Schreib mal wieder!

自分の感じるままに...それがクレームと言われても

伝える術(すべ)

2006-05-19 23:56:13 | Weblog
NHKで医者の卵の話をやっていた。彼女は2年間の研修を終え、出身大学の付属病院で内科医として勤務することになった。5人の入院患者の担当になり、またあらたな患者も受け持つこととなる。テレビのこちら側で見ていてもかなりあぶなっかしい感じである。担当される当事者はとてつもない不安を感じるだろう。

ある日、翌日の簡単な手術の手順について説明する。30分かけて丁寧に説明するも、逆に患者を不安にさせ、結局先輩医師と一緒にもう一度説明することに...。そりゃぁ当然だろうなぁ...と思った。

さて、これは果たして彼女の問題だろうか。僕はまったくそうは思えない。これは教育の問題だと思う。

コミュニケーションは非常に難しいことだが、そこにはノウハウがあり、ちょっとしたことで簡単にスキルを身につけることができる。なぜ、効率的なコミュニケーションスキル、すなわちいかにして患者の不安を取り除きながら、治療方針に合意させ、治癒に向かわせるのか、というスキルを6年間の大学の講義、あるいは2年の研修期間で教えないのか。

医者というのは専門知識があればいいというものではない。物理的に治せればいいという問題ではない。「気持ち」「心」を持った人間をいかに治そう、治りたいという気持ちにさせるかというのも重要な仕事のひとつではないか?

彼女が選んだ治療方針は正しかった。彼女には8年間で身につけた、それを判断できるスキルがある。ただ、残念ながらそれをうまく患者に伝える術がない...。もったいない話だ。

俗に「先生」と呼ばれる職業の人間に「私は新人ですからすみません」は通用しない。もちろん知らないことを知ってると言われては困るが、せめて態度は堂々と「専門家」としての誇りを持ってほしい。そのためには、そういう態度を身につけるための教育が不可欠だろう。