浅井久仁臣 グラフィティ         TOP>>http://www.asaikuniomi.com

日々の出来事から国際情勢まで一刀両断、鋭く斬っていきます。コメントは承認制です。但し、返事は致しませんのでご了承下さい。

NOVA is OVA?

2007-10-23 14:05:13 | Weblog
 Gaijin Potという外国人向けのサイトがある。その中にある「FORUM」では、在日外国人たちが毎日、様々な話題について率直な感想を寄せている。

 中でも英会話学校NOVAのごたごた騒ぎはこのところ最も旬な話題だ。書き込みに参加する多くがNOVAの教師や関係者を名乗るだけあって、情報はかなり正確なものが多い。

 NOVA is Ova(NOVA is over NOVAはお終い)というダジャレがあったが、授業料の返金請求訴訟に始まり、教室の閉鎖、給料の未払い、といった不祥事続きのNOVAにもはや生き残る道は残されていないと見る向きが多い。

 マスコミはここ数週間でこぞってこの問題を取り上げているが、私に言わせれば遅きに失している。NOVAのこれまでの手法を冷静に見れば、また少し取材に動いていれば、NOVAが真っ当な教育機関でなかったことがわかったはずだ。私は何度もNOVA商法の危険性をこの場で説いてきたが、別に私が英会話教育に携わっているから知り得たことではない。

 NOVAは2005年末から6年春にかけて大々的な特別割引キャンペインを行なっている。契約が長期にわたるほど一回の授業料が安価になるというシステムで複数年契約をさせたのはこの頃だ。その割引幅は誰が考えても異常なもので、私の目には、これが、最期の悪あがきに見えた。だから、『英会話学校の甘言にご用心』と題した一文を掲載した。 http://blog.goo.ne.jp/asaikuniomi_graffiti/e/4b8a1d58f4caa836d7ab556af20b088b

 あの時にTVや新聞の派手な広告を見て高額の契約をした人たちが今、次々に閉鎖するNOVAの教室から追い出され、近隣の教室に通ってはいるものの、いつまで授業が続けられるか戦々恐々としている。

 亀田問題のTBSではないが、マスコミ各社はこの問題の自分たちの責任には触れようとせず、「NOVAは酷い会社だ」と連日報道をしている。

 では、その酷い会社の広告を大々的にやらせてきたのは誰だという発想になぜならないのか、私は不思議でならない。

 Gaijin Potでは、「次はどこか」と全国展開している他の大手英会話学校の名前を挙げて、噂話を繰り広げている。

 英会話を勉強しようという皆さん、「安いから」という口車に乗せられて長期契約をしないように気をつけましょう。

 

引越し

2007-10-20 18:25:59 | Weblog
 引越しをした。引っ越したと言っても同じさいたま市内の、それも同じ区内だから大したものではない、と思っていたのだが、いやはや、やはり、引越しは一大イヴェントだ。

 まずは、大家とのバトルだ。これまでに何度か大家との確執を披瀝してきたが、案の定、最後の最後まで“荒れた”。ラジカセおばさんを想起させる大家の嫌がらせは、最後になっても収まることは無かった。

 手伝いに来てくれた学生に酷い嫌味を言って怒らせるわ、夕方に行なわれた家の引渡しの際には、朝早くから一日かけて直子と二人で大掃除をしたにもかかわらず、雨戸の裏側が汚いだの、台所の配水管が汚いなど、言いたい放題。間に入った不動産屋もその言い方の過激さと法外な要求に、大家をたしなめるほど。

 そんな嫌なことはあったが、我が愛しのジェニーの飼い主からは、心のこもったお別れの言葉とプレゼントを頂いた。我々が愛して止まないジェニーの写真を一冊のアルバムにまとめ、そして美味しい和菓子とお茶の詰め合わせが袋に入れてある。直子の涙腺が緩んだのは言うまでも無い。

 引越しから一週間経った今日、不動産屋が大家からの室内清掃費と備品の修理交換を求めた請求書を送ってきた。請求額は、想像していた以上の数字で、大家の人間性がそこに現れているような気がした。

