1945年(昭和20年)8月9日午前11時2分
米軍のB29爆撃機「ボックスカー」が
プルトニウム原爆「ファットマン」を投下し
長崎市松山町の500m上空で爆発した。
あの日から61年目の今夜
日本の空には憂いに満ちた満月が光り輝いています。
長崎は9日、61回目の原爆の日を迎えた。
爆心地に近い長崎市松山町の平和公園では、
市主催の長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が開かれ、
約4600人が参列した。
伊藤一長市長は長崎平和宣言で、
核保有国の核軍縮が進まない現状に対する怒りといらだちを強調し、
「2006年を再出発の年とすることを決意し、
恒久平和の実現に力を尽くす」と、
核兵器廃絶への取り組みを強める考えを表明した。
式典は午前10時40分、高校生が打ち鳴らす「長崎の鐘」を
合図に始まった。
この1年間に亡くなったり新たに死亡が確認されたりした2831人の
死没者名簿3冊が、平和祈念像前の奉安箱に納められた。
これで名簿の累計は14万144人となった。
(読売新聞) - 8月9日14時46分更新
長崎平和宣言
「人間は、いったい何をしているのか」
被爆から61年目を迎えた今、
ここ長崎では怒りといらだちの声が渦巻いています。
1945年8月9日11時2分、長崎は一発の原子爆弾で壊滅し、
一瞬にして、7万4千人の人々が亡くなり、7万5千人が傷つきました。
人々は、強烈な熱線に焼かれ、凄まじい爆風で吹き飛ばされ、
恐るべき放射線を身体に浴び、
現在も多くの被爆者が後障害に苦しんでいます。
生活や夢を奪われた方々の無念の叫びを、忘れることはできません。
しかし、未だに世界には、人類を滅亡させる
約3万発もの核兵器が存在しています。
10年前、国際司法裁判所は、
核兵器による威嚇と使用は一般的に国際法に違反するとして、
国際社会に核廃絶の努力を強く促しました。
6年前、国連において、被保有国は核の拡散を防ぐだけではなく、
核兵器そのものの廃絶を明確に約束しました。
核兵器は、無差別に多数の人間を殺りくする兵器であり、
その廃絶は人間が絶対に実現すべき課題です。
昨年、189か国が加盟する核不拡散条約の再検討会議が、
成果もなく閉幕し、その後も進展はありません。
核保有国は、核軍縮に真摯に取り組もうとせず、
中でも米国は、インドの核兵器開発を黙認して、
原子力技術の協力体制を築きつつあります。
一方で、核兵器保有を宣言した北朝鮮は、
我が国をはじめ世界の平和と安全を脅かしています。
また、すでに保有しているパキスタンや、
事実上の保有国と言われているイスラエルや、イランの核開発疑惑など、
世界の核不拡散体制は崩壊の危機に直面しています。
核兵器の威力に頼ろうとする国々は、今こそ、
被爆者をはじめ、平和を願う人々の声に謙虚に耳を傾け、
核兵器の全廃に向けて、核軍縮と核不拡散に誠実に取り組むべきです。
また、核兵器は科学者の協力なしには開発できません。
科学者は、自分の国のためだけではなく、
人類全体の運命と自らの責任を自覚して、核兵器の開発を拒むべきです。
繰り返して日本政府に訴えます。
被爆国の政府として、再び悲惨な戦争が起こることのないよう、
歴史の反省のうえにたって、憲法の平和理念を守り、
非核三原則の法制化と北東アジアの非核兵器地帯化に
取り組んでください。
さらに、高齢化が進む国内外の被爆者の援護の充実を求めます。
61年もの間、被爆者は自らの悲惨な体験を語り伝えてきました。
ケロイドが残る皮膚をあえて隠すことなく、
思い出したくない悲惨な体験を語り続ける被爆者の姿は、
平和を求める取り組みの原点です。
その声は世界に広がり、長崎を最後の被爆地にしようとする活動は、
人々の深い共感を呼んでいます。
本年10月、第3回「核兵器廃絶―地球市民集会ナガサキ」が
開催されます。
過去と未来をつなぐ平和の担い手として、
世代と国境を超えて、共に語り合おうではありませんか。
しっかりと手を結び、さらに力強い核兵器廃絶と平和のネットワークを、
ここ長崎から世界に広げていきましょう。
被爆者の願いを受け継ぐ人々の共感と連帯が、より大きな力となり、
必ずや核兵器のない平和な世界を実現させるものと確信しています。
最後に、無念の思いを抱いて亡くなられた方々の御霊の平安を祈り、
この2006年を再出発の年とすることを決意し、
恒久平和の実現に力を尽くすことを宣言します。
2006年(平成18年)8月9日 長崎市長 伊藤 一長
長崎の鐘は響いても、日本国総理大臣の声は響きません。
いまもまだ、日本は長く忘れていたものを
見つけられないでいます。
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