今日の岩木山の花はユキノシタ科アジサイ属の落葉低木「エゾアジサイ(蝦夷紫陽花)」だ。花名の由来は北海道や本州北部に多く自生していることと集(アヅ)真(サ)藍(アイ)の意味で青花が集まって咲く様子によるのである。
バスを利用して大石口から登るには、弥生線の終点、又は鰺ヶ沢線の大森で下車して歩くしかない。どちらもアスファルト道路なので登山靴を履いて歩くことは楽ではない。だから歩行距離の短い「大森で下車」を採ることが多い。
その日もそうだった。大石神社で一礼をし、赤倉神社でも礼拝してから赤倉沢の橋を渡ろうとしていた。こちらは明るいのだが、逆光になっている登山道は暗い。渡って直ぐのところ、右岸のミズナラとブナの混交林の外縁で、暗緑の奥行きをバックに明るい薄紫が揺れていた。 エゾアジサイだ。
アジサイは万葉の時代から、橘諸兄(たちばなもろえ)が「あじさゐの八重咲く如く弥つ代にをいませわが背子見つつ偲はむ(巻二十)」と詠んでいるように、人々に親しまれてきた花である。私も「岩木山よ、永遠であれ」と願わずにはいられなかった。
社屋群の脇の「よく整備された登山道」を通って尾根に出る。石仏の一番が佇んでいた。
一礼しながら先日、横浜から来たという登山者に「登山道沿いに奇妙な溝や穴が沢山ありますね。あれは何ですか。全国の山をかなり登っていますがこんな登山道は初めてです。明らかに自然破壊でしょう。」と言われたことを思い出していた。
赤倉神社の信者が、神のお告げといって「楽で安全な信者の登拝」だけを念頭において「整備」した結果、皮肉にも逆に信仰の道を毀損し、自然を破壊して、どこの山にも見られないほど幅が広く不思議で奇妙な登山道になってしまったのである。登山道は一人歩ける幅があれば十分であろう。敬虔な信仰の道も台無しである。悲しいかな、この登山道からは多くの花が姿を消してしまった。
<メモ>
1.「橘諸兄の歌意」:紫陽花のように永久に栄えていて下さい。私はそれを見ましょう。愛しい人よ。
2. 「アジサイ」:上述したように『万葉集』にも登場している花である。平安時代には「ヨヒラ」の名でも呼ばれた。また江戸時代に入ってから、梅雨時に色が変わる花として、一般に普及した。
しかし、「武士(侍)」文化では、アジサイは「負のイメージ」として捉えられていたというのである。「主に仕える」という意味では、その忠誠心が「アジサイ」の花の色のように簡単に変わってはいけないということからであろう。
3.「アジサイの別名」:アズサイ・テマリバナ・七変化(シチヘンゲ)
4.「アジサイの花色」:アジサイの花は大きくきくわけて青色とピンク色がある。
これはその土壌のペーハーによる違いといわれている。酸性なら青、アルカリ性が強いとピンク色という具合だ。
5.「アジサイの花言葉」
アジサイは咲き始めから、終わりまで実に様々に色を変化していくことから、
「七変化」とも呼ばれる。このような背景からアジサイの花言葉は「移り気」とか「貴方は冷たい」とかいうものもある。
バスを利用して大石口から登るには、弥生線の終点、又は鰺ヶ沢線の大森で下車して歩くしかない。どちらもアスファルト道路なので登山靴を履いて歩くことは楽ではない。だから歩行距離の短い「大森で下車」を採ることが多い。
その日もそうだった。大石神社で一礼をし、赤倉神社でも礼拝してから赤倉沢の橋を渡ろうとしていた。こちらは明るいのだが、逆光になっている登山道は暗い。渡って直ぐのところ、右岸のミズナラとブナの混交林の外縁で、暗緑の奥行きをバックに明るい薄紫が揺れていた。 エゾアジサイだ。
アジサイは万葉の時代から、橘諸兄(たちばなもろえ)が「あじさゐの八重咲く如く弥つ代にをいませわが背子見つつ偲はむ(巻二十)」と詠んでいるように、人々に親しまれてきた花である。私も「岩木山よ、永遠であれ」と願わずにはいられなかった。
社屋群の脇の「よく整備された登山道」を通って尾根に出る。石仏の一番が佇んでいた。
一礼しながら先日、横浜から来たという登山者に「登山道沿いに奇妙な溝や穴が沢山ありますね。あれは何ですか。全国の山をかなり登っていますがこんな登山道は初めてです。明らかに自然破壊でしょう。」と言われたことを思い出していた。
赤倉神社の信者が、神のお告げといって「楽で安全な信者の登拝」だけを念頭において「整備」した結果、皮肉にも逆に信仰の道を毀損し、自然を破壊して、どこの山にも見られないほど幅が広く不思議で奇妙な登山道になってしまったのである。登山道は一人歩ける幅があれば十分であろう。敬虔な信仰の道も台無しである。悲しいかな、この登山道からは多くの花が姿を消してしまった。
<メモ>
1.「橘諸兄の歌意」:紫陽花のように永久に栄えていて下さい。私はそれを見ましょう。愛しい人よ。
2. 「アジサイ」:上述したように『万葉集』にも登場している花である。平安時代には「ヨヒラ」の名でも呼ばれた。また江戸時代に入ってから、梅雨時に色が変わる花として、一般に普及した。
しかし、「武士(侍)」文化では、アジサイは「負のイメージ」として捉えられていたというのである。「主に仕える」という意味では、その忠誠心が「アジサイ」の花の色のように簡単に変わってはいけないということからであろう。
3.「アジサイの別名」:アズサイ・テマリバナ・七変化(シチヘンゲ)
4.「アジサイの花色」:アジサイの花は大きくきくわけて青色とピンク色がある。
これはその土壌のペーハーによる違いといわれている。酸性なら青、アルカリ性が強いとピンク色という具合だ。
5.「アジサイの花言葉」
アジサイは咲き始めから、終わりまで実に様々に色を変化していくことから、
「七変化」とも呼ばれる。このような背景からアジサイの花言葉は「移り気」とか「貴方は冷たい」とかいうものもある。