N の 祝祭日

映画、読書などのメモ

ソラニン

2017-10-14 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★ソラニン
原作:浅野いにお
監督:三木孝浩
キャスト:宮崎あおい、高良健吾、桐谷健太、近藤洋一、伊藤歩 、他
2010/日本

ボクは40年以上もモラトリアム人間をやっている。
ある意味、確信犯的にのらりくらりと。

何時その一歩踏み出すかは人それぞれだけど、非常に身につまされた映画だった。
ただ、無意味に赤信号に突っ込むのは、どうかな?
絵空事の物語であり、もう少し、人の輪郭をしっかり描いてほしかった。

宮崎あおいの絶叫ぶりには涙ぐましいものがある。
音楽をモチーフにしている作品にしてはこんなにヘタクソだとは思わなかったけど、、、、、。
でも、あおいちゃんですから許すよ。



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半分の月がのぼる空

2017-10-14 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★半分の月がのぼる空
原作:橋本紡
監督:深川栄洋
キャスト:池松壮亮、忽那汐里、大泉洋、濱田マリ、他
2010/日本

過去と現在を同時進行させながらも、観客には悟られないように物語は慎重に展開する。
そしてラスト、その時間が重なった時、それまでに張り巡らされた伏線の小道具が輝きを増し、そして空しくも切ない感動がふわーと沸き起こる。
高校生の青い純愛物語が、突然に大きな世界へと変化するその瞬間、「ああ、、、やられた!」と思わず頷く。
こういう心地よいお話は好きだ。

 

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おとなのけんか

2017-10-14 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★おとなのけんか
原題:Carnage
監督:ロマン・ポランスキー
キャスト:ジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレット、クリストフ・ワルツ、ジョン・C・ライリー
2011/フランス・ドイツ・ポーランド合作映画

四人による密室劇。
まさに《おとなのけんか》である。
こどもみたいにすぐには手は出さない。
しかし、
二組の夫婦の冷静な話し合いは、
しだいに、感情をむき出しに罵り合い相手を口撃する《大人のけんか》へと変わる。
そしてさらに、酒が加わることによって、普段は抑えられていた夫婦の感情がしだいに表面化。
四巴の議論?というか、罵り合い?へとエスカレート。
先の読めぬ場の空気に、観ているこちらも目を白黒。
ターゲットが誰になるかわからない。

けんかするならこれぐらいはしっかり罵り合いたいね。
仁義など何処にもない平然としたバトル。
ウッフフ、ニヤリニヤリ、と微笑みっぱなしでした。

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サイド・バイ・サイド ーフィルムからデジタルシネマへ

2017-10-13 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★サイド・バイ・サイド ーフィルムからデジタルシネマへ
監督:クリス・ケニーリー
プロデューサー:キアヌ・リーブス
2012/アメリカ

結構前のめりでぞくぞくって感じさせる。
フイルムがいいかデジタルがいいかとい二者択一的議論ではなく、
自分の表現、今後やりたい映画作りにカメラをどうするかというお話。
歴史の必然は、自ずとデジタルへ。

それぞれのメッセージがでていて面白いインタビューが続く。
傑作だと思ったのが、デヴィッド・リンチの言葉
《全員に紙と鉛筆を持たせたからといって、秀逸な物語がたくさん生まれるというわけではない。今の映画の状況も同じだよ》
つい、ぷぃと吹き出してしまった。
手軽にデジタル機材が使えるようななった現在への軽いジャブ。

それぞれに自分の思いを語る。
それぞれに映画作りへの情熱をこめて。
ラストに語れる怖いお話。
今あるデジタル作品が、今後50年、100年の未来に、
再生装置がはたして存在するかどうか?

