goo blog サービス終了のお知らせ 

駒師「日向」のブログ 本店

プレーヤー目線で作る
将棋駒作家のつぶやき

角落ち上手戦記 下手矢倉定跡風1~その2~

2019年05月31日 | 対局日誌
●第3図までの指し手
△2二銀
▲7八金
△6四歩
▲6六歩
△9四歩
▲5六歩
△4四歩
▲4六歩
△7四歩
▲5八金


下手の▲6六歩、▲5六歩、▲4六歩が大事な手です。少し消極的に見えるかも知れませんが、角落ち下手のコツは、上手に余計な位を取らせないことです。

●第4図までの指し手
△7二飛
▲6七金右
△4二金上
▲6九玉
△7五歩
▲同 歩
△同 飛
▲7六歩
△7二飛
▲7九角
△4三金直
▲6八角
△9五歩
▲7九玉
△6三金
▲8八玉


上手の玉形は堅陣にはなりませんので、飛車と金を軸に攻めの形を作りますが、そもそも上手は駒が不足していますので、直ちに攻撃を仕掛ける事は出来ません。
その間に下手は矢倉の堅陣に玉を納めます。余計な争点を作らない様に、端歩は受けませんでしたが、これはこれで「あり」だと思います。

角落ち上手戦記 下手矢倉定跡風1~その1~

2019年05月29日 | 対局日誌
以前、地方紙に観戦記が数回載った事があるのですが、

今思っても相変わらず文章が下手だだな、、、、と思います。

ただし、ベテランのライターさん曰く

「数多く書く事で少しずつ良くなるよ」

との事、もう少し頑張ってみます。

今回も角落ち上手です。

手合割:角落ち 
下手:某初段さん
上手:日向

●第1図までの指し手
△6二銀
▲7六歩
△5四歩
▲6八銀
△5三銀
▲2六歩
△4二玉
▲2五歩
△3二玉


数えきれないほど角落ち上手を指していますが、
この局面は頻出だと思います。
無難な出だしですね。

●第2図までの指し手
▲3八銀
△5二金右
▲3六歩
△8四歩
▲3七銀
△8五歩
▲7七銀


下手の▲3八銀は棒銀を見せた手でしょうか。
上手の陣形によっては、1~2筋をこの銀を使って攻めてくるかも知れません。
それを警戒し、上手も△8四歩~△8五歩と早めに飛車先を伸ばします。
下手がおとなしく▲7七銀としましたので、戦いにはならず、この先暫く駒組みが続きます。




明朝 ~その7~

2019年05月27日 | 創作書体
ちょっと間が空きましたね、明朝です。

字母紙の定着と

糊の水分が完全に乾くまで

待っていました。

定着が不十分ですと、

彫っている途中で字母紙が

剥がれる事があります。

また、糊の水分が木地に残っている状態で彫ると、

木地の堅さが変わり、失敗することがあります。

同じ調子で彫るための大事な準備です。



竜王です。

明朝の裏面は楷書にしました。

もちろん、朱漆を使います。


空蝉 Round2 ~その12~

2019年05月22日 | 創作書体
空蝉の一字書です。

オーナー様のご指示に基づき、

面取りをしております。

面取り作業は工程としてはそれほど難しくありませんが、

駒木地と字母の大きさのバランスをとる必要があります。

バランスと言っても、

十人十色なのが難しく、

また面白いところです。


角落ち上手戦記 ~その5 下手二枚落ち定跡風~

2019年05月20日 | 対局日誌
いやぁ~ 戦記の執筆って予想以上に大変ですね。

動画にコメントを録音する方が百倍簡単だと思いますが、

全ての方が動画をご覧になっている訳ではありませんし、

何でもかんでも最先端じゃなくていいでしょう。

さて、本題に入ります。

●第12図までの指し手
△3四金
▲3五歩
△同金寄
▲4九飛
△2七角
▲2三銀
△同 玉
▲4三飛成
△3二銀
▲6三龍
△同角成
▲投了



まで上手の勝ち。

最後は駒を取られて下手投了です。

プロの世界ではありえない幕切れですが、

アマチュアの将棋では普通です。

焦りが極限まで来ると、

こういうミスが出ますし、

上手はそれを誘発しています。

こんな将棋、プロでは題材に出来ませんよね。

奨励会経験もないただのアマチュアですが、

そういう人間だからこそ発信できるものがあるかと思います。

アマチュアで駒落ち対策に困っている方の一助になれば幸いです。





角落ち上手戦記 ~その4 下手二枚落ち定跡風~

2019年05月18日 | 対局日誌
●第10図までの指し手
▲3七桂
△4四金引
▲4六銀
△1四歩
▲6九玉
△6三金
▲7九玉
△7三桂
▲8八玉
△1五歩


