発させるつもりだな」と、先の延坪(ヨンピョン)島攻撃事件で思わせた北朝鮮に対して、急速に韓国の対抗意識が高まった。米国も威圧外交に屈してたまるかと強い姿勢を示し、最新鋭の原子力空母までをさし向けて威圧の姿勢をとった。腰ぬけの日本の腰ぬけの政府までが、それを後ろから支援する体制をとった。これは日ごろの情報を基にこれらの国を舐めていた北朝鮮にとって、想定外のことであったかもしれない。
これでは北朝鮮にとって、対決に踏み切ると、一触即発の事態になりかねない。国を守るどころか、国が一瞬にして滅びる危機が迫っているとも見えたのではないか。
米航空母艦をはじめ連合軍の力は、いま、黄海に集まっている勢力の武力だけででも、北朝鮮の主要都市や軍備を、一瞬にして破壊させるだけのものを持っている。しかも彼らはやる気になっている。また、残念ながら、米韓軍備は向こうからならいつでも北朝鮮全土を破壊できる射程距離内にいるが、北朝鮮のミサイルや航空機では、ほんの少し届かない地点に集まり威嚇演習をやっている。戦争に踏み切れば、中国もロシアも助けてはくれない。
最悪の環境と最悪の対決意識の盛り上がりのなかで、敵は射程距離の外で軍事演習をやっている。こんな環境であえて北朝鮮は動くのだろうか。放送など、北朝鮮の言葉は猛烈に激しい。だがこれは、攻撃をすれば損だと思って、彼らがそれに力を入れていると見るのが冷静な判断なのではないだろうか。
飴玉を懸命にちらつかせる中国
注目するのは中国の動きである。今の中国にとって、非常識な国ではあっても、ここに北朝鮮という国が存在することは利用価値があることなのだ。その国が、ここで一気に衝突に走ることのないように懸命の鎮静化への動きに取り組んでいる。
中国の狙いは、散々今まで言うことを聞かず、世界に信用を失った北朝鮮だが、もう一度この国を狂気に走らぬ飴玉をやり、しばらくおとなしくさせることを考えてはどうだろうという米国・韓国・日本への説得工作だ。首脳会談を急きょ開こうなどという中国の呼びかけは、まさにこの線を行っている。
米国や韓国も、いままでの北朝鮮の実績もあり、何度も裏切られて思いもあり、素直にそうですかと同意するわけにもいかないだろう。だがすぐに、自らも大きな犠牲をも生む戦争を、ここで好んで踏み切る決断力も乏しい。
それとこのほうが重要だと思うのだが、この提案は、亡国必至の戦争は避けたいが、引っ込みがつかなくなっている北朝鮮に、振り上げたこぶしを下げる口実を与えるきっかけになるだろう。中国はこの点を捕まえて、いま北朝鮮に猛烈な圧力を加えていることと思われる。
軍事対立の緊張は、希望的観測だけをすることが許されるものではない。しかし、動きを眺める目には、こんな視点も必要ではないか。
そう思ってあえてこんな観測を述べてみる次第である。
軍事力などの物理面ではなく、ただこの種の決断は人の意思で決まる。そんな面からのみ眺めた、これは一種の時評である。
米韓軍事演習があるというので、うっかりすると朝鮮動乱が再発するのではないかと緊張が走っている。
突然に韓国に弾丸を撃ち込んできた北朝鮮だ。平時においてでもあんな乱暴なことをするのだから、こちら側から挑発的な揺さぶりをかけようものなら、反撃してくるのはほぼ間違いないということらしい。そんな危険が全くないとは言い切れないとは思うが、私はこの軍事演習に限り、危険は薄いと思っている。それは北朝鮮だってい一応は国なのだ。何も分からず気違いのように暴走するだけの先を考えない捨て鉢の国ではない。彼らの軍事行動は自爆テロではないのだ。そう思ってみているからだ。
ここで北朝鮮が戦争へ走るのではないか。日ごろ、北朝鮮を凶暴な国だとぼんやり眺めているだけなら、そんな気になるかもしれない。国際常識などは常に踏みにじって、強引な無法行為を繰り返す国。日本人を強引に大量に拉致していった事件、飛行機を爆破しようとのテロ事件を起こした国、麻薬取引や偽雑印刷行使の事件をくり返す国、国際条約を守らずに独自の路線を突っ走る国、韓国に対するテロ事件、約束を守らぬ国、数え上げればきりがない。そんな行為ばかりを繰り返している。その延長線上から、そんな危険歳がささやかれるのも、まあ、あり得ないことではない。