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ユキとニナ

2017-10-13 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ユキとニナ
原題…YUKI&NINA
2009/フランス
監督:諏訪敦彦 、 イポリット・ジラルド
キャスト:ノエ・サンピ、アリエル・ムーテル、他

深い森を抜けて、幻想が幻想を生む。
森が幻想の入り口です。
よくある設定ですが、「ジブリ作品」を連想しました。
「ユキとニナ」というタイトルなんですが、
物語は一貫してユキの視点のような気がします。
ここは「ユキ……」で良かったかな。

森は「想像の倉庫」みたいなもの。
昔は、そんな森や林が身の回りにたくさんあったんですけどね。
今はまったく無くなりました。
あっても「立ち入り禁止」です。
「想像禁止」みたいなものです。

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アルゴ

2017-10-12 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★アルゴ
監督:ベン・アフレック
出演:ベン・アフレック、アラン・アーキン、ブライアン・クランストン、ジョン・グッドマン、ケリー・ビシェ、他
2012/アメリカ

はらはらドキドキ。あん時(30年ほど前のあん時の混乱をかすかに覚えているが)にこんな馬鹿げた作戦が、実際に行われたのかどうか、何処まで真実で、どこまでエンタメ目指したフィクションなのかわからない。でもどっちでもいい。とにかく圧倒的なリアリティサスペンスに釘付けにされました。こういうの《良作?》それとも《快作?》、非情に満足度の高い作品でした。スケールの大きい《これぞハリウッドの力》を見せつけられたような気がします。と同時に、主演、監督、制作のスーパー的活躍したベン・アフレックの力量というか才能にガツン!

大活躍のベン・アフレックは、、《レッドソックスの大ファン》ということで、これは《絶対に良い人》、《真っ直ぐな人》という確信が持てるのですが、まさかここまで綿密でストレートな才能の持ち主とは思いもせず。あらためてこりゃ今後の動きに注目です。

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約束の葡萄畑ー あるワイン醸造家の物語ー

2017-10-11 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★約束の葡萄畑ー あるワイン醸造家の物語ー
英題:THE VINTNER'S LUCK
監督・脚本: ニキ・カーロ
原作:エリザベス・ノックス
脚本:ジョーン・シェッケル
2009/ニュージーランド/フランス

ワインというものは何故にこんなにも個性的なんだろう.
フランスのブルゴーニュが舞台であるが、物語は英語である。感覚が少しおかしくなるくらい不思議な物語だった。女性監督ニキ・カーロの世界である。ワイン話に惹かれて観てしまった。冷涼で石灰質を多く含む土壌のブルゴーニュワインはどうやら高貴なワインらしい。興味深いワイン話を折り込み、幻想的な作品に仕上げていたが、感情の汲み取りにくい展開で、???がいっぱいついてしまった。ワイン話は奥が深いのだ。

 

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The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛

2017-10-11 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛
原題:The Lady
監督:リュック・ベッソン
キャスト:ミシェル・ヨー、デビッド・シューリス、他
2011/フランス=イギリス

アウンサンスーチーに関して、いろいろテレビで報道されている。
この映画は彼女の経歴の概略を知るには丁度いい。

まず彼女の《聡明さと頑固さ》に感嘆してしまった。強大な軍事権力と対峙するには、《徹底して非暴力》であること、これほど聡明な態度はない。しかしそれにしてもなんとも壮絶な戦いであり、多くの惨い犠牲を強いてきたことか、しかも、現在の今も続いている。映画はドラマとして《戦いと犠牲のごく一部》、ほとんど《引き裂かれた家族》に焦点を合わせている。《アジアの民主化運動のモデル》を見ているような気がした。権力掌握後の現在、国家運営は厳しい現実に直面しているようだ。

アウンサンスーチーを演じたのはミシェル・ヨー、
ほんとに本人によく似ている。
抜群の演技力。
彼女は《007 トゥモロー・ネバー・ダイ (1997)》のボンドガールもやっている。
よく覚えてないが、たぶん観てないと思うので、そのうちTSUTAYAでレンタルしよう。
最近ではレイン・オブ・アサシン 剣雨(2010年)で見事なアクションと大人の表情をしっかり魅せてくれた。
これは楽しく良かったです。

