浅井久仁臣 グラフィティ         TOP>>http://www.asaikuniomi.com

日々の出来事から国際情勢まで一刀両断、鋭く斬っていきます。コメントは承認制です。但し、返事は致しませんのでご了承下さい。

学園祭にエコ容器

2008-10-31 00:32:49 | Weblog
 先日、招待されて覗きに行った私立女子中高一環校の学園祭で、生徒たちがやる店や校内の食堂で出される食べ物がプラスチック容器を使って売られていたことに大きな疑問を持ったことを書いた。

 そんなことに疑問を持つ生徒や学生も当然いるはず、と思っていると、獨協大学の学生が近く開かれる学園祭で、暖房用の固形燃料に換えることが可能な素材の「エコ容器」を使うと30日の朝日新聞は紹介している。

 学生たちはさらに、使用済みの容器は、原油高騰で燃料高に悩む農家へ寄贈しようと考えているという。模擬店で出る廃油も回収し、石鹸にするそうだ。

 何も考えずに、ただ儲かるからと、大手ドーナッツ販売会社やチェーン・コーヒーなどから大量に仕入れて売っている生徒が多いと聞く。それを見て教師たちは何も感じないのだろうかと疑問に思う。

 この動きに多くの学校関係者が注目をして欲しいものだ。教育の場ではこのように自分たちの行動から生徒や学生たちに社会との接点や社会への貢献を考えるように導いていくことができる。先生たちよ、五感を磨いておかないと、生徒たちに置いてきぼりにされますよ。
 

私の視点 小沢さん、違うんじゃないの?

2008-10-29 09:59:03 | Weblog
 小沢民主党が迷走中だ。

 政権交代を狙う民主党は、解散総選挙を焦るあまり、今国会では本来であれば反対に回る法案に相次いで賛成。麻生総理に早期解散を迫った。

 だが、これは小沢さん、戦略を誤った。なぜなら、「負けると最初から分かっている選挙を自民党がやるはずはない」からだ。

 解散権を持つのは、皆さん御存知の通り、総理大臣の麻生氏である。その麻生氏は、総理になりたくて何度も総裁選に挑戦してようやく最高権力者の地位を得たばかり。各種世論調査で、自民党不利と伝えられれば、選挙に打って出たくはない。

 投票日が何回か噂されると、現職、新人を問わず、候補予定者たちは選挙区に飛び出した。各地に選挙事務所が開かれた。

 これは、野党だけでなく与党も同様だ。麻生氏は解散するつもりだと自民党の幹部たちは言い続けてきた。

 だが、私は疑いの眼差しを向けてきた。これまでの解散時期を巡る情報については、小沢一郎陣営の動きを探る陽動作戦の可能性が高かったと見ている。この辺りの事については、自民党をよく知る国民新党の亀井静香氏が「負け戦と最初から分かっているのに解散をやるはずがないじゃないか」と盛んに永田町で吼えていた。

 小沢民主党は、麻生自民党が逃げていると分かると、一転して国会審議の引き延ばしを図っている。だが、そのやり方は政権政党を目指す党がやる方法としてはいかがなものか。

 世界は今、金融恐慌という世紀の一大事に直面している。これは民主党だけではなく全ての政党に言えることだが、こんな時こそ、政局にうつつを抜かしているのではなく、国民に分かり易い政策・目標を明確に打ち出して、街に出て大衆に訴え、国会では堂々と政策論争を繰り広げるべき時である。

 そうすれば、我々有権者にも各政党の考え方や政党間の違いが分かり易くなり、政治への興味もわき、一緒に考えるようになる。

 政策論争には当然、これまで日本を「良い意味でも(これはほとんどない)悪い意味でも(数多ある)」変えてきたアメリカからの年次改革要望書(注)を取り上げることも作戦として必要だ。

 これまでアメリカからの「年次改革要望書」は、「郵政民営化」や「労働派遣事業の自由化」のいわば言いだしっぺだ。実質的には郵政事業や終身雇用制度を崩壊させ、アメリカの企業が日本で活動をしやすいように変えてきた。その最大功労賞があるとすれば、小泉元総理に与えられることは言うまでもないが、歴代の総理は全てそれに従ってきた、いや従わされてきた。

 だから、先日米通商部から送られてきた2008年度の改革要望書を基にして、小沢氏が総理になった暁には「普通の国(つまりは、アメリカからも独立した状態)」にすると言うのであれば、その辺りから国民を導いていって欲しいものだ。

