コラム(283):誰のための日中首脳会談か
10月25日からの安倍首相の訪中は、中国からの要請で実施されましたが、首脳会談後の共同声明や合同記者会見もなく、両国には依然わだかまりが残ったままです。
朝日新聞の本音
読売新聞の社説は「米国に次ぐ世界第2、第3の経済大国の協調は繁栄と国際情勢の安定をもたらす」と述べつつ「日本は米国や豪州などと『インド太平洋戦略』を進め、中国の一方的な海洋進出に対抗していくことが重要である」と対中包囲網を急がせています。国民としては訪中の真意がわからなかっただけにこの社説はもっともと思われます。
一方、朝日新聞の社説は、「世界第2と第3の経済力を持つ両国が協力するのは、時代の要請に応える前進だ」としつつ、「日本の側は、単なる対米追従ではない自立した外交の強化が求められる」と対米外交に釘を刺しています。朝日新聞はトランプ・安倍連合(ご参考:当ブログ「トランプ・安倍連合と中国」)を離間させたいのです。
中国の熱烈歓迎は嘘
25日のレセプションで李克強首相は表向きの大歓迎とは裏腹に、日中共同声明にある「日本は戦争責任を反省する」「一つの中国の原則堅持」を意図的に持ち出し、また、習近平主席は首脳会談の前日にわざわざ南部戦区を視察し「いつでもすぐに戦えるように、指揮能力を高めよ」と檄を飛ばしています。
一方の安倍首相は、「習近平主席、李克強総理と、これからの日中関係の道しるべとなる3つの原則(「競争から協調へ」「パートナーであり、互いに脅威とならない」「自由で公正な貿易体制の発展」)を確認しました」とし、中国の覇権主義を牽制しています。
また、李克強首相との会談で安倍首相は、ウイグル族弾圧に触れ「中国国内の人権状況について日本を含む国際社会が注視している」と発言し、中国政府が一番触れられたくない問題を突いています。
目先の欲にかられる自民党幹部
国際政治では、世界平和を希求する高い志と冷徹な現状分析能力が求められますが、残念ながら現在の自民党には、安倍首相を除きその感覚を持っている人物はいません。
問題なのは、米中摩擦で中国が経済的窮地を脱するために日本に秋波を送っているさなか、「日中友好が新段階に入った」と喜ぶ自民党議員が多いことです。政治家として情け無さすぎです。
自民党の事情に詳しい友人が次のように指摘しています。
安倍首相は中国と仲良くなりたいなどとは思っていません。
中国の覇権主義が国際社会の秩序を破壊していることに本気で怒っています。
しかし、自民党の親中利権派の議員は、米中経済摩擦で窮地に立っている中国が日本を頼っていることに乗じ、
今回の訪中に500名もの財界人を同行させ、利権あさりに押し掛けました。
さながら「訪中利権ツアー」の様相を呈しています。
その首謀者は日中友好議員連盟を実質的に仕切っている二階俊博氏です。
最近、自民党内の利権派議員の台頭が激しくなっています。
また、閣僚の顔ぶれも能力のない人たちが揃っています。
この現状で、今の時期、わざわざ中国と親しくする政権。
そして、挙句のはてに消費税増税を推し進める政権。
意味のない今回の訪中など、
国民の考えと相反する行動ばかりの状況に国民は少しずつ嫌気を差し始めています。
国民による未曾有の政治不信がまもなくやってくるのではないでしょうか。
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