クリントンはさすがだ

　クリントン元米国大統領が6日、北朝鮮を訪問し、金正日主席と会談ののち、主席の特別釈放命令により解放された米人女性記者、カレントTVのユナ・リー記者、ローラ・りン記者（二人とも不法入国・敵対行為で拘留されていた）を伴って帰国したことは世界から注目された。
　ニュースによると、拘束中の記者がクリントン氏が来朝すれば釈放の可能性が北朝鮮にあるとの情報を伝え知ったクリントン氏は、彼の支援者から往復20万ドルもかかるボーイング７３７型機を専用機として無償提供されて、ルートが禁止されている航路を米国軍から特別に許可されて平壌に飛び、金正日と会談、二人の女性記者の開放に成功、彼女らを乗せて帰国したのだという。
　この一部始終を記者に尋ねられたクリントン氏は
「二人の解放ができたのは良かった。金主席との会談で何を語りあったかは、私はもはや政策決定者ではない。それはオバマ大統領にすでに伝えた。私から言うことはない」
と言って一切語らなかったという。
　私はこのニュースに感心をした。クリントン氏は大統領時代に、失礼ながらあまり有能ぶりを発揮することはできなかった。だが、引退の後は、米国のために、政治決断はすべて彼に任せて、何を話したのかさえも、自分の発言が大統領の政策に影響を与えることを遠慮して口をつぐんでいる。日本では我も我もと外国に出かけていく国会議員などが、自分の話しあったことを手柄話のように話しまくり、この話が影響して日本の外交姿勢が揺さぶられ混乱し、日本の進路が迷走する例が限りない。そんな点ではさすがクリントン、常識人だと言わざるを得ない。
　さらに、ここは大切な所。米国にとっては必要なのだと判断すれば、邦貨にして2000万円近くの個人資金を自分の利益に関係ないことにポンと提供し、クリントン氏が米国のために働くチャンスを与えるような金持ちがいた。果たして日本にこんな連中がいるのだろうか。
　日本と米国では、その成り立ちが全く違うし、国民や社会の育つ土壌も違う。だが、私は国内を眺めて、もはや頭打ちで全盛期を過ぎたと評される米国には、まだまだ国民の中に西欧思想の中から育った騎士のような連中が残っているのだと感心をした。翻って武士道の国だった日本に、いまその人間性が世界に注目された「武士」と称する政治家が残っているのだろうか。

「駄目だよこの選挙は」への感想

　この前のブログに書き込んだものの同じ内容を、あるまじめなブログ（スローネットです）に投稿してみました。
　かねてからこの欄は時々使っているのですが、地味な中高年の参加するグループで、いつもは身近な孫のことなどを書いています。しかしこの投稿には活発な反応がありました。中にはわが意を得たりというところもあるので、掲載二日たったところでのご意見をちょっと紹介します。


Gさんより
やすさん　　こんばんは。やはり吠えましたね。黙っちゃいられませんね。
ごもっともな話。
お互いに言ってることが細かいね。
大判振る舞い合戦。　　それで良いのかこの日本。
小泉劇場と同じことを小沢劇場がやっている。
美人女子を刺客とか何とか言って、老外潰しに当ててそれが持て囃されている。
そんな人が当選しても数だけで、日本の国の将来の懸案が解決できるのか。
世界は今中国を筆頭に覇権主義が蔓延ってきて、力は理屈なりと・・・好きなことやりだして、アメリカもひれ伏してしまっていて日本なんかそのうち消えてしまうよ。
その時期に女の刺客が幅を利かせまともな政治家は居ない不幸で、誰を、どの政党を選べというのか。
どないなとなれ・・・の心境。

Aさんより
全く期待がもてませんね。嘆かわしい事です。

お返事Gさんへ
Gさん、夏バテ気味というのか、余計なこと言ってみても、遠吠えになるばかりだ。マニフェスト（このカタカナ語だって気に食わない。ちゃんとした日本語を使え！）が出そろい、画期的なことだと新聞やテレビが騒ぎだしたら、我慢できなくなって書いてしまいました。
　まずは財政無計画で国を潰そうとしている愚かさを書きましたが、日本の国をどんな国にしようとしているのか、世界という国を取り巻く環境に、日本はどう対応しようかというようなヴィジョンなどまるでない政党や政治家ばかりが、赤ん坊に
「これは打ち出の小づちだ。欲しいものは何でもあげるよ」
なんて、役にも立たないガラガラ玩具を振りかざして気を引こうとしている姿に、わけもわからず家を回収しようと、とりあえずこの柱をはずしてみるかと、大黒柱をのこぎりで切っているような恐ろしさを感じています。　世界情勢という環境が風となって吹いてきて、家がつぶれるより先に、これでは改築しようとしている奴が家を引き倒してしまう。
　こんなときこそ、国民に呼びかけて、困難に耐えうる国や国民の体質を強化しなければならない。だが、単に、票にならないから言わないということばかりではなく、政治をしようとする政党自身に、まとまった青写真なんて考えてみる余裕も知恵もないんですね。