 ちなみに、今年の改革要望書で目立ったのは、「最大残留農薬レヴェルの緩和」と「確定拠出型年金制度の拡大」だ。

 これは、「アメリカからの農産物の規制を緩めろ」「公的年金制度は廃止せよ」という脅しだ。農産物に関しては、農薬業界は言うに及ばず、遺伝子組み換え作物(GMO)の多国籍企業に利益をもたらすための圧力だ。また、公的年金については、廃止させて米国の金融業界にビジネスチャンスをもたらそうとする狙いだと考えて間違いはなかろう。

 これぞ小沢民主党を国民に知ってもらう千載一遇の機会と捉えるべきだ。民主党は今こそ堂々と持論を展開し、国民と共に国の方針を見定めていくべきだ。そうすれば、自ずと政権奪取への道は開かれる。

 旧態依然とした引き延ばし作戦をしているようでは、たとえ政権を握っても日本を明るい将来に導くことはできまい。小沢さん、今からでも遅くはない。方針を今一度洗い直して、これまでとは違う民主党の姿を見せてもらえないだろうか。

 ねじれ国会を利用して国会を混乱させて解散に持ち込もうとする作戦なんて小沢さん、くどいようですが間違ってますよ。

 

汚れた名誉博士号

2008-10-28 21:59:39 | Weblog
 茶番だ。

 日本体育大学は23日、「名誉博士称号」をクウェート国シェイク・アハマド・アル・ファハド・アル・サバーハAOC(アジア・オリンピック評議会)会長に授与した。

 同大学のHPによると、授与した理由を、

 「これは、シェイク・アハマド・アル・ファハド・アル・サバーハ殿下の、アジアのみならず、国際的な立場から学術・文化・教育・スポーツの発展に寄与され、かつ我が国と、クウェート国、アジア・オリンピック評議会との間の交流を促進した顕著な功績を評価し、授与したものである。
 また、本学が『建学の精神』に基づき、一貫して追求し続けてきた、体育・スポーツを通じた心身の健康を育み、かつ世界レベルの優秀な競技者を育成するということ、そして、ミッションに謳っている“オリンピックムーブメントを主導的に推進し、スポーツの「力」を基軸に、国際平和の実現に寄与する”ことと一致するものである」としている。

 アハマド殿下と言えば、アジア・オリンピック評議会会長で、その豊富な資金を背景にして国際オリンピック委員会においても影響力は絶大だ。北京五輪のハンドボールの予選やり直し紛争の時には、その影響力を使ってルールを捻じ曲げ、自国を優位に立たせたこともある。

 そんなアハマド会長になぜ今さら名誉博士号を授けて表彰する必要があるのか。

 疑問は簡単に解けた。関係者によると、2016年オリンピックの東京招致キャンペインの一つとして行われたと言うのだ。
 
 原油高で唸るほど収入があるアハマド会長は、移動するのも専用機である。日本に向かう専用機の中で、日本ハンドボール協会の市原副会長が詫びを入れる形で「ハンドボール紛争」に幕を引くと、同会長は上機嫌で授与式に向かった。

 聞いたところでは、授与式の後に行なわれた記者会見の際に、麻生首相からお祝いの電話が入ったという。

 ご機嫌のアハマド会長、東京が立候補している夏季五輪招致について「アジアの国として全面的にサポートしなければならない。長野や北京と同様に、アジアにスポーツを広めることが信条だ。100パーセントの協力を惜しまない」と述べ、立候補の4都市のうち唯一東京への支援を表明した。

 こんなことまでしてやるオリンピックに何の意味があるのか。そんなことよりも石原さん、都民が安心して生活できるように医者の確保に金を使ったらいかがですかな?

母校合唱部が世界一に

2008-10-27 19:38:38 | Weblog
 母校の岡崎高校の合唱部がここのところ大活躍だ。

 週末に行なわれた「第61回全日本合唱コンクール」の高校B部門(33人以上)で、同部は金賞(文部科学大臣賞)を勝ち取った。数年前には、世界一のグランプリにも輝いている強豪としてその世界では名高い。

 「そんな母校自慢をされてもどうせ浅井と合唱とは無関係だろう?」と思われるかも知れぬが、実は短期間だが柔道をやる片手間に合唱部に所属したことがあるのだ。つまりは後輩自慢ということになる。

 私がいた頃は、同部は今のような「全国、いや全世界レヴェル」ではなく、県大会の上位入賞程度であった。

 私なんぞは音符もロクに読めず、しかも声が大きすぎてハーモニーを壊してしまう、およそコーラスには似つかわしくない生徒だった。結局は「浅井君、この前一人でナポリ民謡を歌っていたわよね。素晴らしかったわ。そこで、あなたにお勧めの役があるんだけど」と顧問から「ソロ歌手デビュー」を勧められた。これは、体のいい“追放”処分だったのではないかと今になって思う。

