大正末期から昭和30年頃までの北海道知床における開拓農民の苦闘を描いた上下巻600余頁の大作です。
物語~父の破産で福島から知床半島ウトロに入植した「とわ」たち一家は、切り拓いた土地で栽培する作物を毎年のようにバッタの大群に侵食され食うのもままならず、挫折・撤退せざるを得なかった。その後、小樽と斜里の商家に子守に出され、辛い奉公の日々が続く・・・
乃南さんの作品を始めて拝見しましたが、しっかりした構成とよどみない文章で、労苦に満ちた当時の女性の生き様を綴った本書を感動とともに読みました。そして、しばしほのぼのとした後読感に浸りました。
また、北海道の苦難に満ちた生きた歴史を学ぶ上でも貴重な小説ではないかと思いました。一読をお勧めします。