お返事　Aさんへ
全く困ってしまいますね。日本の将来を本気で考え、古今東西の歴史などを参考に、日本はどう進むべきかを研究すべき政治のプロであるはずの政党がこのざまでは、本当に追い詰められて、政治家であることにより甘い汁が吸えず、責任を追及されるような事態が来れば、おれは知らないよとばかり、国民をほっぽらかして逃げて行くだけでしょう。マスコミだって、自分らが利益が上がらなくなれば、沈黙するかおかしな金を出してくれるどこかの宣伝媒体になってしまいそうだ。
　たるみ、緩みが政治の世界に強く感ぜられ、器でない人たちがその場に座っている。こんな状態になって体制が滅びていく例は、歴史には枚挙するほどの沢山の例がありますね。

G2さんより
やすさん　今日は。マニフェスト（私もこの言葉が嫌いです）には、甘いことばかり書かれていて、その代りに国民が払わなくてはいけない代償についてはほとんど触れていません。
夢のような世界が実現するのではないかと錯覚をおこしてしまいます。
また、一旦出したマニフェストを処方へのご機嫌取りでいろいろと知らない間に弄り回して骨抜きにし始めています。
「日本国を将来、○○という国にしたい。そのためには△△の政策を実施いたします。それに伴い発生する痛みは××ですが、講じる対策は赫々然々・・・」
と、はっきり言ってくれる政治家はいないものでしょうかねえ・・・
昨夜、某新聞社から「支持する政党は？各党のマニフェストは見ましたか？それによって支持政党は変わりましたか？」などと愚にもつかない質問の電話がありました。

S夫人より
やすさん　今日は。先日、SAさんのブログと併せて読ませて頂きました。
全くその通りと思っています。どの党も、票目当てのばらまき政策としか思えません。この国の将来のこと本氣に考えて居るとは思えません。
と言うより分かってない人たちが多いのではないのでしょうか。
国民もこんな政治家の言うことを真に受けて、いい顔していたら、後で大きなつけを払わなくてはならないこと覚悟しておかなくてはなりませんね。

お返事　G2さんへ
G2さん　こんにちは　こんなところで意気投合して残念がる、このこと自体がもう、どうにもならないやりきれなさを感じます。
　間違いなく彼らの作ったつけによってこの国がつぶれてしまうときが目の前にある。それなのに、そんな危機に追い込んだ国会の政党が、「国民を救う」なんて、常識から考えれば入ってはならないことを競い合って大宣伝しているのですよ。
それを見て、テレビにニュースキャスターや新聞の評論が、「明るい未来を築くには皆さんの賢明な選択を」なんて口をそろえて合唱している。
　悪夢を見ているのではないだろうか。年寄りだから、当時やっと読めるようになった新聞で、「変なっこと言っているな」と思った敗戦の六十数年前を思い出します。
　「進め一億火の玉だ」なんて政府と新聞が合唱するから、そんなものかと思っていました。
　ところが国は負けてしまった。そうしたら、新聞には、「一億国民は懺悔すべきだ」なんて急に書き始めた。
懺悔すべきなのは政府や新聞、私たちはその二つから命ぜられて、「仕方がない」と爆弾の雨の中を辛抱していたんですよ。それを棚に上げて、「お前ら懺悔せよ」でしょう。今もまた、そんなことになりそうですね

Hさんより
やすさん　今日は　選挙で日本は良くならないよー・・全く同感です。
　日本の借金は今年度末で約８１６兆円このまま両党がばら撒き続けると２０２３年には１２４４兆円になり完全に財政は破綻してしまうことになります。
　私が知っているくらいですから・当然政治家の皆さん達は知っているのです。
このまま行くと日本の国が倒産することを知っていてやるのですから、恐ろしい人達ですね。
　今は厳しい未来へお金をため込む時期なのに、各党は財政支出を競い合っている状態は・破鍵シナリオ通りに進むだけで、財政再建とは全く逆の道を選んていることになりますね。
　今回の選挙は、どちらの政党も国民に日本の国が滅びますが良いですねと呼びかける選挙になるのですね。

SAさんより
気付くのが遅くなってしまいました。
　日本の給与水準も年金額も、そして教育水準も世界のトップクラスにあります。尤も物価水準もトップクラスにありますが、唯一世界で最も低い水準にあるのが日本の政治と云うことになりますか。でなければ８００兆円を超す借金がある訳がありません。
　政治に多くを期待出来ない以上、国民として取るべきことは、欲しがりません減るまではの精神しかなく、節約・倹約の二文字しかないのではないでしょうか。
　どの政党が政権を獲ろうと、私が新政権にやって欲しいことは、「何もしないこと」なんです。ただひたすら国の借金を一円でも多く返済すること。そのためには無駄を省き、必要最小限のことのみに予算を遣うこと。その為には国民も多くを政治に求めないことを約すこと。これに徹して欲しいのです。