 「他人の迷惑顧みず」
 私は当時、他人の気持ちを慮(おもんばか)る姿勢に欠けていた気来があった。だから、恐らく多くの迷惑をかけていたに違いない。

 体のいい追放処分を受けても深刻に受け止めず、それよりも「何でも挑戦してやろう」という気概が私を突き動かした。

 お人好しの私はブラスバンド部にのこのこ出かけ、500人位の卒業生を前にナポリ民謡を唄ったが、ブラスバンドとのキーが合わず(無知だったのだ。キーを調整することすら知らなかった)、最後は高音が出ずに頭をかいて舞台から降りた。

 それですっかりやる気を失った私は、合唱部に再び戻ることはなかった。卒業時のアルバム撮影にも参加しなかったように記憶している。顧問は私の姿を見なくなって恐らく肩をなでおろしていたことだろう。

 それからしばらくしてのことだ。「最近のコーラス部の活躍は凄いぞ」と合唱部で一緒だった親友が教えてくれたが、コーラスへの興味を失っていた私は、友人の報告を聞き流していた。

 すると、数年前のこと。杉浦正健氏(当時、法務大臣)が「小泉メルマガ」に「母校の合唱部が世界グランプリ受賞」と書いていたのを読んで、その凄さが本物であることを知った。

 今年はどこで世界大会をやるか知らないが、後輩たちが心置きなく力量を発揮できることを願っている。そして、こんな暗い時だ。出来れば好成績、いや本音を言おう、グランプリに輝いて欲しいと思っている。

 ところがここでどんでん返し。実はここまで書いたところで、今年の世界大会はどこでやるのかと「合唱連盟」に問い合わせたところ、「各国一位が集まって競う世界大会はない」とのこと。

 しかし、ネットで「World Choir Okazaki Highschool」で検索してみると、ナント今年もオーストリアで7月に開かれた「合唱オリンピック」とも言われる世界大会の青年混声部門で最高得点を挙げてグランプリに輝いていた。

 後輩たちよ、よくやった!

 

JFKとオバーマ

2008-10-26 01:17:32 | Weblog
 米大統領選挙のニュースを追いかけていると、時折り絶望的になる。

 様々な面で斬新さを訴えるバラク・オバーマ候補だが、いざ戦争になると、アメリカ人の顔そのものになる。

 日本のメディアでは、イラク戦争からの撤退を公言しており、戦争反対論者であるかのように言われているが、確かにイラクからの段階的な撤退は実行するだろうが、その一方でアフガニスタンへの増兵に積極的なのだ。

 そんなオバーマ氏とついついある人物を重ねてみてしまう。かつて、若者たちを熱狂させた「新星」ジョン・F・ケネディだ。彼が大統領になり、しばらくしてインドシナ戦争を次々に戦線拡大し、多くの若者たちを戦場に送り込んだことが昨日のことのように思い出される。

 下手をしたら今陥りかけている金融恐慌の突破口を開ける手段として、大統領になった暁に、オバーマ氏が戦争を選ぶこともあり得る。これからますます彼の動向に目が離せない。

世紀に一回のツナミか?

2008-10-25 01:47:50 | Weblog
 グリーンスパンと言えば、ミスターFRB(米連邦準備制度理事会)と言われた、米国の金融界の大御所だ。

 そのグリーンスパン前FRB議長が23日、米議会下院の政府改革委員会で「世界は今、一世紀に一度の信用ツナミの真っ只中にいる」と現在の金融危機を表現する発言をして注目されている。つまり、彼の目からすると、今世界は、大恐慌の荒波に巻き込まれている状態だというのだ。

 前議長は金融危機の原因に関して、(自らがFRBの議長をしていた時期を含めて)金融機関の審査が徹底しておらず、焦げ付きが起き易い取引がまかり通っていたこと、又それを十分に把握せずに対策を講じなかったことを指摘した。そして、自分の責任も一部認めている。

 金融危機は、「推測していたよりもはるかに大きな規模となった」とその規模にショックを受けたと言明、今後も「一時解雇や失業が急増するのは避けられないと思う」と指摘して、米国の失業率(過去1年間で4.7%から6.1%に上昇)が一層悪化して、「将来、何が起きるか予見できない」状況であると見ていることを明らかにした。

 FRBと言えば、米国の中央銀行だ。その総裁であったグリーンスパン氏の発言だけに、これは深刻だ。それを受けて、24日のニューヨークの株式市場の株価は急落している。

 11月15日に米国で主要国と途上国計20カ国による「G20緊急首脳会議」を開く予定だが、ここで協調体制がきっちり組めないと、29年の世界恐慌の道に完全に突き進むことになりかねない。その辺りを憂慮するEU(欧州連合)首脳は、G20に先駆けて、EUの足並み(一度はまとまりかけてEU共通の公的救済基金構想が暗礁に乗り上げている)を揃えるために7日に緊急首脳会議を開くことを決定した。