監督がリュック・ベッソン。
今、TSUTAYAで《レオン》をレンタル中。
何回も観ているが。

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コロンビアーナ

2017-10-10 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★コロンビアーナ
原題:Colombiana
監督:オリビエ・メガトン
制作:リュック・ベッソン
キャスト:ゾーイ・サルダナ、ジョルディ・モリャ、レニー・ジェームズ、マイケル・バルタン、他
2011/アメリカ=フランス

予想と期待を遥かに越えた《美しい作品》でした。
復讐の鬼と化したヒロインの名前が《カトレア》。
《清楚な甘いイメージ》と《復讐殺人鬼の執念》という相対するイメージの絡み合いがこの作品の主旋律になっている。
物語は刺激的で美しくしかも刹那的だ。

作品は、制作者ベッソンの代表作《レオン》と《ニキータ》の美しくもおいしいところをうまく引き継いでいる。観ている者は、前作2作のイメージと今回の《コロンビアーナ》を合体させて《充分な堪能感》を得る。そしてしなやかなゾーイ・サルダナの極上映像にうっとりさせられる。

見所は次から次といくつもある。
カトレアの子ども時代を演じたアマンドラ・ステンバーグの南米コロンビアの街での逃亡シーン。重なる家々の屋根や連なるバルコニー、狭い階段や路地、他人の家の中、賑わう市場など追っ手を振り切り走り続ける。映画ではよく見かける《追撃シーン》ではあるが、少女のアクションは爽快である。何とかコロンビアを脱出、そしてアメリカへ。FBIをも振り切り、シカゴの叔父家族のもとへ辿り着く。そのスピーディな展開にはまさに見惚れる。

目の前で殺された両親の敵を撃つべく殺し屋修行を自ら申し出、そして15年後、《ゾーイ・サルダナの殺し屋》が誕生する。依頼を受ければ確実に標的をしとめる敏腕の殺し屋。しかも彼女は復讐相手をおびき出すため現場には必ず《カトレアの花》を残して行った。

ゾーイの殺人スキル、暗殺スキルが全開。
警察署内での殺しテクニックシーンが見所のひとつ。
黒のタイトなスーツに包んだしなやかな姿は、
《アバターでのナヴィ》を連想させる。
寸分違わず実行するシーンは
《トム・クルーズのイーサン・ハント》のようなスマートさを感じさせた。
そして現場にはカトレアの絵。
警察署内での犯行には《FBIのプライド》はズタズタ。

しかし復讐相手をおびき出す《カトレアの花》は次から次と予測しない不幸な事態をも引き起こす。自らの所在がFBIによって突き止められる。FBIの急襲を知った《カトレアの白の下着姿での脱出シーン》がこれまた凄い。殺し屋というより、《スパイアクションスター》ばりの活躍。

次は復讐相手のマフィアがカトレアに気づき、叔父家族が犠牲となる。そこから《まさに復讐鬼となったカトレアの反撃シーン》は、ほとんどあり得ない、ランボーばりの銃撃戦に。孤軍奮闘とはこういうことでしょうか。《最後の復讐のとどめ》はちょっと予想外の驚き。

テンポいい展開に時間の経過を忘れます。

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アンナ・カレーニナ

2017-10-09 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★アンナ・カレーニナ
原題:Anna Karenina
2012/イギリス

文豪トルストイの名作の映画化ということで、楽しみに観に行った。
が、《これは違う!》と作品に違和感を感じてしまった。

絵面はとても綺麗で音楽もうっとりというところだが、
これは《トルストイではない》
トルストイにはロシアの土の臭いがあり、ロシアの葛藤がある。
これは《イギリス発アンナ・カレーニナ、シャネル後援アンナ・カレーニナ》。
シェクスピア劇のような感覚。

随分と昔、1968年ソビエト制作の《アンナ・カレーニナ》を観たことがある。
ソビエトのプライドを賭けた作品である。
また観たいと思った。

もう一度原作の《アンナ・カレーニナ》を読んでみよう。

 