SAさんへのお返事
SAさん、オーソドックスな夜警国家論を聞く思いですね。議会制度はヨーロッパで独裁王政府の苛烈な税金取り立てに対して、税金は支払う連中の同意なくして取り立てるべきではないという市民階級の抵抗の中から生まれました。その機能の最も大切なものは、国に無駄遣いをさせないためのチェック機関としての働きでした。当時の議会での強い主張は夜警国家論であった。
　国は国民のために、領土と財産、つまり国の主権を保持することに存在する価値がある。その他のことは付け足しにすぎない。だから、警察、軍隊、消防など、最低限の任務をするべきであって、その他の任務は個人の自由な努力や教会などの民間機関に任せるべきだというんですね。
　それにのちになって、教育から国土整備、社会保障などの任務が追加されましたが、これが伏魔殿。予算はいくらあっても充分ではないので、どんどんこの任務にかかわる人員や経費が増加し、結局は今のような形になってしまった。
行政改革とは、国に任せて自らが努力する必要がないと思っていたことを、個人個人や民間が自分らの努力や知恵でやっていくから、国は贅肉を取って金のかからぬものにして税金を減らせ、という主張であるべきなのですね。いまは大借金が残っているから、それをなくす努力を追加してやらねばならないが。
　そんな誰にでもわかる理屈をはっきり示して、そのやり方にはいろいろあるだろうが、わが党はどこから手をつけて行き、どんな国家像を描いていくかを示して投票を競うべきものだと思います。
だれが政権をとっても、国民から税金など取らずに、どんどん利益を提供することなんかできない。国土から湯水のような石油や金や宝石が湧き出して、それを外国に売るか、おとぎ話の世界ではないのですから。
　おとぎ話を夢見るような話をせず、国民に対して、できもしない夢を信じて、毎日をだらしなく暮らして国が滅亡しないように、目を覚まして私らについてきてくださいと呼びかけるのが、本当のまじめな政党と言えるのでしょうね。

駄目だよこの選挙は

　月末に解散した衆議院も公示の日が近づき、各党の公約（マニフェスト）も出そろって、町もテレビも騒がしい。
　だが、そんな選挙を見ていて、多数の票を得ようとするからやむをえないことなのかもしれないが、
「こんな姿勢の政党ばかりだから、日本にはまじめな政治が現れないのだ」
と、憂鬱の度を深めているのは私だけではあるまい。
　どの党も、国民の前に、年金や手当や補助金の大判振る舞いをするというような政策ばかりを並べている。
　だが、今の日本の財政は大変な赤字、合計するとすでに800兆円以上の累積赤字を抱えている。今の予算は年間80兆円程度。これは10年先の収入まで、全額丸々すでに食いつぶしてしまっているということなのだ。こんな状況を見ながら平然と収入増の成算を示さず、ばらまく公約を発表することが、その党はまじめでないことを証明するようなものなのではないか。かつて、徳川時代の各藩が、膨大な赤字を出し領民は悲惨な税の取り立てに苦しみ、一揆や夜逃げや心中はは当たり前という時代になったときに、平民の中から出てきて抜擢された二宮金次郎が、「入るを量りて出ずるを制す」という大原則を掲げて次つぎに藩の大改革を行い、みごと苦境の脱出に成果を収め「二宮尊徳」と名声を高めたことがあった。
　500人の改革の誠意なき国会議員を選びだすより、その冗費を節約して一人の二宮金次郎の出現を待ちたい。ついでに悪代官の手先のような公務員の数もウンと減らしたい。これが偽らざる私の心境である。
　さらに、国民の票を集めるために、目先の欲望を誘う政策ばかりを掲げる者ばかりで、日本の国の基本姿勢をしっかり立てることを政策にするものがいないということは、日本の政治家のレベルを示していると私は思う。駄目だよこんな人に任せても。
　国内の困り果てている現況を見たらよい。確かに明日をも知れぬ状況に、首でもつる以外にないと思いつめている人がたくさんいる。だが、今の日本は皆が悪い景気を我慢して、少ない収入を分かち合って生きようとしても、国民がそろって餓死するというような最後の経済環境にあるのではない。享楽を続ける人がいる横で、絶望して命を断とうとしている人がどんどん出ている。
　日本人は今とは比べ物にならないほどの悲惨な時代を、何度もお互いに協力し、助け合うことによって乗り切ってきた。お互いに相手を大切にし、わがままや我欲を殺す国民性を回復させれば、今よりたくさんのものを食べ、その結果たくさんの糞をしてメタボに苦しむ程のぜいたくは今はできないが、この時期を乗り切ることもできるのだと思う。社会犯罪の増加も、公共新の欠如も我儘も横着も横暴も、日本人の精神気風を変えれば可能なのだ。
　そんな国に日本をして、隣に泣く人がいれば、自分の余裕を切り詰めてでも親切にする人づくりを考える。私はそんな政治家ならば、投票をする価値があると思う。今の政治家は、マニフェストを見て、深い考えもなしに単純に投票する国民と比べても、少しも政治家にふさわしい条件や素質を持っていない。
　まだある。みんなが集まる国という社会をしっかり維持し、安心できる国として伸ばしていく政治家としての見識だ。残念ながらこれはどこにも感ぜられないままの選挙である。
　いよいよ町中は宣伝カーでやかましくなる。だが私は、耳を塞いでため息をつくばかりである。