八百長について考える

2008-10-23 23:37:31 | Weblog
 相撲界の騒動を見ていていくつかのことを思い出した。その一つが、かつて相撲界に籍を置き、その後プロレス界に転じて国民的英雄になり大成功を収めた力道山のことだ。

 彼は、当時日本の占領下にあった北朝鮮で生まれ育ち17歳で来日、関脇にまで昇進した有望力士(筆者注)であった。ところが昇進してすぐ、将来を嘱望される中、引退してプロレスに転じ世間をあっと言わせた。

 一部では、彼が朝鮮人であったことから来る人種差別に嫌気がさしたのではないかという声もあったようだが、私は、アメリカが力道山に目をつけて、敗戦で勢いをなくしていた日本人を景気付けるためにヒーローに仕立て上げたと見ている。

 髷を落とし、ハワイでプロレスの修行をして帰国した力道山は、すっかりプロレスラーに変貌、新天地でも人気を勝ち取っていった。

 そこに、TV放送の開始(1953年)がプロレス人気の大きな後押しとなり、大衆がお目見えしたばかりのTVの前で国中を挙げて力道山に大声援を送っていた。

 敗戦後の苦しい生活の中、戦争に敗れたことだけでなく、その後見せ付けられる超大国アメリカの姿に圧倒されていた日本人にとって、大男揃いのアメリカ人レスラーをカラテ・チョップで叩きのめす力道山の“勇姿”は、ヒーローそのものであった。

 対戦結果は、翌朝の一般紙でも紹介され、プロレスは相撲をはるかに上回る人気を誇り、世界選手権を銘打った一大イヴェントでは、興奮するあまり命を落とす視聴者が何人も出るほどの社会現象ともなった。

 A少年も他人の家に上がりこんで(わが家にはTVがなかった)大声を張り上げていた。翌朝、前夜の試合のことが学校で子供たちの話題の中心になり、話は尽きなかった。

 成長して考えれば、力道山が最初はアメリカ人レスラーから執拗で悪辣な攻撃を受けても耐え忍び、多くの場合、血を流しながらも最後には必ず逆転勝利を収めたり、試合が放送時間内にきっちり“劇的な結末”を迎えること自体おかしなことであったが、当時はその点を疑う声は周囲からは聞かれなかったし、私も疑問に感じることはなかった。

 ところが、後になって、流血場面では動物の血が使われたり、試合の流れはシナリオがあり最初から勝敗は決まっていることが関係者から明らかにされるようになり、また、不死身のはずであった力道山が、ヤクザとの喧嘩で腹を刺されてあっけなく命を落とすと、プロレスへの熱気は一気に冷え込んだ。

 その後、力道山の愛弟子であったジャイアント馬場とアントニオ猪木が、団体を分裂させたものの活躍し、一時的にせよプロレス人気を復活させた。だが、50年代から60年代にかけての隆盛期(ゴールデンタイムに放送され、視聴率が6割を超えたこともある)の再現はついぞ成し得なかった。

 そんなプロレスの盛衰を見ると、大相撲はこの際一度は潔く(今さら潔いとは言わないが)八百長の存在を認め、文字通り「仕切り直し」を図るべきではないだろうか。

 20年以上前から“無気力相撲”は角界全体に広まり、7勝7敗で千秋楽を迎える力士のほとんどが、勝ち越すのは今や“常識”だ。

 平成の大横綱として誉れ高い元横綱貴乃花(現審判部副部長)も、若貴人気の絶頂期、それは兄弟がまだ仲睦まじかった頃でもあったが、兄弟で優勝決定戦に進むと誰の目にも明らかな「無気力相撲」を取り、兄若乃花に優勝を譲った。

 さらに、それから数年後、負傷をおして出場して優勝を勝ち取り、観戦に来ていた小泉首相(当時)を、「感動した!」と言わしめた相撲も、これは相手力士の武蔵丸が無気力相撲の典型。自分から転がったようなものであった。ファンの多くは興奮したようだが、小さい頃から相撲を愛し続けてきた私は舌打ちし、思わず「もう相撲を観るのをやめた」とTVの前でつぶやいたものだ。

 大横綱、ガチンコ力士と言われた力士でさえこの調子だ。相撲界に蔓延した八百長体質を根底から払拭させるには、外部の存在なくしてはありえない。

 プロレスが飽きられたように、相撲が奈落の底に落ちるのは、今や時間の問題だ。一度でいいから相撲協会は、外部の力で洗いざらい恥部を明らかにしてもらうべきだ。かつて相撲をこよなく愛した者として、相撲協会に強く訴えたい。