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終着駅 トルストイ最後の旅

2017-10-09 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★終着駅 トルストイ最後の旅
英題:THE LAST STATION
監督: マイケル・ホフマン
キャスト:ヘレン・ミレン、クリストファー・プラマー、ジェームズ・マカヴォイ
2009ドイツ/ロシア

ほんとに久しぶりに《トルストイ》の名前を聞く。
もう忘れられた人かと思っていたら、
生誕100年ということで、この作品が作られたとか。
へぇー、19世紀人だと思っていたが20世紀まで生きていたのかとびっくり。
そんな自分の頭にさらにびっくり。
40数年ほど前の中学生の頃に読んだトルストイ文学を思い出そうとするが、
全く文章が思い出せない。
文学のイメージが湧いてこない。
過去に観た映画作品《戦争と平和》、《アンナ・カレーニナ》を思い出そうとするが、
ほとんどいやまったく思い出せない。
あれほど浸り尽くした《トルストイ》だというのに。
ロシア文学のあの世界を透徹したようなリアリズムのかすかな香りさへ思い出せないとは。
あまりのショックに是非思い出さねばと、ほぼ脅迫観念に似たような感情を持って劇場に出かけた。

ややこしくしているのは、《トルストイの最後》の物語を、
秘書であるワレンチン(ジェームス・マカヴォイ)の視線を通して進行していることである。
フィルターがかけられている分、
トルストイ(クリストファー・プラマー)とその妻ソフィヤ(ヘレン・ミレン」の葛藤が淡白になってしまった。
これでは、この作品はマカヴォイが主役のようだ。
彼の存在感が光っているのである。
もちろん、トルストイ夫婦役の二人はさすが老練な演技で、
不可解な《トルストイの最後》を見事に演じてくれたが。

トルストイは大地主の息子としてうまれた一級の貴族である。
何となく思い出してきたが、彼の文学には上流社会の気品と思考がある。
晩年は社会と隔絶しながら、
孤高の道といえばカッコイイいが自分の世界に閉じこもった感がある。
宗教的でさえある。
彼の文学は既に全世界で有名であり、読者も多く、当然印税も多く、また大地主ということで、
混迷するロシアにあってロシア正教と対立しながらも悠々と暮らしていたはずだ。
《トルストイ教》ともいえるユートピアさえ夢見ていた。
《トルストイ主義》には多くの人が影響を受けた。
多感な時期に読んでしまったおかげで、ボクも少なからず?影響を受けた。
晩年の風貌はイエスのようである。
同じロシアの文豪ドストエフスキーとは風貌は異なるが、
おなじロシアに生きた二人である、
泥縄式の解けぬ人間の心の闇に深く入り込んでいる。
そこからは解決の出口は見つからず、迷路にはまり込むだけ。
トルストイは家出を数回試みている。
単なる家族の対立といえばそれまでだが、
彼の精神構造から来る現実逃避型行為である。

トルストイは大恋愛の結果、ソフィヤと結婚。
その成果が《戦争と平和》であり、《アンナ・カレーニナ》である。
トルストイの閉じこもりは何が原因かわからないが、
敢えて言えば、それが《当時のロシアの空気》なのでしょう。
引き込まざるを得なかった。
トルストイの死後数年してロシア革命が起こる。

ラストの終着駅はさすが。
ロシア文学らしい北の大地を感じさせる緊迫したロマンチックなものだった。
この作品の見せどころである。
ドラマ終了後に、遺されていたトルストイとソフィヤの映像が流れる。
まさにおまけのような可愛い映像だったが、
《トルストイが生きた時間》を実感させてくれる貴重なもの。
現代とは違う19世紀的なものを感じ、
混迷が浮遊し拡散する現代の感覚を思い煩った。

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限りなく透明に近いブルー

2017-10-07 | 

本を読んだ。

★新装版 限りなく透明に近いブルー
著者:村上龍
出版社: 講談社:新装版 (2009/4/15)