 こうなったらこれまで我慢してきたが、大家及びその子ども達が行なってきたことを法廷の場に持ち込み、法律家の判断を仰ぐことも視野に入れようかと考えている。

ジャーナリストの品格

2007-10-18 21:24:53 | Weblog
 「国家の品格」に始まり、世の中品格ばやりである。タイトルを見て、ナンダ、お前も流行語に毒されているのかと言われそうだが、このところの我々「大人社会」の品格のなさには驚くばかりだ。中でも、マスコミの品の無さ、品格の欠如には目を覆いたくなる。そこで敢えてこの言葉を使わせていただいた。

 僕はまず、最近のマスコミのスクラム報道を遡上に上げたい。スクラム報道とは、マスコミが取材対象に押しかけるやり方を言うが、このところのスクラム報道は目に余るものがある。大相撲の横綱、朝青龍をモンゴルの大草原にまでスタッフを送り込み執拗におっかけをしたマスコミの姿や、一連の亀田一家周辺の狂乱報道を見ていると、ジャーナリズムに籍を置く人たちにまるで品性、品格が感じられない。

 亀田一家を舞い上がらせ、「亀田旋風」を吹かせた張本人であるTBSは、中でも際立って品格を欠いているように見える。視聴者のほとんどが「TBSに重大な責任有り」と思っているのに、何とか責任逃れができないかと思っているのだろう。一切これまで謝罪姿勢を示していない。

 世間を、視聴者をなめるのもいい加減にしろと言いたい。今の井上体制には、かつて「報道のTBS」と言われたのも今は昔。その面影すら感じられない。

 もちろん、責任はTBSにだけあるわけではない。他社も亀田人気に便乗してきたからだ。他社はこれまで持ち上げるだけ持ち上げておいて、今回の一戦を契機に潮が引くように「亀田批判」の側に回った。

 品格には、下品と評される部分だけでなく、職責をきちんと果たしていない怠慢も含まれる。その意味では、昨日の“謝罪”記者会見に出席した記者諸君も糾弾されて然るべきだ。

 JBC(日本ボクシング協会)は、記者会見を「狭いから」という理由で、入場制限をした。まず、週刊誌などの記者は除外。新聞、TV各社の記者も一社一人に限った。そして、会見時間や質問方法に制限を設けた。

 ここまで一方的なやり方をされて記者諸君は何故抗議をしなかったのか。僕にはその点が不可解でならない。会見場が狭いことを理由の一つに挙げたようだが、そうしたら違った場所を設定させればいいのだ。何故相手の言いなりになるのか。「君たちが誰を代表して記者会見に臨んでいるのか」と、僕は先輩面でそう言いたい。

 記者団は会見後に時間が短かったと抗議をしたようだが、そんなのは後の祭りだ。ジャーナリスト諸兄(姉)には、これからでも遅くは無い。「ジャーナリストの品格」とは何かを真剣に考えていただきたい。

 

TBSに抗議してみた

2007-10-16 21:33:45 | Weblog
 TBSの一連の亀田一家報道に抗議の電話を入れたが、その対応の悪さに驚いたとある読者から連絡を頂いた。

 そこで、先ほど私も抗議の電話をTBSに入れてみた。すると、交換手は「スポーツ局にはおつなぎできません。視聴者センターで承ります」と言う。最近、マスコミ各社のほとんどは、関係部署に電話をつながなくなっているが、こんな時には担当者が直接、説明をするべきではないかと抗議した。

 粘ってみても、交換手も頑として聞きいれず、私は、まあ、それでもいいかと電話を視聴者センターにつなぐことを了解した。

 待つこと15分。しかし、ようやく出てきた相手は、視聴者センターではなくスポーツ局の人間だと言う。ナンダ、だったら最初からそう言ってくれよと思ったが言葉を呑んだ。

 声の感じではまだ若いスタッフにTBSのこれまでの報道についての疑問を述べ、説明を求めると、驚く内容の答えが返ってきた。

 「こちらは、TV局として中継をしただけですから‥」と、まるでTBSには責任がないかのような発言をしてきたのだ。

 これが、今回のことで殺到する苦情に対処するためにTBSを代表する立場の社員が言うことか。私は仰天すると共に、抗議の声を上げた。そうすると、その社員は、自分の発言がまずいと気付いたようで、「それは私見ですから」と何度も繰り返した。

