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2006-11-09 10:16:40 | Weblog
 これまで「登録制」を取らせていただきましたが、中にはどうしても匿名を希望される方もおり、今後、「事前承認制」に変更させていただきます。

日航のラスプーチン

2006-11-09 01:15:14 | Weblog
 今週の「週刊朝日」に「JAL無派閥社長の『危険な賭け』」と題する記事がある。今年2月の“クーデター”騒ぎの結果、社長の座に就いた、西松遥社長が、役員や顧問のリストラという大英断に出たというものだが、これを書いた社外ライターの取材の甘さに、思わず唸ってしまった。

 西松社長がそのような大ナタを振るえる人物であるとは、日本航空の中で誰一人として思ってはいない。彼は、失礼ながら「日航のラスプーチン」こと安永純雄上席顧問のお陰で社長の座に上り詰めることが出来た人で、安永氏には顎で使われることはあっても盾を突くことなどありえないことだ。だから、上席顧問を廃止するといっても、それはあくまでも安永氏の考えに沿って出した結論との見方が社内では一般的だ。安永氏をリストラするなど滅相もない話なのだ。先に発覚した「クーデター」を収束させるために安永氏を含めた関係者に対して“喧嘩両成敗”が下されたという報道のされ方がされたからそれを元に書いたのかもしれないが、もう少し実情を丹念に取材してから活字にすべきである。

 ところで、その安永氏だが、知る人ぞ知る、日本航空の最高実力者である。社長人事も彼のツルの一声で決まると言われるキング・メイカーで、ラスプーチンの異名を取る。新町会長も頭が上がらぬ相手で、安永氏の前に出れば「借りてきた猫」状態になる。

 この安永氏、実に不思議な経歴の持ち主だ。入退社(調べると、米国でも入社している)を繰り返し、いつの間にか、日本航空の陰の実力者の地位を築いた。ただし、彼の名前は中々表舞台に出てこない。現在の企業情報にある役員名簿にも名を連ねていない。ついこの前までは、秘書部長、そして今は上席顧問という目立たぬ地位だ。日本航空のような「親方日の丸」の大企業にあって秘書部長である安永氏が、社長を顎で使う姿など外部の人はまるで想像できまい。だが、それが現実に実在するのだ。その権勢を振るう姿は、まさしく帝政ロシアを牛耳った「怪僧ラスプーチン」そのものと言える。

 彼の実力の源泉は、政界とのパイプの太さだ。橋本元総理大臣を始めとして、歴代の政界の実力者との懇意を背景にJALを牛耳ってきた。小泉氏もそうだったが、実力政治家たちは、同席する日航の社長より先に安永氏に歩み寄って挨拶するほどだ。

 安永氏の存在が日本航空を凋落させたと指摘する社員は多い。特に、幹部クラスは異口同音にそう言う。ジャーナリストであれば、そこまで取材を掘り下げて記事を書き上げて欲しかった。このようないい加減な記事は、世論を迷わすことがあっても正しく導くことはない。