赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

朗報! 『坂の上の雲』再放送

2024-09-09 00:00:00 | 政治見解

朗報! 『坂の上の雲』再放送


本木雅弘さんが主演を務め、司馬遼太郎氏の小説『坂の上の雲』を実写化したNHKのスペシャルドラマ「坂の上の雲」が、9月8日よりNHK総合で再放送されました。私も早速録画してみました。

『坂の上の雲』は、2009年11月29日から2011年12月25日まで足掛け3年にわたって放送されたテレビドラマの特別番組です。

「坂の上の雲」放送スケジュール
<44分版> 9月8日より、NHK総合・毎週日曜 午後11時~11時44分(全26回)
<89分版> 10月4日より、BSP4K・毎週金曜 午後8時15分~9時44分(全13回)

原作の『坂の上の雲』は、明治維新を成功させて近代国家として歩み出し、日露戦争勝利に至るまでの勃興期の明治日本を描いている作品で、『産経新聞』夕刊に、1968年(昭和43年)4月22日から1972年(昭和47年)8月4日まで1296回にわたり連載されました。

『坂の上の雲』が、人気があるのは、国民国家として国際社会にデビューしてきた日本の姿をありのままに描いており、明治期の日本人が初めて「日本人としての自覚」を持たざるを得なかったことがよくわかる作品だからだと思います。

しかも、当時の国際情勢は、現在と同様に、清国(現中国)、帝政ロシア(現ロシア)の脅威にさらされ、国家を守り抜くためには、戦争という手段を取らざるを得ないという状況で 、現在の日本を取り巻く危機的状況と重なります。


日清戦争と日露戦争

日清戦争――いまと変わらぬ清国の侵略主義、国際法規など無視し続ける夜郎自大な中国人の姿がよくわかります。中国人の本質は何も変わらないように思います。

――日清戦争では阿片戦争以来列強に国土を蚕食されながらも、清帝国は依然として極東最大の大国として存在し、日本にとって西洋列強と並ぶ脅威であった。日清両国は天津条約以来朝鮮半島に対する相互不可侵を約していたが、清は東学党ノ乱によって混乱する李王朝の救援依頼を口実として半島での駐兵を目論んだ。半島が清の支配下に置かれれば日本は玄界灘を隔てたのみでその脅威に向き合わなければならず、危機感を抱いた日本政府は派兵を決断し、これによって日清戦争の火蓋が切られる。――

――日清戦争に勝利した大日本帝国の前には極東進出を狙う大国・帝政ロシアの脅威が迫っていた。ロシアは朝鮮半島にまでその触肢を伸ばすようになり、日露間の緊張はいよいよ抜き差しならぬ段階に入った。ロシアの極東での膨張を懸念するイギリスと日英同盟を締結させた日本は、いよいよロシアと兵火を交える覚悟を固める。陸海ともに世界最強水準の軍隊を持つ大国に対し、富も資源もない小国の国力は比較にならないほど羸弱なものであったが、日本は日清戦争以後に経済を限界まで切り詰めて軍備を整え、殊に海軍戦力は最先端の艦隊を揃えるまでに至った。辛うじて大国と拮抗しうる力を持つようになった今この時を逃しては再び差をつけられかねず、日本政府はついにロシアとの開戦を決断する。――

帝政ロシアの南下主義は現在のロシアと瓜二つです。ウクライナ侵略も伝統的な南下政策ですし、極東にあるウラジオストックという都市は、「ヴラジ(支配せよ)、ヴォストーク(東方)」で「東方を支配せよ」という意味です。つまり、ウラジオストックは極東アジアへの足掛かりの拠点であり、帝政ロシア——ソ連——プーチン・ロシアとなった今でも北海道は少なくとも掠め取りたいと思っているのはどの時代も変わりありません。


日本海海戦

さて、この作品では、今では忘れ去られた軍神・広瀬中佐と日本海海戦が描かれています。特に、バルチック艦隊撃滅のシーンは、プーチン・ロシアの横暴と重ねてみると現在の日本人にとって胸のすくシーンになると思います。

私ごとで恐縮ですが、中学三年の時、社会科の授業で日露戦争がと取り上げられ、日本海海戦の様子を社会科教師が黒板に図解して楽しそうに語っていたのを急に思いだしました。これは不思議な光景で、当時の大分は日教組の御三家で、今考えるとあり得ないシーンです。しかも、日教組を裏で支配していたソ連全盛期の1964年ころのお話です。


『坂の上の雲』の影響

小説『坂の上の雲』の影響ははかりしれません。左翼全盛期の日本に純粋なナショナリズムの芽を植え付けたことに間違いありません。日本共産党員であった藤岡信勝氏(元東京大学、拓殖大学教授)はこの作品をきっかけとして自由主義史観を標榜するようになったと公表しています。

また、NHKの放映は、2009年11月29日から2011年12月25日まで足掛け3年にわたって放送されたものですが、この第二部放映前の2010年9月7日に、尖閣諸島中国漁船衝突事件が起きました。当時は、民主党政権時代(2009年 - 2012年)でしたが、民主党政権は中国に及び腰で国民の怒りを買うことになります。恐らく、NHK放映の『坂の上の雲』の前年の第一部(日清戦争の描写あり)の影響もあり、中国への反発が沸騰したと思われます。

これらのことを考えれば、今回のNHK放映は、秋にも行われるであろう総選挙に大きな影響を与えると思われます。結論からいえば、中国やロシアに思い入れのある立憲民主党、共産党には向かい風になります。静かな、素朴な、ナショナリズムが国民に自覚されるようになるからです。NHKもたまにはいいことをやるのですね。

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