下手の序盤の構想を上手に咎められ、
下手は焦りに近い感情を覚えており、
その感情が▲4六銀に現れていると私は思います。
焦ると「直接的な指し手」になりやすく、
▲4六銀の狙いは▲4五銀からの金銀交換と右桂の活用です。
しかし、直ちにそれを決行するには玉の守りが薄いので、
▲6九~▲8八玉で自重しました。
直接的な指し手は狙いが単純で対策が立てやすくなります。
それが△6三金で下手の▲4五桂が5三の金取りにならない様にしています。
下手からの▲4五銀対策が出来ていますので
上手は悠々と△1五歩、下手の攻めを誘っています。

●第11図までの指し手
▲4五銀
△同 金
▲同 桂
△4四銀
▲4六金
△5四金
▲3四歩
△4五銀
▲同 金
△同 金


▲3三歩成
△同 銀
▲2四歩
△同 歩
▲同 角
△2五歩
▲3三角成
△同 桂
▲2九飛



上手の方針はハンディの回復で、それが実現するまでは受けに徹します。
ターゲットは下手の右桂、△4四銀で駒得を狙います。
ここまでの指し手の応酬から下手の読みの深さは5手程と思われます。
▲4五銀△同金▲同桂の局面で上手の指し手を予想出来ていなかったのでしょう、
それが▲4六金から読み取れますし、
もしこの▲4六金が読み筋だったら下手の大局観は段位より劣っていると判断できます。
大きな加点を狙ったのが△5四金、下手の▲3四歩を無視して桂馬を食いちぎりました。
桂馬1枚の価値を4点程度と仮定しますと、
上手+4点&下手-4点で出入り上手の8点となります。
角1枚を10点と評価すると先の歩得と合わせ8+2で、
駒の損得では上手は当初のハンディを回復したと言えます。
おそらく下手は▲3四歩を△同歩としてもらえると予想していたのでしょうが、
根元の桂馬を奪われて焦り、▲2四歩から強引に飛車先突破を試みました。
しかし、ここが上手の芸の見せ所、巧みに反撃し先手で下手の飛車を自陣に戻しました。
この局面で形勢判断です。
駒の損得は上手角桂と下手銀1枚の交換です。
玉の堅さは下手が圧倒的に有利です。
手番は上手ですが3四の地点に弱点がありますので、
実質は下手の先手みたいなものです。
従ってこの局面、私の判断はようやく互角程度です。

角落ち上手戦記 ~その3 下手二枚落ち定跡風~

2019年05月16日 | 対局日誌
●第8図までの指し手
▲2六飛
△5六歩
▲2四歩
△同 歩
▲同 飛

遅れ馳せと思いながらも下手は2筋の歩交換に成功、
しかも十字飛車が決まり一本取った気でいると思います。
しかし、、、、

●第9図までの指し手
△5三金上
▲2三歩
△2二歩
▲同歩成
△同 銀
▲5六銀
△5五歩
▲4七銀
△2三歩
▲2六飛
△4五金

十字飛車に対する△5三金上は、上手苦心の一着に見えるでしょうね。
その心理が前のめり気味の▲2三歩に現れています。
△2二歩から一連の手順は手筋です。
上手が巧みに先手を取り、△4五金で一歩得を果たしました。
歩1枚を1点としますと、上手+1点、下手-1点で出入り2点の差がつきます。
序盤は特に駒の損得が大きく影響します。
これで角1枚ではなく銀1枚程度までハンディが縮んでいると思います。
しかも△4五歩は下手が序盤早々に伸ばした歩で、
先ほど解説した通り上手が下手の指し手を咎めた格好になっており
心理的なダメージも少なくないでしょう。