だが、北朝鮮だって多くの国民を預かり、自国の存続を本気で考えている国なのだ。たとえ少々計算が飛躍して非常識で荒っぽく独断的であったとしても、これらの乱暴な行為が、何のために行われているのかを見たら、国が生き残るためにやっているのだということも見えてくるものである。
残念ながら、今の北朝鮮は、自国内の力だけでは、飛んでもはねても逆立ちしても、まともに国を維持していくだけの力がない。穏やかに国を運営していけば国が維持できるのならば、それほど周辺諸国をいらだたせなくても済むだろうが、凶暴性を示して、国をなだめるためにと、周辺諸国から応援や援助をして貰いそれで国を維持しなければ、とても目先が乗りきれない。そこでこのような手を相次いで打ち出すことになる。
米国を交渉先に引きずり出し、日本はじめ諸国から資源や財貨を支出させる。中国からの支援に期待する。それがなければ国が維持できないから、けんか腰にならねばならないのだ。その方程式だけはいつもしっかり身につけて眺めるようにしたい。
北朝鮮は動けないと見るのが冷静か
「朝鮮動乱を再発させるつもりだな」と、先の延坪(ヨンピョン)島攻撃事件で思わせた北朝鮮に対して、急速に韓国の対抗意識が高まった。米国も威圧外交に屈してたまるかと強い姿勢を示し、最新鋭の原子力空母までをさし向けて威圧の姿勢をとった。腰ぬけの日本の腰ぬけの政府までが、それを後ろから支援する体制をとった。これは日ごろの情報を基にこれらの国を舐めていた北朝鮮にとって、想定外のことであったかもしれない。
これでは北朝鮮にとって、対決に踏み切ると、一触即発の事態になりかねない。国を守るどころか、国が一瞬にして滅びる危機が迫っているとも見えたのではないか。
米航空母艦をはじめ連合軍の力は、いま、黄海に集まっている勢力の武力だけででも、北朝鮮の主要都市や軍備を、一瞬にして破壊させるだけのものを持っている。しかも彼らはやる気になっている。また、残念ながら、米韓軍備は向こうからならいつでも北朝鮮全土を破壊できる射程距離内にいるが、北朝鮮のミサイルや航空機では、ほんの少し届かない地点に集まり威嚇演習をやっている。戦争に踏み切れば、中国もロシアも助けてはくれない。
最悪の環境と最悪の対決意識の盛り上がりのなかで、敵は射程距離の外で軍事演習をやっている。こんな環境であえて北朝鮮は動くのだろうか。放送など、北朝鮮の言葉は猛烈に激しい。だがこれは、攻撃をすれば損だと思って、彼らがそれに力を入れていると見るのが冷静な判断なのではないだろうか。
飴玉を懸命にちらつかせる中国
注目するのは中国の動きである。今の中国にとって、非常識な国ではあっても、ここに北朝鮮という国が存在することは利用価値があることなのだ。その国が、ここで一気に衝突に走ることのないように懸命の鎮静化への動きに取り組んでいる。
中国の狙いは、散々今まで言うことを聞かず、世界に信用を失った北朝鮮だが、もう一度この国を狂気に走らぬ飴玉をやり、しばらくおとなしくさせることを考えてはどうだろうという米国・韓国・日本への説得工作だ。首脳会談を急きょ開こうなどという中国の呼びかけは、まさにこの線を行っている。
米国や韓国も、いままでの北朝鮮の実績もあり、何度も裏切られて思いもあり、素直にそうですかと同意するわけにもいかないだろう。だがすぐに、自らも大きな犠牲をも生む戦争を、ここで好んで踏み切る決断力も乏しい。
それとこのほうが重要だと思うのだが、この提案は、亡国必至の戦争は避けたいが、引っ込みがつかなくなっている北朝鮮に、振り上げたこぶしを下げる口実を与えるきっかけになるだろう。中国はこの点を捕まえて、いま北朝鮮に猛烈な圧力を加えていることと思われる。
軍事対立の緊張は、希望的観測だけをすることが許されるものではない。しかし、動きを眺める目には、こんな視点も必要ではないか。
そう思ってあえてこんな観測を述べてみる次第である。
軍事力などの物理面ではなく、ただこの種の決断は人の意思で決まる。そんな面からのみ眺めた、これは一種の時評である。