【筆者注】
力道山の弟弟子の一人が若貴兄弟の伯父である初代若乃花。その後、名横綱になった若乃花が下位力士であった頃、猛稽古に根を上げて脱走した際、力道山は厳しくも優しい対応をして若乃花にやる気を起こさせたと言われている。

株価下落

2008-10-23 10:27:06 | Weblog
 株価の下げ局面が一層悪化しているようだ。今日も東京市場は、昨日のNY市場の下落を受けて大幅に下げている。

 それもそのはず。一時は、ブラウン英首相のリードでまとまりかけた欧米先進諸国だが、いざ公約を実行に移す段になると、国内事情から足並みを乱している。この流れに対して、各国が自国の利益誘導はひとまず置いておいて対策を講じないと、残念ながらこの下げ局面を食い止めることは難しい。

 私の周りにも、この乱高下の局面を千載一遇の金儲けの機会と捉える向きもあるが、それが「遊び金」で投資するならギャンブルと同じだから悪くなかろうが、退職金などの一部を注ぎ込むことだけは、前回も警告したが、絶対に避けた方が良い。

消えぬ八百長体質

2008-10-22 21:46:00 | Weblog
 相撲界を八百長問題が揺るがしている。有名力士が八百長に手を染めていたのではないかと疑われているのだから事は深刻だ。

 八百長問題に関しては、遠い昔から時折り問題になっていた。特に、カド番大関(その場所に負け越すと、大関の地位から転落する可能性がある大関を指す)が7敗になってからの取り組みに疑いがもたれてきた。なぜか、カド番大関の多くが、7勝7敗で千秋楽を迎えると、勝ち越してしまうからだ。

 A少年は、相撲をこよなく愛していた。相撲が強いだけでなく、小学校低学年で横綱の土俵入りが手順を間違えることなくできる子であった。場所中は、ラジオにかじりつき手に汗して相撲中継を聴いていた。TVが普及するようになると、急いで学校から帰り、贔屓の相撲取りの応援をした。

 それだけに、八百長相撲を見抜けてしまうようになり、10代後半になると相撲への興味を失った。時折り、TV中継される相撲を見ることはあったが、八百長を疑われる一番を見ると、時間を損した気になった。

 20年前くらいだろうか。八百長疑惑が大きく報じられ、客の入りが悪くなると、相撲界は「無気力相撲」の存在を認め、罰則規定を作った(と記憶している)。当時の理事長であった二子山親方(初代若乃花)が現役時代、ガチンコ勝負にこだわった力士と言われた力士だっただけに、本気になっているように思われた。

 だが、結局は、根本から「八百長体質」を改善するまでには至らず、その後も首を傾げざるを得ない一番が絶えることはなかった。

 若貴決戦と言われた、兄・若乃花と弟・貴乃花の優勝決定戦、兄弟対決などは、かつての相撲ファンにとっては最も見たくない一番であった。当時の両者の力の差は歴然。どこから挑んでも兄が弟を倒す目はなかった。だが、貴乃花はあっけなく土俵に這い、弟の優勝を許した。また、ケガをおして出場して逆転優勝し、観戦していた小泉首相(当時)に「カンドーした!」と言わしめた大一番などは、今になっても腹立たしい「一大イヴェント」だ。

 だから、今になって相撲協会が八百長の存在を否定しても白々しさは隠せないのだ。ここまでくると、プロレスのように八百長を認めて違った演出での再興を図るか、八百長の根底からの払拭に取り組むか、どちらかしか道はないであろう。

米大統領選 勝負はついた

2008-10-20 16:37:33 | Weblog
 長かった米大統領選挙も残すところ後半月。その大勢が決まろうとしている。

 いくつかの世論調査でここのところ常にマケイン候補を上回る人気を示しているバラク・オバーマ氏だが、先週末、大きな動きが彼をホワイト・ハウスに後押しする形となった。

 18日、ミズオーリ州のセイン・ルーイスで10万人、カンザス市で7万5千人の大規模集会に成功したオバーマ陣営は、9月だけで1億ドル(約100億円)という巨額に上る支援金を集めたと発表した。さらに、追い風はそれに止まらず、本来なら敵陣営にあるはずのコーリン・パウエル元国務長官(共和党)が、「今アメリカが必要としているのはバラク・オバーマだ」とテレビ・インタヴューで語った。