角落ち上手戦記 ~その2 下手二枚落ち定跡風~

2019年05月14日 | 対局日誌
下手▲3六銀は好形で3筋方面に厚み(勢力)があります。
駒が不足している上手はそれに対抗する事が出来ませんので、
厚みの影響を出来る限り受けない低い構えで辛抱し、争点を作らない様にします。
その辛抱の代償が上手の5、6筋の厚みです。
この様に厚みには相手の駒の働きを不自由にする効果があります。
既存の駒落ちの定跡書に書いていないのは、
ハンディをどの様に補うか、その考え方と具体的方法です。
▲4七銀は違和感を覚えると思いますが、思ったよりも厚みが機能しないので、
下手なりに考えて駒の活用を図った手でしょう。
その姿勢は正しいと思いますが、残念ながら指し手の善悪は微妙です。

●第7図までの指し手
▲2六歩
△6四銀
▲2五歩
△7五歩
▲同 歩
△同 銀
▲7六歩
△6四銀



5筋で歩がぶつかったままになっています。
下手が仮に▲5五歩と指しますと△同金が飛車取りになりますので、
余程の成算が無い限り下手からの▲5五歩は難しいんですね。
この局面は接近戦に弱い飛車の弱点が如実に表れている例で、
実は下手が序盤早々に指した▲4六飛を上手が逆用(咎めて)いるのです。
相手が指した手を逆用するのは、平手にも通用する考え方で、心理面の影響が加わり効果的です。
下手は気を取り直して2筋の歩を伸ばしますが心の中では、
「こうなるなら初手は▲2六歩としておけば良かったな。」
と思っているかも知れません。
上手はその間隙を縫って右銀を繰り出し、
7筋の歩交換に成功、また少しずつポイントを上げます。
念のため盤上の駒を持ち駒にする効果を説明致します(分かっている方は読み飛ばして下さい)。
この局面は盤上にあった△7四歩が、交換により駒台に乗ったことになります。
一方下手の▲7六歩は打ち直しましたので「そのまま」ですね。
「二歩禁止」のルールにより、持ち駒の歩を活用できるのは、今は7筋しかありません。
しかしルールに抵触しない局面になれば、この駒台の歩はどこへでも飛んで行くことが出来ます。
持ち駒は盤上の駒より活用範囲が格段に広いんですね。
歩交換の有利さを理解する事が出来るでしょう。

角落ち上手戦記 ~その1 下手二枚落ち定跡風~

2019年05月12日 | 対局日誌
角落ち上手の戦記を時々アップして行きたいと思います。

キッカケはある方からの

「駒落ちの上手ってどう指せばいいんですか?」

という一言でした。

当たり前ですが、駒落ちの「下手」について解説した本はいくつもあります。

ハンディ戦ですから必勝定跡もあります。

しかし、対局の数だけ「上手」も存在する訳ですが、

その指し方について解説したものはほぼ皆無ですね。

よく考えてみますと、

プロ的に言えば駒落ちは下手必勝であり、

「こうやれば下手が間違えやすい」

という様な不確定要素満載の本は、

正解が見えてしまうプロは

著す事ができないんでしょうね。

そこでそういう事に囚われないアマチュアならではの情報発信を試みます。

ただし、所詮アマチュアですから、

改善に向けたご意見ご感想をお寄せ頂ければ幸いです。

上手:日向
下手:某初段
手合い割:角落ち

●第1図までの指し手
△6二銀
▲7六歩
△5四歩
▲4六歩
△5三銀
▲4五歩



はじめて見る方は違和感を覚えると思いますが、
角落ち下手が二枚落ちと同じように指してくる形です。
結構多いです。
という事は、上手はその準備が必要という事です。

●第2図までの指し手
△8四歩
▲7八銀
△8五歩
▲7七角
△4二玉



角落ちの下手は矢倉か振り飛車が多いです。
しかし本局は二枚落ちの下手二歩つきっきり風、
有効か否かは私の実力ではわかりませんが、
歩の伸びが早いので、それに応じた指し方が必要です。
それが早めの△8五歩、
これで下手の応手が▲7七角なら急戦調、
▲7七銀なら持久戦、どちらなのかを尋ねました。
下手の回答は▲7七角、
上手は急戦を警戒し玉の安定を優先しました、
それが△4二玉です。

●第3図までの指し手
▲4八飛
△3二玉
▲3六歩
△4二金
▲3五歩
△2二銀



下手は玉の囲いを後回しにして、
▲4八飛から攻撃態勢の構築を急ぎます。
二枚落ちの場合は上手の玉の応援が利かず、
△2二銀+△3二金の形を強いられます。
しかし本局は角落ち、△3二玉+△2二銀の形が間に合います。