 彼がいくら発言を撤回しようとも許せなかった私は、責任ある立場にある者との話し合いを求めた。だが、そのスタッフは、つなげませんの一点張り。

 埒が明かないので私は、「話をさせてもらえないのなら自分のルートで幹部に話をしますがそれでもいいですか」と相手に聞いた。

 相手は肯定も否定もしなかった。

 すぐに私は幹部の一人の携帯に電話を入れた。かつては、結構純粋で好人物だった男だけに、“まもともな”答えが聞かれるのではと期待した。だが、その期待もあえなく裏切られた。会話は、開き直りにも似た釈明に終始したものであった。

 誰にでも、どの組織でも間違いはある。肝心なのは、過ちを犯した後の対応だ。かつて、このTV局は、オーム事件でとんでもない裏切り行為に及び、筑紫哲也さんをして「TBSは死んだ」と言わしめた。そして、「根本的な建て直し」を誓った。

 だが、あれから約15年。今回のことを通して見えてくるのは、死んだままの姿のTBSだ。

亀田選手よ、投げ技を磨け!

2007-10-12 09:58:48 | Weblog
 亀田選手が負けた。大差の判定負けであった。

 しかしながら、私の見たところ、亀田選手にとっては惜しい試合であった。特に、最終ラウンドには、亀田選手の一発逆転の投げ技が主審に邪魔されたこともあり上手く決まらず、KO勝ちに至らなかったのは惜しまれる。

 だが、あの場面は、亀田選手よ、持ち上げたらバック・ドロップ、つまりは後ろに投げるべきだよ。そうすれば、受け身の心得のない内藤選手は恐らく後頭部からマットに沈んで口から泡を吹いていたに違いない。

 それじゃあ、ボクシングではなくK-1かプロレスじゃないかって?

 冗談ですよ、バカらしい凡戦を皮肉っただけです。

 それにしても、今朝のみのもんたの、TBSの豹変振りには驚ろかされましたよ。昨日までの亀田選手一色の番組作りとは一変。今朝は、内藤選手一家をスタジオ出演させてヨイショのオン・パレイド。醜いったらありゃあしない。こういうのを「風見鶏」というのだ。

 視聴者の気持ちが完全に内藤選手にいってしまったからの変心だろうが、けしからんね。TBSの関係者は、私の一年前に書いた拙文(「TBSよ、ガキをつけ上がらせるな!」)を読んでいただきたい。

長井さんの遺志を継ぐ、ですと?

2007-10-12 01:55:02 | Weblog
 先ず最初に言っておこう。マスコミ各社よ、奇麗事を言うでない、とね。

 新聞各紙はここ数日、こぞって長井健司さんの追悼記事を書き、「長井さんの死を無駄にしてはならない」「遺志を継ぐ」などと勇ましい宣言をしている。

 お手並み拝見といきたいものですな。遺志を継ぐと宣言した以上、これまでは、フリーランス・ジャーナリストが契約締結を申し出てきても逃げてきたことを反省したのだろう。フリーの取材してきた映像や原稿を安いカネで買い叩いてきたを悔い改める決意をしたのだろう。

 そして、そこまで大口を叩くなら、朝日よ、毎日よ、ポンと金を出してフリーランス・ジャーナリズムが発展するよう養成期間を作り、きちんとした契約の下でジャーナリストを戦地に派遣したらどうですか?

