シネマです。
タイのお話である。
私には、暗闇が恐怖だった。
★トロピカル・マラディ
原題:Tropical Malady
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
出演:バンロップ・ロノーイ、サクダー・ゲオブアディー
2004/タイ=フランス
「人間はだれでも猛獣使いであり、その猛獣にあたるのが、各人の性情だという。己(おれ)の場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった」中島敦の「山月記」の一節が引用されたが、僕にはその意味がわからず、謎を残しつつ観た。
そもそも、密林と深海のお話は苦手でどうにもならない。
生理的に怖いのである。
事実、この映画はとても怖かった。
暗闇でいつ虎が襲ってくるか解らない恐怖がずっと続き、
恐怖感に襲われながら、長時間耐えた。
人の背後からカマラを回し続けるのは苦手だ。
前半は密林の山村で兵士のケンと村の青年トンが出逢う。
どうもゲイらしい二人のゆったりした時間が流れる。
一転、後半は、怪奇なお話にもぞもぞする。
“呪いにより、人間が虎に変身する”
というタイの民間伝承に基づく怪奇物語。
カンヌ国際映画祭2004・審査員賞、
東京フィルメックス2004・最優秀作品賞
と受賞が続いた作品である。
二度目の鑑賞となったが、
やはり、密林の中の暗闇はこわかった。