田舎の倉庫

Plala Broach から移植しました。

山本兼一著「おれは清麿」

2013年03月14日 | 読書三昧

江戸末期に実在した若き天才刀鍛冶の物語。
綿密な調査と取材を元に、当時の刀鍛冶の生き様を活写したとても面白い読み物に仕上がっています。

物語~小諸藩領赤岩村の郷士の家に生を得た山浦正行は、兄から刀鍛冶の手ほどきを受ける。真っ赤に熱せられた鉄が鍛えられ、魂を吹き込まれて行く様に魅了され刀鍛冶となるのだが・・・

~鉄ほど面白いものはない。
正行はつくづくそう感じている。満月の色に明るく蕩けた鉄塊の美しさが、正行の心をつかまえて離さない。向鎚を振り下ろした刹那の轟音と四方八方に飛び散る火花のすさまじさが心をゆさぶる。窓を閉ざした鍛冶場の闇に、途方もなく美しい世界があることを、侍も町人も知らない。刀鍛冶だけが、それを知っている~

刀鍛冶に魅せられた主人公は、村役人の仕事も妻子も捨て江戸に出る。そして歳月は、歴史に名を残す天才刀鍛冶「源清麿」を生み出して行きます。