京都楽蜂庵日記

ミニ里山の観察記録

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染経路について

2020年05月15日 | 環境と健康

 Covid-19ウィルスの感染経路として接触感染、飛沫感染、エアロゾル感染、空気感染、塵埃感染などがあると言われている。それぞれの実態に応じて予防の方法が変わってくる。

 接触感染は手あるいは物に付着したウィルスが、口、鼻、眼を経て感染するケースである。それ以外は、感染者の口から放出されたウィルスが空中を漂って、なんらかの形態で他の人の口、鼻、眼から吸入・吸着されて感染する場合である。ただ、解説者によって飛沫、エアゾルの定義がまちまちで紛らわしい。

 大西淳子氏(医学ジャーナリスト)によるとWHOの定義では、5μm以上の粒子を飛沫、それ以下を飛沫核として区別しているそうである。(https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/ 091100031/021300653/?P=2)。WHOは飛沫も飛沫核もエアロゾルと認識しているとのこと。もっとも、WHOの定義が世界中で用いられているかと言えばそうでもない。欧州の論文の一部は飛沫を吸引性飛沫(直径10~100µm)と吸入性飛沫(直径10 µm未満)に分け、「前者が気道上部の粘膜に付着して発生する感染を飛沫感染、後者が呼吸により気道に入るために生じる感染をエアロゾル感染(飛沫核感染とも呼ぶ)」としているそうだ。

ただ、咳やくしゃみとともに放出される大きな粒子は、短い距離しか飛ばず、短時間で床に落ちるが、小さくなった粒子は長時間空気中に留まり続け、部屋中に広がって空気感染を引き起こすという点に関しては世界で認識は一致している(これはあたりまえである)。

 

 実際は感染者の咳やくしゃみ、呼気から出る粒子の大きさは、大きいものから小さいものまで連続している。これらの空中での分布と時間的な変化を環境制御下で調べる必要がある。

感染者を環境制御室に入れて、フィルター着きのウィルス捕集器でトラップして空間分布を調査する。そうすれば、排出粒子の大きさによって、どれだけの割合でウィルスが分布するかが分かり、SARS-CoV-2に対する防御の術もより明確になるだろう。

例えば感染者がライブハウスモードで発声したときのウィルス粒子の大きさと空間分布はいかなるものであろうか?声を出さずに静かに座り込んでいる場合は?

 報じられている多発する院内感染は、ウィルス防御に根本的な抜け穴がある気がする。一部で言われているような、ウィルスサイズでの粒子の放出があれば、N95マスクでも駄目で、もっと厳密な防護が必要となる。そのため上記の実験研究が至急、要求される。

 

 

(山本達男編『SARS-ゲノム、感染、そして対策-』日本医書センター、2003より引用転載。これはSARS感染者のウィルス発生源とキャリアー動物を表している)

 

追記 1) (2020/05/26)

中国の軍事科学アカデミーのGuoらは、COVID-19感染者を収容した火神山医院(武漢)でエアロゾル感染を調べるために、院内で採取した空気などからSARS-Co-Vを検査している。

Guo et al., Aerosol and surface distribution of severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 in hospital wards, Wuhan, China, 2020, Emerging Infectious Diseases (2020), doi:10.3201/eid2607.200885

(yahooニュース参照 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200425-00217614-hbolz-soci&p=3)

追記2)東京台東区の永寿総合病院では214名が感染し、そのうち43名が死亡した。

追記 3)日経メディカル (2020/08/08)

「空気感染」を誤解していませんか?:国立病院機構仙台医療センターの西村秀一氏に聞く

(https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t344/202008/566635.html?n_cid=nbpnmo_mled)https://blog.goo.ne.jp/jiyuu-sen

Covid-19における接触感染、飛沫感染、空気感染などの意味するところの混乱が依然として続いている。上記の記事は、患者の呼気からの粒子径とウィルス濃度の関係、物理化学的様態などはっきりさせた研究データーがないから、みんな勝手な憶測で議論していると、述べていサンドラる。

 

追記4)(2022/03/04) サンドラ・ヘンペルの「医学探偵ジョン・スノウ」はパンデミックを考える良書である。

  コレラの感染経路を初めて明らかにしたジョン・スノウは「大流行を終息させるには、この病気がどのように広まるかを知ることだ」と述べている。

コレラ菌は淡水や海水に浮遊しているプランクトンと共生しており、温度上昇でプランクトンがふえるとさらにコレラ菌も増える。毒性も強くなるといわれる。地球環境がパンデミックに関係している。

コレラの治療は抗生物質は効かず、適切な生理食塩水療法でほとんどが回復する。COVID-19も意外と我々の手の届くところにあるのかもしれない(温かい玉子酒とか?)

 


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