 TV各局も同様だ。キャスターや報道局幹部が、長井さんの死を無駄にしないためになんたらかんたら、と崇高な発言をしている。それらのTV局も、これまで長井さんに認めてこなかった反省を踏まえて、契約やギャランティのことなど、フリーランサーを優遇しようということだろう。

 マスコミ各社さん、ここ数日間の発言、僕は絶対忘れませんからね。“約束”は絶対果たさないと舌をはさみで切りますよ(あ、これ、本当に切るわけではありません。若い人はあまり知らない童話の話ですので念の為)。

私の視点 うつ病列島ニッポンへの処方箋

2007-10-11 11:53:05 | Weblog
 私の周りを見渡すと、うつ症状を見せている大人たちが多い。ただ、それと同時に顕著に見られるのが、うつ状態に苦しむ子供たちの姿だ。成人のうつ病も深刻な問題だが、子供のうつ病にはより強い心の痛みを覚える。

 うつ症状に苦しむ子供たちに共通するのは、親たちが現実にきちんと向き合おうとしないことだ。この場合にも、罪を犯した子供の親がそうであるように「ウチの子に限って」という言葉がよく聞かれる。また中には、「そんなことを言われたら私の気がおかしくなる。ほっといてください」と言う親もいた。その母親は教師である。

 これまでに行なわれた各種のアンケート調査によると、小中学生の約1割がうつ症状を訴えている。ただ、これは、本人を対象にしたアンケート結果で、一般的に高めに出る傾向があると言われ、専門家の間では、全体の数パーセントと言われている。高学年ほど数字は増える傾向にあり、中学生になると、大人の有病率とほぼ同じではないかという説もある。

 そんな中、北海道大学の伝田健三准教授を中心とした調査ティームが文科省の資金援助を得て、札幌市内の小中学生5千人を対象にした、国際基準に基づいたアンケート調査を行なっている。

 また、それとは別に、同ティームは、中学校2校の1年生122人を対象に学校の健康診断に合わせて精神科医の診断に基づく調査も行なっている。

 その結果の一部を見ると、これまで私たちが心配していたことが現実であることが確認できる。詳細は、12日から二日間開かれる日本精神科診断学会で発表される予定だが、これまでに明らかにされた情報では、中学1年生の4.1%がうつ病と診断されたとのことだ。これは、大人の有病率が約5%と言われているから、やはりほぼ成人並みであることになる。

 この状況を放置しておけば、この国はとんでもない状態になることは間違いない。書店では今、うつ病の本がよく売れているが、これ一つを見てもニッポンはとても危ない状況にある。文科省は、“はした金”でお役目御免などと逃げずに、このアンケートなどに出されてくる実態に目を向け、対策を急ぐべきだ。

 ただし、すべて役人に任せるだけで状況が改善されるような単純な問題ではない。我々一般市民のうつ病に対する理解と環境作りも不可欠だ。うつ病は早期に適正な対処をすれば治る可能性がある病気だ。有病者を特別視したり差別することなく、社会全体でぎすぎすした今の競争社会を変えていくくらいの気概があって初めてこの問題に明かりが見えてくる。マスコミには、センセイショナルに扱うのではなく、読者や視聴者とこの問題を共に考えていく環境作りをしてもらいたい。

 そういった国全体で取り組む姿勢がなければ、今や“国民病”となったと言っても過言ではないうつ病のこれ以上の広がりを防ぐことは出来ないのではないか。特に、かわいい子供たちのことを思うのであれば、私たち大人の責務としてこのことに今こそ向き合うべきだ。

私の視点 ホコリ高き独裁者

2007-10-10 12:20:37 | Weblog
 小沢民主党代表の資金管理団体である「陸山会」が政治資金で購入した都内のマンション二部屋をコンサルタント会社などに貸して、家賃収入を得ていたことが分かった。

 政治資金規正法では、政治団体が家賃収入を得ることを禁じていないが、「利殖目的での不動産取得及び賃貸」は違法の恐れが高い。これに対して小沢事務所は「家賃は相場よりも安く、利殖目的にはあたらない」と反論しているが、その反論の仕方が、これまで何度も疑惑に包まれて辞任した大臣と何ら変りはない。民主党の支持者の中から失望の声がこれから上がってくるだろう。

