今日聞いた話の一つから。
20代の女性が5,6年前に経験したことだ。ある日彼女は運転していて交差点で信号待ちしていた時、追突事故に遭った。
まもなくして現場に来た警察官が、「信号が青になっているのに発進が遅れたあんたにも責任がある」と言ったという。
全く身に覚えのない指摘に怪訝な表情をしていると、どうやら彼女をフィリピン女性と勘違いした警察官が、加害者の話を聞いて加害者に加勢してきたということが分かった。確かにその頃サーフィンに熱中していた彼女は、褐色の肌でしかも今よりも10キロ近くやせていたというから東南アジア系の人に見えたのかもしれない。
警察官の「人種差別」はそれにとどまらなかった。加害者は明らかに酔っ払っていたので彼女がそう主張したが聞き入れられなかったというのだ。彼女の日本語を聞けば日本人であることが分かるし、免許証の名前からも容易に推察がつくことだが、先入観にとらわれた警察官は最後まで彼女に冷たかったという。
この話を聞けば、日本全国で多くの外国人が差別されていることは容易に想像がつく。皆さん、周囲で揉め事を見かけたらできるだけ「聞き耳」を立てていただきたい。そして、特に外国人が関わっていて困っているようだったら勇気を出して声がけをするようにして欲しい。外国人の犯罪が過度に報道され、私たち日本人の目が外国人に対して冷たくなっているし、事件の関係者に外国人がいるとすぐに疑いの目を向ける風潮がある。そんな犯罪に手を染める外国人は、ごく一部である。2,3年前の統計だが、外国人が関わった犯罪は全体の5%に過ぎないとの数字もある。
在日外国人の多くは日本人が嫌がる仕事を真面目に、そして一生懸命にやっている。忘れてならないことは、彼らが帰国すれば、周りの人たちから必ず日本の、そしてまた日本人の印象を聞かれるはずである。中には、将来国を背負って立つ人物もいるかもしれない。好印象で帰るのと、嫌な思い出ばかりを引きずって帰るのとでは大違いだ。彼らはある種の親善使節であることを忘れてはならない。ひと言で「どうせ不法滞在だろう。追い出しちゃえばいいのさ」と片付けることだけはして欲しくないものだ。