浅井久仁臣 グラフィティ         TOP>>http://www.asaikuniomi.com

日々の出来事から国際情勢まで一刀両断、鋭く斬っていきます。コメントは承認制です。但し、返事は致しませんのでご了承下さい。

遊就館を訪れて

2006-11-08 12:24:47 | Weblog
 靖国神社の遊就館に行って来た。

 これまで靖国神社には何度も足を運んでいるが、軍事博物館である遊就館には、有料ということもあり、入る気になれなかった。

 家人が招待券を旧日本兵からいただいたとのことだったので、一度顔を覗かせてみようかということになった。

 館内を見て回った感想をひと言で言えば、戦争好きの人たちが自己満足する機会を与える場だ。戦争で亡くなられた方たちの慰霊をする場とは言い難い。戦中派はノスタルジアに浸り、戦後派は映画や漫画で憧れる世界を垣間見ることが出来るから楽しいだろうが、冗談ではない。こんなものは戦争ゴッコだ。戦争は人間の極限の世界である。実際に経験したものにしか分からないだろうが、こんなノスタルジアや憧れで見る世界ではないのだ。太平洋戦争でも地獄を見た人はこの神社に足を運ばないと言う理由がよく分かった。

 私は自分の父親を戦争で蹂躙されただけでなく、自分自身が多くの戦場を体験してきた。目の前で脳みそを吹き出し、はらわたを見せて悶絶する姿を目の当たりにしてきたし、彼らの命を救おうと血だらけになって活動してきただけに、その原因を作った武器への憎しみはとても強い。だから、このように戦争を美化することには嫌悪感さえ憶えてしまう。

 説明文を見ていて、ここを訪れた米高官が不快感を示し、近くその記述が改められることになったと聞いたが、さもありなんと思う。よくもここまで「あの戦争」を正当化できたものだ。

 映画を観ていて気持ちが悪くなった。女性のナレイションの調子が、最近なじみになった北朝鮮のTVのアナウンサーそっくりなのだ。

 最後に設けられた、来場者の感想を書くコーナーで、しばし感想文を読んでみた。すると、意外や意外。半数近くの人が、靖国の姿勢に疑問を呈している。少々安堵する。

 遊就館には小一時間いただろうか。何とも言えぬ重い気持ちを引きずりながら靖国を後にした。