 小沢氏の資金の実態についてはこれまであまり俎上に上げられたことはなかった。だが、小沢氏を知る者の間では、「こんなもの、氷山の一角」との見方で共通している。かつて金儲けの天才と言われた故田中角栄氏の懐刀として知られた小沢氏だ。錬金術にかけては自民党時代から定評があり、民主党内においても、恐らく小沢氏の右に出る者はいないだろう。いや、小沢氏の足許にも及ばないはずだ。

 自民党時代に金丸氏と共に貯め込んだと言われる巨額の資金の行方を知る者は少ないが、永田町スズメの間では「“天下”を取るためにどこかに蓄え、“その日”が来るのを虎視眈々と狙ってたはず」との見方が一般的だ。

 長年、政界の清濁を併せ呑んできた彼の体のどこを叩いてもホコリは出てくるに間違いない。それを知る自民党議員の中には、小沢氏の「過去」を徹底的に洗えと声を上げる者もいる。だが、肝心の党幹部の多くは、かつて小沢氏が自民党を牛耳っていた時、弱みを握られてしまっているから、「そうは問屋が卸せんのよ」となる。福田首相はと言えば、小沢氏に弱点を見せていない数少ない幹部だが、いかんせんまだ党内における影響力に欠ける。だから、挙党一致で小沢氏叩きとはいかないのが実情と見る。

 小沢氏がいつまでも「誇り高き男」でいられるのは、福田首相の手腕次第だ。今後福田氏が党内をまとめ上げ、警察や検察を掌握すれば、官僚や政府幹部からのマスコミへの情報のリークも出てくるだろう。そして、小沢氏の周辺の洗い出しが急速に進む可能性もある。そうすると、一転して「ホコリ高き(だらけ?)男」、つまりはスキャンダルまみれになって失墜することだって有り得る。

 年金問題と自民党の自壊という追い風を受けて参院を制した小沢民主党だが、小沢氏のこれまでを考えると、一寸先は闇だ。一歩間違えれば、一瞬にして国民の支持を失い、総選挙で大敗する可能性すらある。

 そうならないためにも、「小沢独裁体制」を許してはならない。今、民主党内においては小沢氏を批判することは御法度の空気すらあるという。こんな政党の現状を見れば、何がデモクラスィーだ、民主主義だ!と言いたくもなる。

 民主党の議員諸君には頑張ってもらって、だめだと思うことにははっきりと小沢体制に異を唱えるくらいの勇気は見せて欲しいものだ。小沢氏の資産に関しても、この際、全容を明らかにするよう迫るぐらいの意気込みを見せて欲しい。それがあってこそ、真の民主主義を標榜する政党と言えるのではないだろうか。

長井さんの葬儀に出なかった理由

2007-10-09 21:02:57 | Weblog
 昨日、大々的に報道されていたからご存知の方も多かろうが、ミャンマーで非業の死を遂げた映像ジャーナリストの長井健司さんの告別式が、東京青山で行なわれた。

 葬儀に参列しようと、前から入っていたスケジュールを変更したが、当日になると、どうしても行く気になれず、ニュース番組の現場からの実況中継に映し出される葬儀場に掲げられた長井さんの遺影にひとり自宅で手を合わせた。

 気が重くなった原因は、長井さんが所属していたAPF通信の山路代表への不信感だ。私はかつて、山路氏に対してジャーナリストとして、人間として彼のやり方に疑問を持ち、あるTV局の責任者を間に入れて対峙した事がある。長井さんに、その点に触れて「なんであなたのような人がAPFにいるの?」と聞いたことがある。すると、長い沈黙の後、長井さんは、離れられない事情を、苦渋に満ちた表情で真情を吐露してくれた。

 だから余計に、TV画面で聞く山路氏の言葉が私の心に沁み込んでこないのだ。

 今、マスコミは競って「長井さんモノ」を取り上げている。普通に考えれば、長井さんが撮って来た映像がかなりの利益を生み出しているはずだ。余計なお節介だが、長井さんは生前、故郷に住む年老いたご両親のことを気にしていた。だから、長井さんの生み出した利益がきちんと長井さんのご遺族のもとに届けられることを願うばかりだ。

