08/13 旧 天神山
08/16 東京大学 理学部旧1号館
08/19 月の湯
08/22 中島屋酒店
08/25 柴田科学
08/28 鶯谷アパート
08/31 ガスライターサービスセンター
ガスライターサービスセンター・平坂ビル/旧 菊屋テーラー
所在地:台東区 台東3-38-6
構造・階数:木・3
解体年:2015(平成27).10
Photo 2012.4.4
木造モルタル塗り3階建てのいわゆる看板建築だが、初めて見たときはちょっと声が出てしまった。建物の大きさや用途に不釣り合いなほど派手な装飾は、下町のさほど広くない通りにあるとかなり違和感があり目立つものだった。
建物の両隅部分はコリント式風の柱頭がある付柱がモルタルで造られているが、その内側、窓の両側にも付柱状の装飾が付けられている。この装飾柱は下部が半球状で壁から飛び出すようになっていて、また上部も柱頭で終わりになっていて、何をも支えていない。ちゃんとした様式建築では見掛けないデザイン。
作者は正式な西洋建築デザインを学んでいなかったのかもしれないが、見よう見まねで洋風デザインをこしらえたお陰でこの特異なデザインの建物ができたわけで、その奇妙さが魅力的だった。
1階は改築されて当初のデザインは残っていなかったが、この感じだと最初はどれほどだったのだろうと思ってしまう。派手なモルタル塗りファサードが残っていたのはある意味奇跡的だったのかもしれない。ただ残念ながらこの建物も数年前に取り壊されてしまった。
私がこの建物を見たのは最後の頃に近く、ガスライターサービスセンターという店舗で、ビル名は平坂ビルだったが、昔の住宅地図では別の店だったりする。いつも見ている「ぼくの近代建築コレクション」によれば、1966年の住宅地図では「不二写真製版社」だったという。80年代の住宅地図では「今本ビル・平塚商事(株)」だった。
いつ頃建てられたものなのか、また最初の用途や屋号は把握できなかったが、力の入ったデザインが記憶に残る。
2022.9.26 追記
1953(昭和28)修正作図の火災保険特殊地図には「菊屋テーラー」と記されていた。第二次大戦の空襲では幸運にも焼失を免れた地区なので、戦前の建物だった可能性もあるが、戦後の時点では洋服の仕立屋だったようだ。
平坂商事/台東3丁目 - ぼくの近代建築コレクション
Jun-Jun on Twitter:「ガスライターサービスセンター」
Tokyo Lost Architecture
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