 パウエル氏は、米陸軍の大将を経てアメリカ軍のトップである統合参謀本部議長を努めた事もある軍出身者。同じ陸軍ではないが、マケイン氏も海軍のパイロットでその名を知られたつわものだ。共にヴェトナム戦争で、かたや2度の負傷、こなた北ヴェトナムの捕虜という形で名を知られた、いわば「戦友」だ。そして、同じ共和党に籍を置いている。

 この事態は、ここ数年のパウエル氏の動向から予測できないことではなかったにせよ、去年には大統領候補選挙活動を行なうマケイン氏に巨額の資金援助をしていたとも伝えられており、彼の立場を考えると、明確なオバーマ支持表明は噂に止まると見る向きが少なくなかった。だから、今回の発言の内容に、正直私も驚きを隠せないでいる。

 今後よほどのことがない限り、オバーマ氏がホワイト・ハウスの住人になることは間違いないだろう。

 そう言えば、選挙そっちのけで今話題沸騰なのが、Joe the plummer(配管工のジョー)を巡る話だ。今米国で一番有名な「一般人」と言われている人物だ。

 ジョーこと、ジョー・ワーゼルバッカー氏は、選挙運動中のオバーマ氏をつかまえて、増税案に疑念をぶつけたところをTVニュースで全国に放映されて一躍有名になった。

 そのやりとりを見たマケイン氏が討論会の折、彼の話を紹介、反オバーマ・キャンペインに利用した。オバーマ氏も反論をする際、Joe the plummerと切り返し、結局討論会時間中に両候補は合わせて23回彼の名を口にした。

 すると、メディアが彼の元に殺到。配管工のジョーの名が全国に広まったというわけだ。その名が広まると共に、彼本人の素性にも取材が入り、ワーゼルバッカー氏は、配管会社の事業規模から「所得はオバマ氏の増税対象には届かない」(ニューヨーク・タイムズ紙)と指摘を受けたり、「ジョーは無免許の配管工で、所得税も滞納している」と一斉に報道されてしまった。

 マケイン氏が「配管工のジョー」を取り上げた狙い(真意)は、恐らく白人中間層へのアピールだっただろう。しかし、予想しなかった事態の展開に、マケイン候補は、「ジョー、すまなかった」と謝罪するハメになった。

 負け戦になんとか活路を見つけたくてジョーに飛びついたわけだが、マケイン氏、こんなところからも大統領に相応しくないところが丸見えだ。

男の血

2008-10-17 08:09:20 | Weblog
 「てをあげろ!じゃないと、うつぞ」

 ASEの待合室で未就学男児が興奮してロレツのよく回らない舌でそう言い、いる人全てにピストルを向ける。銃を持つ子の仕草は、堂に入ったもの。脚を大きく開き、銃は両手で持ち、いや、それだけではない。目はすわっている。

 もちろん、手の銃はおもちゃだ。銃口から何かが飛び出てくるわけでもない。

 それでも、周りの子供や大人は、時に嬌声を上げて怖がる。男児の母親も、「○○ちゃん、人に向けてはだめよ」と言うが、ガンマンになりきった男児は聞く耳を持たない。

 ピストルは男児の親が買い与えたわけではない。同じクラスの女児の母親がディズニーランドに行った時、せがまれて買ったものだ。

 持ち主の女児も、カリブの海賊の格好をして悦に入ってASEに姿を見せたものの、ピストルにさして興味があるわけでもなく、男児に取られても気にする様子は見せなかった。

 男児の兄もピストルを見ると、異常な興奮を見せた。弟の手から取り上げると、撃つ真似をする。

 子を付き添ってきている母親たちと女性スタッフの間から、「○○ちゃんが…、ネエ?」と声が上がった。

 「やっぱり、男の子の血には何か違うものが流れているのかしら」と、声をそろえて言う。

 確かにそうかもしれない。私も、小さい頃は、チャンバラごっこに夢中になったり、小さな手の指を三本折ってピストルに見立て、「パン、パン、バキューン」と口で言いながら人に向けて撃つ真似をしたりしたものだ。

 全ての男の子にそういう面が見られるわけではないが、傾向的に言えば、武器を見て興奮するのは圧倒的に男児だ。

 件の男児は、普段から好戦的な態度を見せているわけではない。いつもはどちらかと言えば、声も小さくて静かな子だ。母親の育て方も私の見ている限りでは、とても良くて、好戦的な性格を生む環境には置かれていないように見える。

 その日も眠そうでけだるい雰囲気を漂わせて姿を現した。ところが、女児の手の銃を見たとたん、目は大きく見開かれ、態度を豹変させたのだ。その撃ち方も、昨日今日覚えたものではない。