●第4図までの指し手
▲3八銀
△6四歩
▲3七銀
△5二金
▲3六銀
△6三金
▲5八金
△9四歩
▲9六歩



駒落ちの上手は下手の心理を読むことを常に求められます。
上手は最初から不利な局面を戦う訳で、
常に「どうやったら逆転できるか?」
を考えて指しています。
形勢逆転の訓練と言っても過言ではないでしょう。

では、この局面の下手の心理を推測してみましょう。
「角落ちなんてちょろいと思って、
二枚落ちと同じように指してみたけど、
意外と簡単じゃないな。」
といったところでしょうか。
上手からの△9四歩は
「簡単じゃないでしょ?」の意味、
下手も▲9六歩で
「そうですね」と答えています。

●第5図までの指し手
△7四金
▲4六飛
△6五歩
▲6八角
△6四金
▲7七銀
△5五歩
▲7八金
△7四歩



角落ち上手では右金将を使って局面を作ります。
平手の将棋ですと金将は守りの主役ですが、
駒落ちの将棋で平手の感覚のまま指していると、
ポイントを上げる事が出来ません。

動けるマスの数ですが、
銀将の5か所に対し、金将は6か所あり、
横への機動力に優れているんですね。
この違いを認識して活用するのがとても重要だと私は思います。
それが△7四金から位を張る一連の動きです。
これは金将にしか出来ない芸当ですね。

●第6図までの指し手
▲5六歩
△3一銀
▲4七銀
△5四金



下手の▲5六歩は角の活用を考えた一手でしょう。
しかし5筋の制空権は既に上手が握っており、
下手難局になりつつあります。
接近戦に弱い下手の飛車角を上手は金将一枚で相手にしています。
その隙にカベ銀を解消しつつ、
金銀の連携を強め、玉を広くしました。
こうやってポイントを上げて行きますが、
まだまだ角一枚のハンディは補えていません。

つづく

阿里 Round 1 ~その1~

2019年05月11日 | 創作書体
一字書の字母紙制作が楽しくて止まりません。

写真の書体は阿里(あさと)と言います。

松田博行(号「呂雪」、故人)師の創作書体です。

以前からノーマル(二字)の字母紙は持っていたのですが、

素敵なこの書が狭い五角形の中に

無理に押し込められた感じがしていて、

作る気にはなりませんでした。

久しぶりに字母帳にあるこの書体を眺め、

頭の中で一字を切り出し、

駒形に納めてみると、、、、、

狭苦しい感じが消えて、

この書体が持つ個性が遺憾なく発揮できそうな気がしました。

画像編集ソフトを使って実際に字母紙を作ってみると、、、

ああ、やっぱりいい感じです。


この書体が作られたのは今から40年以上前の様です。

発信することでこの書体が埋もれることなく、

後世へ続くことを願います。













空蝉 Round 2 ~その14~

2019年05月09日 | 創作書体
研ぎ出しが終りました空蝉書です。

字母紙を全て剥がして目止めする方法は

手間はかかりますが、

仕上がりが綺麗です。

特にごまかしが一切利かない

太字の彫り駒は、ここが見せ場ですので。。。


さて、前回のお話の続きです。

昔の話で恐縮ですが、

全国大会の県予選準々決勝で相手の人が

金将と王将を間違えて動かし、

私がその王将を桂馬で取って勝ったことがありました。

30年以上の月日が過ぎても思い出されるのは、

その時の周囲のシラケた空気感です。

相手の方は眼があまり良くありませんでした。

その駒は会場となった将棋道場所有の盛上げ駒で、

この試合のためにわざわざ用意して下さったものでした。

私にとってははじめて見る盛上げ駒でしたので、

まじまじと見た記憶があります。

しかし、今思うと盛った漆が凸凹で、

対局中にクルクル、カタカタ、、、、、

自分自身も使いにくかった事を覚えています。

当時盛上げ駒は今より貴重品で、

粗悪なものもかなり出回っていた様で、

目の利かない方々が随分と高い買い物をさせられていたと、

後から聞きました。

これって誰が悪いんですかね?

昭和なら「負けた人」でしょう。

平成なら「運営側の配慮不足」でしょうか。

令和なら「作った人も」かと思います。