やなせたかしさんが亡くなられた。
先月、アンパンマンミュージアムに行ったばかりだったので、身内が亡くなったような悲しさを覚える。
94歳と言う年齢が、92歳の父の年齢に近いのも、他人事に思えない理由の一つだ。
ニュースで報じられる、やなせたかしさんは、アンパンマンの生みの親としての漫画家の顔以外にも、
たくさんの功績を残されているのを知った。
“手のひらを太陽に”の歌詞も、やなせたかしさんの作詞だった事も・・・・・。ミミズだって、オケラだって、アメンボだって、みんなみんな生きているんだ、友達なんだ。
“手のひらを太陽に”の歌詞だ。何のために生まれて、何をして生きる
これはアンパンマンのマーチの最初の歌詞だが、
どちらも“生きる”が歌われている。
それには、若いときの戦争体験が、有るようだ。
TVの中の、やなせたかしさんは、90歳を超えているとは思えないほど、お元気で饒舌で、
その言葉の一言一言が心にしみる。
その言葉には、やなせたかしさんが訴え続けた、正義に対する哲学が有るようだ。
「正義のための戦いなんて、どこにもない。戦う前に飢えた人を救う方が先じゃないか」
厳しい戦火で、餓死する人を見て来た戦争体験が、アンパンマンを生んだと言う。
アンパンマンは、お腹を空かした人に、自分の顔をちぎって食べさせる。
それを、子供が見るアニメには残酷すぎると、エラい評論家には酷評だった。
そのことに、やなせたかしさんは、こう語っている。
「自ら傷つく事なしに、正義はない」・・・・と。
やなせたかしさんの思う“自己犠牲”の考えは、
子供たちには難しくて、頭では理解できなくても、
“人が喜ぶことをする”と言うアンパンマンの優しさを、
子供たちは心で理解していたのだろう。
アンパンマンは子供だけではない、大人にだって、勇気と元気を与えてくれた。
子供のいなかった作者は、アンパンマンに自分のメッセージを託し、空高く飛んで行った。
ご冥福をお祈りいたします。