京都楽蜂庵日記

ミニ里山の観察記録

環境問題 IV 地球のリズムと気温の変動

2019年12月11日 | 環境問題
 
 
 少し古い本だが、川上紳一 著『縞々学 - リズムから地球史に迫る』を本棚から引っ張りだして読みなおしてみた。「縞々学」とは聞きなれぬ分野であるが、地球が示す様々な周期現象をまとめたもので、環境問題を考えるにはなかなかの参考書である。これによると、気温を含めた地球環境はいままで安定に維持されていたものではなく、地球史的にはかなり上下に変動していたことが分かる。
 
地球が示す周期は12.4時間の潮汐サイクル、一日(24時間)の自転による日周リズム、、月の公転による14.8日の半月周期や29.5日の月周期、さらに地球の公転による1年の周期などがある。いずれも地球の局所あるいは全体の温度はこれらによって変動する。もっと長いサイクルとしては南方振動といわれるエルニーニョやラナーニャがあり、太平洋を中心に大規模な気候変動がみられる。前回述べた太陽の黒点周期は約11年で、これにともない穀物の収穫量が変動するともいわれている。
 
図1太陽の黒点数と平均海水表面温度変動(参考図書より転載引用)
 
太陽黒点は11年周期以外に長期変動や樹木のC14の変動を分析すると、約88年のグライスバーグ周期というものが見られるそうだ(図1)。これが地球表面温度ときれいな相関があるとされている(この図をみるとC02の増加はあまり関係ないようにみえる)。さらに長大な周期現象としてはミランコビッチサイクルが知られており、これは数万年単位で繰り返されている。
 
図2過去の地球の平均温度の変動(参考図書より転載引用)
 
今、地球温暖化防止が声高にさけばれている。この一世紀余で気温が0.7度C近く上昇し今後それが続くと、異常気象現象が続発し南太平洋のサモアのような小島が海没すると危惧されている。しかし、このように時間のスケールを拡大して気温をトレースすると、1度ぐらいの狭い幅ではなく数度の幅で変動していることがわかる(図2)。
この一世紀の気温変動は、図2の上から2番目のグラフにおける黒抜き部分にすぎない。この間の気温上昇には人類が出した炭酸ガスをはじめとする温暖化ガスがいくばくか関わっているのは、間違いないだろうがどれほどそうなのかは確かでない。 
確かでないからバンバン放出してもよいというのではなく、人類の生産活動を総体として反省しエネルギー問題を考えようと言うのが庵主の考えである。
 
現在は第四紀最終氷期(ウルム氷期)が終わり約1万年後で、間氷期の比較的温暖な時期にいる。次の氷期が到来がいつかについては諸説ある。現在は間氷期の終末で氷期が急速に来るという説や、まだだいぶ先の話という説もある。ようするによく分かっていない。
 
参考図書
川上紳一  『縞々学 - リズムから地球史に迫る』 東京大学出版会、1995
清水勇、大石正編著 『リズム生態学ー体内時計の多様性とその生態機能』東海大学出版会 2008
 
 
コメント
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