『パパ、だ~いスキ』と言われたパパの映画日記

こどもが二人とも小学生になったけど、「パパだ~いスキ!」と言われてる間は、タイトルを変えませんが。

「武士の一分」 山田洋次、宝刀を抜く

2006年12月08日 | 映画
藤沢周平=山田洋次モノ三部作(続きもんではないが)の完結編で、主演にキムタクときたら失敗するわけにいきません。
『男はつらいよ』シリーズの後釜にと思ったのに2作で終わった『虹をつかむ男』シリーズや、『1』『2』が評判よかったんで『3』を撮ったらもうひとつやった『学校Ⅲ』とか、ギネスブックにも載ってるシリーズモノの王様=山田洋次監督としては、この作品、ぜ~ったい失敗するわけにはいきません。
ですから、エピローグには、とっておきを用意してました。
たぶん、ファンのあいだでも山田洋次作品で一番好きなシーンは?と聞かれるとベスト3に入るだろう『遥かなる山の呼び声』の、列車で護送される健さんに、倍賞千恵子とハナ肇が腹芸で会話するシーン。
あれをアレンジしてました。
で、ここで重要な役回りをする下男役が、それまで前二作の下男を務めてた神戸浩に替わって、より演技のできる笹野高史になってますが、しかたないですね。
ここのシーンだけでなく、キムタク並に存在感を放ってますもん。
ただし、武士:キムタクが、下男:笹野に「バカが!」「アホだ!」「徳平!徳平!」などと声を荒げたりするさまは、確立された階級社会だから当然とはいえ、相手が笹野だから、見ていてつらいもんが少々ありました。
神戸=下男の時には感じなかったんだけどね~。
まぁこれもある種の「武士の一分」なんでしょうけど。

まさに育児中に『たそがれ清兵衛』を見てしまったので、どうしてもあの作品の影がちらついてしまいます。
キムタクが時折、特に月代部分に毛が生えてきた姿は真田広之に見えました。
檀れいの横顔が、宮沢りえに見えたけど、正面向いたら桜井淳子やった。
薬を口移しで含ますシーンは、目をつぶってるキムタクの後ろに「イイ男連続1位」の金看板とか何万というキムタクファンの目が見えてたようで、かなりやりにくそうに見えましたが、あれは必要なシーンでしょうか。
毒見役仲間の「おめぇの、それ、なに食った?」と言う赤塚真人(特技:東北弁)が、三部作皆勤賞です。

『フラガール』でも東北弁聞けたけど、山田洋次のこのシリーズのは格別!
もう、しばらく聞けなくなるのか・・・。
ロードムービーの『十五才』を『学校Ⅳ』と副題つけたように、また藤沢時代劇撮りたくなったら、いつでも撮っていいからね。
他の人に任せられないもん!!


★★★