 いずれにしても女性たちの言う「男の血」には、抗弁する術がなかった。そんな男の血が戦争に人を駆り立てていると言われるが、そんな短絡的なものではないにせよ、全面的に否定できるものではない。何か後味の悪いものが残った一日であった。

米は文化

2008-10-15 13:37:58 | Weblog
 新米を食べた。毎年この時期でしか味わえない心に染み入る味だ。 
 土鍋で炊き上げた銀シャリをしゃもじで掬い、軽くかき混ぜると、ほのかな新米独特の匂いが漂う。

 小さい頃から私はこよなく米を愛してきた。田舎で育った私は、世話になった本家のおばが米作りをするのを間近で見てきただけに、その苦労はよく分かる。

 周りの大人たちから「米の一粒一粒に感謝して食べるんだよ」と言われ続けて育っただけに、米に対する想いは強い。だから、周囲の人間が米を粗末にしようものならひと言言いたくなる。

 「米は文化」論者だ。

 一時期、米国などから「米を買え」と外圧がかかった時、私は外国人たちとしばしば議論をする中で、彼らの攻勢を「米は文化だ」と主張して議論を退けた。米と工業製品とを同列に置くなどとは言語道断、米は日本人の精神の支柱だという考えに彼らの多くはひれ伏した。

 残念なことに、年々米作りの名人たちが、稲田から姿を消している。それに乗じて大きな資本を注ぎ込み、大規模農法を狙う動きがある。大量の農薬や化学肥料を使い、大きな機械で一挙に刈り上げるやり方だ。

 それは、健康被害を引き起こす危険性だけではなく、「美味い銀シャリ」を失う可能性にもつながる。

 新米が美味いのは、水分をたっぷり含んでいるからだ。大型機械の使用はその美味さをも奪ってしまう。なぜなら、大型機械を田に入れるには、早い時期に田から水を引き、重さに耐えられる状態にする必要があるからだ。それに比して、旧来の稲刈りだと、直前まで田に水分を残しておける。

 農業従事者の高齢化と農村の過疎化に伴ない、あと何年、美味い米が食べられるか分からない状況だが、美味い米作りは子々孫々にまで絶対に伝えなければならないことの一つであることに間違いはない。

ブラウンと言う男

2008-10-15 08:30:50 | Weblog
 世界の株式市場は昨日、先週末の大暴落から一転して急騰に転じた。

 だが、これは、主要各国が懸命になって今後も語り草になるであろう大金を金融機関に注入すると打ち出したことに対する期待感から来たもの。実態があってのものではない。公表しただけの公的資金(税金)を注ぎ込めば、今回の株価暴落の原因が株安と不動産価格安であるだけに、また、注ぎ込まれた大金が不良債権だけではなく、優先株購入に当てられると言うのだからある程度株価は反騰するはずだ。

 だからといって、月曜日の反騰すなわち市場の長期安定といかないのが相場だ。もし、そしてその可能性は長い目で見れば少なくないが、公的資金投入が失敗に終われば、その向こうに見えてくるのは、1929年の世界恐慌の再来だ。

 それにしても今回のG7主要各国の動きの速さは、想像をはるかに超えるものだ。中でも英国のブラウン首相の八面六臂ともいえる活躍は、特筆に価する。G7(先進7か国)財務相・中央銀行総裁会議をG20に拡大して新興勢力を巻き込むことを提案して、対策の輪を広げると、6兆円の公的資金投入を発表。その足で今度はパリに乗り込み直談判、サルコジ大統領を味方に付けて主要各国に大量の公的資金注入を訴えて回った。その結果、欧州全体で27兆円という公的資金投入という動きを作った。

 これほど大胆に動き回ったブラウン首相というのはどんな人物なのか。日本ではあまり知名度はないが、人気の落ちたブレア氏を継いで昨年、首相の座に就いた。活躍の土台には、長年、労働党の経済、財務の最高責任者(影の内閣の大蔵大臣)としてやってきた蓄積がある。

 ことの正当性は別としてこれだけの活躍をすると、これからは国際政治において目を離せない政治家になることは間違いない。

欧米の未曾有の公的資金注入

2008-10-14 19:07:22 | Weblog
 金融不安に伴う株の暴落に対し、欧州主要各国は英国の6兆円を筆頭に、次々と高額の公的資金投入を発表している。欧州の公的資金の注入額は、発表済みの英国を合わせると最大約27兆円。銀行が資金繰りのために発行する債券など債務への政府保証額も最大170兆円に達する見込みだ。

 それを受けて米政府も大量の公的資金投入を決めたようだ。米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は先程、関係筋情報として米政府が金融機関に約2500億ドル(約25兆円)の公的資金を資本注入する計画だと報じた。