1976年の村上龍の作品。
当時、衝撃的に扱われたので、単行本を買って読みました。
いまだ、僕の本棚に残っているところをみると、
やはり何処か気になっていたのかもしれない。
(僕は時々、本棚の大掃除をします。ほぼ処分します)

で、
今回読んだのは、本屋さんに新装版となって並んでいた文庫本です。
40年前に読んだ時の気分が少し残っているので
現在はどんな気分になるかなぁと。

エログロ、ドラッグ、繰り返される吐き気の光景。
登場人物たちが吐き気をくりかしている文章は読んでいて心地よくはありません。
しかも作者、村上龍はしつこく無機質に容赦なく描写する。
こっちだって吐きたくなるくらいです。
やっぱり今回も
全体のトーンは《限りなく無機質なグレー》を感じてしまいました。

70年代のひとつの青春物語。
大きな物語に夢を語れない青春群像。
それからの時代は、さらに刹那的に、そして限りなく欲望を求めてゆく時代。
そういう意味では、
70年代の記念碑的作品でしょうか。

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少し変わった子あります

2017-10-06 | 

本を読んだ。

★少し変わった子あります
著者:森 博嗣
出版社:文藝春秋

十三夜の月を眺めながら、
ほろ酔い気分で、本屋さんに入ると、
一冊のステキな本に出会いました。
森 博嗣さんの「少し変わった子あります」。
装画がきらりと光り、ぺらぺらめくると、たしかに少し変わった子の挿絵があります。
帯のキャッチコピーは「上品で美しい孤独をどうぞ」と書いてあります。
買うよりほかに手はありません。
本との出会いにはいろいろありますが、私の出会い方はたいていがこんな感じです。

 

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わたしを離さないで

2017-10-05 | 

本を読んだ。

★わたしを離さないで
著者:カズオ・イシグロ
訳者:土屋政雄
出版社: 早川書房 (2008/8/22)

2011年に公開(日本)されたイギリス映画《わたしを離さないで》の原作。
かなりの衝撃作として、
また注目の若手俳優の共演ということで、
観たかったのですが、
劇場での鑑賞はついに見逃してしまいました。
DVDは出ていますが、《カズオ・イシグロ》の本はまだ一冊も読んだこともなく、
それなら原作の方を先に読んでみようということにしました。

物語はさもありふれた日常だったかのように淡々と過去が語られています。
しかし、若者たちの日常は、読み進むに連れ《不気味感が増幅》してゆきます。
それでもなお、抑制を効かせ、一層《美しい青春物語》かのように記憶が語られます。

(映画のシーンより)


彼らは、《クローン人間》です。
《臓器提供者》として作られ、
大人になるまでの一定期間隔離された施設で何不自由なく育つことになります。
施設での他愛のない平和的な日常が淡々と語られ、
そして、その後、施設を出、
《提供期間》の絶望と希望も、抗議するでなく、またもや淡々と語られます。
その際立った抑制された文章がむしろ異様なくらいです。
そして異様な世界だからこそ、《人間本質》みたいなものをさらりと描いています。

作者カズオ・イシグロが書き込みたかったものは何でしょうか?
単に、《人間生命の倫理観》だけとは思えません。
過去の記憶が余りにも美しく描かれ、登場人物たちの《過去への記憶の浄化作用》は尋常ではないような気がします。
せめて《生きた過去》を《美しいものだった》と無理やり思いたいような行動。
それは《記憶の捏造》とも言えるような気がします。
《記憶の捏造》こそ、人間の本質そのもの。
彼の関心はそこでしょうか?

20年ほど前、《クローン羊》の誕生がイギリスで話題になりました。
クローン技術の哺乳類での成功は、我々人類にも適用できるということです。
SF世界では、戦闘要員や特殊工作員など、いろいろ物語が作られ、
最近では、テレビでも度々ドラマ化されます。
しかし、
《臓器提供》というまさに《生命の倫理観》に関わる物語はやはり心穏やかでは見れない世界です。

 

人生は考えているより短いが、、、、。

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