N の 祝祭日

映画、読書などのメモ

アンナ・カレーニナ

2017-10-09 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★アンナ・カレーニナ
原題:Anna Karenina
2012/イギリス

文豪トルストイの名作の映画化ということで、楽しみに観に行った。
が、《これは違う!》と作品に違和感を感じてしまった。

絵面はとても綺麗で音楽もうっとりというところだが、
これは《トルストイではない》
トルストイにはロシアの土の臭いがあり、ロシアの葛藤がある。
これは《イギリス発アンナ・カレーニナ、シャネル後援アンナ・カレーニナ》。
シェクスピア劇のような感覚。

随分と昔、1968年ソビエト制作の《アンナ・カレーニナ》を観たことがある。
ソビエトのプライドを賭けた作品である。
また観たいと思った。

もう一度原作の《アンナ・カレーニナ》を読んでみよう。

 

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終着駅 トルストイ最後の旅

2017-10-09 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★終着駅 トルストイ最後の旅
英題:THE LAST STATION
監督: マイケル・ホフマン
キャスト:ヘレン・ミレン、クリストファー・プラマー、ジェームズ・マカヴォイ
2009ドイツ/ロシア

ほんとに久しぶりに《トルストイ》の名前を聞く。
もう忘れられた人かと思っていたら、
生誕100年ということで、この作品が作られたとか。
へぇー、19世紀人だと思っていたが20世紀まで生きていたのかとびっくり。
そんな自分の頭にさらにびっくり。
40数年ほど前の中学生の頃に読んだトルストイ文学を思い出そうとするが、
全く文章が思い出せない。
文学のイメージが湧いてこない。
過去に観た映画作品《戦争と平和》、《アンナ・カレーニナ》を思い出そうとするが、
ほとんどいやまったく思い出せない。
あれほど浸り尽くした《トルストイ》だというのに。
ロシア文学のあの世界を透徹したようなリアリズムのかすかな香りさへ思い出せないとは。
あまりのショックに是非思い出さねばと、ほぼ脅迫観念に似たような感情を持って劇場に出かけた。

ややこしくしているのは、《トルストイの最後》の物語を、
秘書であるワレンチン(ジェームス・マカヴォイ)の視線を通して進行していることである。
フィルターがかけられている分、
トルストイ(クリストファー・プラマー)とその妻ソフィヤ(ヘレン・ミレン」の葛藤が淡白になってしまった。
これでは、この作品はマカヴォイが主役のようだ。
彼の存在感が光っているのである。
もちろん、トルストイ夫婦役の二人はさすが老練な演技で、
不可解な《トルストイの最後》を見事に演じてくれたが。

トルストイは大地主の息子としてうまれた一級の貴族である。
何となく思い出してきたが、彼の文学には上流社会の気品と思考がある。
晩年は社会と隔絶しながら、
孤高の道といえばカッコイイいが自分の世界に閉じこもった感がある。
宗教的でさえある。
彼の文学は既に全世界で有名であり、読者も多く、当然印税も多く、また大地主ということで、
混迷するロシアにあってロシア正教と対立しながらも悠々と暮らしていたはずだ。
《トルストイ教》ともいえるユートピアさえ夢見ていた。
《トルストイ主義》には多くの人が影響を受けた。
多感な時期に読んでしまったおかげで、ボクも少なからず?影響を受けた。
晩年の風貌はイエスのようである。
同じロシアの文豪ドストエフスキーとは風貌は異なるが、
おなじロシアに生きた二人である、
泥縄式の解けぬ人間の心の闇に深く入り込んでいる。
そこからは解決の出口は見つからず、迷路にはまり込むだけ。
トルストイは家出を数回試みている。
単なる家族の対立といえばそれまでだが、
彼の精神構造から来る現実逃避型行為である。

トルストイは大恋愛の結果、ソフィヤと結婚。
その成果が《戦争と平和》であり、《アンナ・カレーニナ》である。
トルストイの閉じこもりは何が原因かわからないが、
敢えて言えば、それが《当時のロシアの空気》なのでしょう。
引き込まざるを得なかった。
トルストイの死後数年してロシア革命が起こる。

ラストの終着駅はさすが。
ロシア文学らしい北の大地を感じさせる緊迫したロマンチックなものだった。
この作品の見せどころである。
ドラマ終了後に、遺されていたトルストイとソフィヤの映像が流れる。
まさにおまけのような可愛い映像だったが、
《トルストイが生きた時間》を実感させてくれる貴重なもの。
現代とは違う19世紀的なものを感じ、
混迷が浮遊し拡散する現代の感覚を思い煩った。

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