 ブッシュ大統領とポールソン財務長官は間もなく、それぞれが金融安定化策について声明を発表する予定だ。

 このワシントン・ポストの報道と両氏の発表に大きなずれはないだろう。それは、今回の金融危機が生半可な対策で立て直せるものではなく、欧米主要各国が一致団結、血眼になって取り組まないと乗り越えられない巨大な波だとの共通認識があるからだ。

 一方、日本政府の対応だが、麻生首相が「預金全額保護」に動くと一時伝えられたが、中川財務・金融相は「あらゆる事態に対しての頭の体操の中に(預金の)全額保護が入っていないとは言わないが、やる方向で検討するとは言っていない」と、情報のひとり歩きに釘を刺した。

 麻生首相は中川氏に、金融機関が経営危機に陥る前に予防的に公的資金を注入できる「金融機能強化法」の復活や、同様の機能を備えた新法の創設に向けた検討を指示したようだが、財務相周辺からは具体的な数字は聞こえてこない。

 それは、今回の金融危機が「あずかり知らぬ所で始まり、我が国は知らぬ間に巻き込まれていた」という想いが、政府関係者に強いからではないだろうか。

 永田町や霞ヶ関の政治家や官僚の間では、「だから言わんこっちゃない」と、今年初め、早期の公的資金投入を米政府に強く勧めたものの、無視されたことへのわだかまりから欧米諸国の必死の対応に冷ややかな視線を送るが、やがて欧米から日本に対しての「高見の見物」に苦情が寄せられるのではないかと心配する向きもある。

 いずれにしても、欧米諸国の今回の決断は、大きな賭けだ。日本の政治家や官僚の間では、これで主要国の金融安定化策が出そろう形となり、政策対応は新たな段階を迎えていくだろう。サブプライム住宅ローン問題に端を発した危機が沈静化へ向かうのではないかと期待する呑気な声が聞こえているが、それでいいのだろうか。これに失敗すると、29年の世界恐慌の再来も充分にあり得る。G7で協調を約束した以上、日本も欧米の動きに同調するべきではないだろうか。

古色燦(?)然

2008-10-14 11:13:33 | Weblog
 我々夫婦の歳の差から判断するのだろう。「話は合う?」と会話が成り立たないのではないかと心配顔で聞かれることがある。

 恐らくそういう人たちは、家庭や職場において歳の差からくる価値観の違いに悩まされている、またはそういった経験を持つのだろう。親と子、上司と部下の立場の違いはあるが、歳の差に好印象を持たない人たちに多く見られる。

 幸いにして、妻は高齢者との対応にそつはなく、また「勉強になることが多い」と積極的な姿勢をとる。私はと言えば、毎日若者たちに囲まれ、馬鹿げた内容から深刻な問題まで話し合っている。だから、お互いに歳の差を「理解し合えない」と「後ろ向き」になるのではなく「幅広い知識や人脈を得られる」と「前向き」にとらえている。

 互いの興味も一部のスポーツ(妻は野球に無関心)を除けば、共通点は多い。彼女は、過去に起きた事象もある程度把握しており、そうでない場合は、私から知識を吸収しようと貪欲だ。

 ただ、過去に世間を騒がせたり、一世を風靡した人物になると、知らない場合は少なくなく、「それ、誰?」と聞いてくる。

 先日の俳優、ポール・ニューマンの訃報にも、「それ、誰?」が出た。映画に興味があるし、小学生時代には米国に住んでいただけに、意外な感がした。

 「戦争反対の姿勢を貫いた人」「チャリティー活動に熱心で、100億円以上寄付している」などと話すと、かつての名優に興味を持った。

 昨日の買い物帰り。ポール・ニューマン主演のDVD2本を借りてきた。「STING」と「Butch Cassidy and the Sundance Kid(邦題:明日に向かって撃て)」だ。レンタル・ショップの店員でも「ポール・ニューマンのスティングはどこにありますか」と聞く私に、「スティングのCDですね?」と歌手と間違えて、中々話がかみ合わなかった人(30代後半から40代の決して若くない女性)もいたくらいだから妻がポール・ニューマンを知らなくても不思議ではないと思えた。

 帰宅してすぐ、スティングを観た。

 古い映画なのにテンポがよく、意外な物語の展開に、妻ははまっていった。彼女が映画やドラマにはまっているかどうかは、すぐに分かる。画面と話し出すからだ。映画を観ながら何度も画面に語りかけていた。

 彼の存在感は劇中でも際立っていた。画面は古色蒼然としていたが、彼の存在は燦然と輝いていた。彼を見ていて思った。

 やっぱり、人間は、男女を問わず、格好よく生きなくっちゃ。