 「浅井さん、そんなことはもういいですよ」

 祭壇に飾られた長井さんの遺影はそう言っている様にも見える。また、銃弾に斃れてもカメラを放さなかった、長井さんの雄姿を捉えた一枚の写真は、そんなどろどろした人間関係を超えた崇高さをもって見る者の心を打つ。だが、私のような心の狭い人間は、“つまらん”ことが気になって仕方がない。

 “戦友”として私に何ができるか。何をしなければならないか。今考え中だ。

無礼な女優を集団リンチ

2007-10-04 19:21:47 | Weblog
 一人の若い女優をつかまえて態度が悪いと大騒ぎをしている。それも、TVのワイドショーや週刊誌に止まらず、TVのニュース番組までもがその話題を扱っていた。まさに世を挙げての集団リンチだ。

 馬鹿も休み休み言えとはこのことだ。おそらく彼女は年齢もまだ二十歳前後だろう。ハタチと言えば、まだ世情も分からずに様々な態度でその不安を隠そうとする。中には、生意気な態度を見せる者もいる。そんな若者に相対しても「大人」に余裕があれば、そんな態度も可愛いく見える筈。

 なのに、今回は「大人社会」が拳を振り上げて一人の「世間知らず」を糾弾している。ホント、日本って国は‥‥と見るのは私だけであろうか。

 彼女は女優だ。それも、恐らく最近デビューしたばかりの新人だ。裏読みをすれば、彼女を売り出すために「嫌われキャラ」を演じさせているのかも分からない。もしかしたら、拳を上げて彼女の無礼をなじっているあなた、映画会社の策略にまんまとはまったかもしれませんよ。

米国の要望書は命令書に非ず

2007-10-02 12:34:42 | Weblog
 日本郵政公社の民営化が昨日、始まった。

 民営化を記念しての式典に参加した小泉元総理の誇らしげな笑顔がなんとも空々しい。それに比べて、浮かぬ表情の福田首相を見ていると、郵政事業の将来が心配になってくる。

 相変わらず日本のマスコミは、民営化の事実を報ずるのみ。その問題点を取り上げるものの、事の真相を深く掘り下げようとはしない。

 郵政民営化の私の視点は、2年前に発表した「小泉マジックの種明かし」(http://blog.goo.ne.jp/asaikuniomi_graffiti/e/0c2ba58598c9934f5990afbfa4ff5ae9)に詳しいが、今一度皆さんにお読みいただき、郵政民営化の裏側を知って頂きたいと思う。

 郵政民営化については、上述の評論にも登場するが、米国の日本への改革要望書、正式には「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」と言うのだが、この毎年米政府から送られてくる要望が、大きく影響している。この要望書の中身をお読み頂ければ(在日米大使館のホーム・ペイジに掲載されている)、これが「今のニッポン」を作っていると言っても過言でないことに気付かされる。

 この文書は、1993年、当時の首相、宮澤喜一氏がクリントン大統領に「日米関係を良くする為にお互いに要望を出しましょう」と提案(事実上の押し付け)されて認めてしまったもので、その後毎年、両国は相手国政府に対して改善希望を出してきた。

 これに対して日本政府は、「要望書」を命令書とでも勘違いしたのか、郵政民営化だけでなく、法務、流通(大規模店舗の規制緩和など)、情報技術などの分野における大幅な改革要求を鵜呑みにしてきた。ビッグ・バンに始まり、IT、イノベーションと横文字が、首相の所信表明演説に乱用されてきたことにもそれは現れている。

 郵政民営化をもう一度考える意味でも、また、他の愚策を今後許さぬためにも是非皆さんも米国政府の改革要望書に目を通しておいて頂きたい。

 ちなみに、日本政府の米国に対する改革要望書はどんなものかと先ほど外務省の北米2課に訊ねたところ、電話に出た職員は米国から日本に対して出されている要望書の存在すらも知らず、「あなたそれで外務省の正式職員?」と言ってしまった。