新聞(朝日)の道内版で「防災を問う~原発」という連載が始まった。大震災と福島第一原発の事故を受けて、道内唯一の泊原発は大丈夫か、という読者の疑問に答えようというものだ。
近年、新聞はインターネットに押されて苦戦を強いられているが、この種の特集は、やはり新聞でないと出来ないものだ。この点で、新聞は、もっと自信を持って頑張って欲しいと思う。

さて、この記事だが、震災後、北海道電力がとった処置、つまり、泊原発の防災対策は(このブログでもすでにご紹介しているが)、次の3点だという。
一つは、高出力の移動電源車の配置(海抜31m地点)
二つは、海水汲み上げポンプの予備品ストック
三つは、建物の防水処置(外部ドアのパッキン装着)
これらは、泊発電所が津波に襲われるとしても、その波高は、最大9.8mと予想してのことである。
果たして、この「想定」で十分か?
福島第一原発の事故は、「想定外」の津波による事故ではなかったのか。岩手県宮古を襲った津波は、最高40.5mだったという。
また、従来、北電が「想定」に入れていなかった全長70kmにも及ぶ活断層が泊沖にあるとの報告もなされている。

結局、波高が10mを越える津波が泊原発を襲えば、上記のような小手先の対策で防ぐことは不可能である。
今回の三陸沖津波がみせた(3~4階建ての鉄筋コンクリートビルさえ簡単に破壊してしまう津波の)威力を考えると、外部ドアを目張りしたくらいで済むとはとても思えない。ビルが破壊されれば、非常用発電機も損傷して、福島第一原発の二の舞となる。
いずれにせよ、抜本的な防災対策をたてる一方、原発に頼らない電源開発に注力する必要がある。上図は、新聞記事からの転載です。