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映画、読書などのメモ

四川のうた

2017-12-06 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★四川のうた
原題:24City
監督:ジャ・ジャンクー
2008/中国

事実であるドキュメント映像とフィクションである「語り」で構成されている。気がつけば、中国現代社会の大きなうねりの中に引き込まれている自分に気づく。原題は「24 City」 。もし映像言語なるものがあるとすれば、この映画もその一つかなと思う。ひとつひとつが計算し尽くされた、無駄のない乾いた映像。しっかりとした取材に基づく俳優たちのリアルな「語り」は人間のぬくもり、感情の温かさを感じさせる。こういう映画は監督その人の言葉を借りるに限る。

ジャ・ジャンクー監督のメッセージ(HPより)
この映画は、実際に私たちと生活をともにした幾人かの労働者と、フィクションである俳優たちへのインタビューで構成されています。私がこのようにドキュメンタリーとフィクションを同じ流れの中で融合しようと決めた理由は、それが中国の半世紀の歴史を描くのに最良の方法だと思ったからです。私は歴史とは常に「事実」と「想像」の混合物だと考えるからです .....................................
現在、映画はよりアクションや動きに頼るようになっています。この映画では、私は人々が語る「言葉」に回帰したいと思いました。ここでは、「語り」はカメラによってとらえられる「動き」の一つとしてとらえています。私は、「語り」によって、話し手たちの内奥の感情と経験にアクセスさせようと意図したのです。 それが最良の時のことであろうと、最悪の時のことであろうと、いかなる個人の経験も無視されるべきではありません。この映画では8人の中国人労働者の声を聞くことができます。この映画を見ると、彼ら自身の人生のこだまが聞こえるのではないでしょうか。

それぞれの人生が切なく語られた。
「語り」には、失われたものへの哀愁というより、
壊され潰されたものへの悲痛な叫びが込められていたように感じた。
原題は「24 City」。
邦題「四川のうた」とは余りにも情緒的であり、
ジャ・ジャンクー監督の思いとは異なるような気がする。

映画の中で、突然、山口百恵の『赤い疑惑」が流れた。
一瞬耳を疑ったが、やはりあの「百恵ちゃん」の歌声だった。
激動の中国現代史の中にあって、とても存在感のあるいい響きだった。



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