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▲がれき広域処理を検証する ~ 愛知県知事の質問状に環境省が回答 ~

11月21日付けで、環境省から回答が届き、愛知県のHPに掲載されていますのでご覧下さい。
http://www.pref.aichi.jp/0000046647.html

なお、見やすいように展開しておきますが、「各自治体で工夫しないさい」という内容の回答と感じました。最終処分場のモニタリングの問題や、非公開で検討委員会を開催して決め、情報公開請求でも議事録は公開されないこと自体も問題だと感じます。

以下、展開 ↓

 東日本大震災により東北地方の沿岸部を中心に発生した膨大な災害廃棄物の処理について御理解・御協力をいただき、感謝申し上げます。
 現在被災地では、一日も早い復興に向けて仮置場に搬入された災害廃棄物の処理を本格化していく段階に入つており、その迅速な処理を進めるに、被災地以外の地方公共団体、廃棄物処理事業者等の御協力をいただき、それら地域の人員、機材、施設等を活用した広域処理を実施することが不可欠な状況です。
 災害廃棄物の広域処理に係る安全性の考え方については、環境省の災害廃棄物安全評価検討会における専門家の検討を経て「東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理の推進に係るガイドライン」(平成23年8月H日策定、10月11日一部改定、11月18日一部改定。以下単に「ガイドライン」という。)として取りまとめており、最新の知見を踏まえてその充実を図つているところです。
 また、ガイドラインの考え方をより分かりやすく伝えるために、「災害廃棄物の広域処理の推進に係るガイドラインに関するQ&A」(平成23年10月21日作成。以下単に「Q&A」という。)や災害廃棄物の広域処理に関する説明資料を作成しており、こちらも充実を図つていく予定です(それぞれ、別添1及び別添2を参照)。
 今後は、いただいた御質問も踏まえて引き続きガイドライン及びQ&A等の充実を図るとともに、一般の方に分かりやすいパンフレット(災害廃棄物の処理に伴って発生する焼却灰等の安全な処理について、県民・市民、廃棄物処理事業者等に対して説明する際にお使いいただけるようなもの)を早急に作成するなど、災害廃棄物の広域処理に対する理解促進に最大限努めてまいります。また、県民・市民の御理解をいただくため、地方公共団体の説明会等への協力を行ってまいります。貴県におかれましても、広域処理の実施に御協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

質問1 災害廃棄物の受入れ基準の設定
 災害廃棄物について、通常の廃棄物と同様に埋立処分が可能とされる放射性セシウム濃度の基準(l kg当たり8,000ベクレル以下。以下「埋立基準8,000ベクレル」という。)は示されているが、受け入れ、運搬、保管時等の焼却前における廃棄物の放射性物質の濃度基準がないと、その時点での安全性を県民に説明できない。そこで、焼却前段階における災害廃棄物の放射性物質の濃度基準を設定することが必要と考えられるが、見解を示されたい。

(回答)
 ガイドラインの考え方に照らせば、通常のストーカ式の焼却炉の場合、災害廃棄物から飛灰への濃縮率は最大でも33.3倍程度なので、災害廃棄物の平均濃度が240Bq/kg以下であれば焼却後の飛灰で8,000Bq/kgを超えるおそれはなく、受入側に負担をかけることなく一般廃棄物最終処分場(管理型最終処分場)での埋立処分が可能です。
 つまり、焼却前の放射性物質濃度が一定以上に高く、:その結果、このような事前評価を満たさない災害廃棄物については、広域処理の対象にはなりません。被災地においては、平成23年6月以降、広域処理も念頭に、災害廃棄物の放射能濃度の測定及び組成調査が実施されていますが、その結果によれば、沿岸部の災害廃棄物の放射能濃度は低く、廃棄物の処理・再生利用において、十分な安全性を確保し得るレベルと考えられます。具体的には、ガイドライン別添1に示されているように、災害廃棄物の放射性セシウム濃度(セシウム134とセシウム137の合計値。以下同じ。)は、岩手県の場合、燃焼物全体では不検出~104Bq/kgの範囲となっています。
実際には、災害廃棄物を処理する際には他の廃棄物と混焼することになりますし、焼却炉の燃焼形式も異なります。混焼割合等は自治体ごとに異なることから、混焼割合等を勘案した一律の受入基準を定めることは困難です。
 しかし、受入側自治体が、市民に分かりやすい形で一定の受入基準を設定し、受入状況に応じた安全性の評価及びそれに即した説明を行うことは可能と考えます。例えば受入初期段階では、焼却前の廃棄物の放射性物質の平均濃度として240Bq/kg以下という値を受入れの基準として設定し、受入開始後のモニタリング結果を踏まえて実態に即した受入基準に改めることも一案です。現に、焼却する場合の当面の間の受入基準を200Bq/kg以下と設定し、広域処理を実施している地方自治体もあります。受入れを想定している焼却炉の燃焼形式や混焼割合等の具体的な状況に即して、環境省としても必要に応じ助言いたします。
 なお、広域処理の対象となる災害廃棄物の放射能濃度レベルは、特段の制限なく市中での流通が認められているクリアランスレベル(100Bq/kg以下)や、食品中の放射性物質に係る基準値(暫定規制値)(飲料水等200Bq/kg以下、野菜類、穀類、肉等500Bq/kg以下)のレベルと同等又はそれ以下であり、運搬、保管時等において、災害廃棄物を取り扱うことによる被ばくの問題は生じないと考えられます。また、運搬、保管に当たつては、廃棄物処理法に定める規制を遵守することで、災害廃棄物の周辺への飛散、流出を防ぐことが可能と考えます。
(関連)
・Q&AのQl「広域処理が可能な災害廃棄物(可燃物)の放射性セシウム濃度を具体的な数字でもつて示して欲しい。」に対する回答
・ガイドライン「I 広域処理における安全性の考え方について」


質問2 放射性物質の飛散がほとんどない地域における対応
 災害廃棄物の処理については、全国一律の基準が設定されているが、放射性物質の飛散がほとんどないこの地域の県民感情に配慮すると、県民の理解をいただくためには、さらにきめ細かな基準が必要と考える。このためtこうした地域における、より安心できる基準を設定するといつたことも考えられるが、見解を示されたい。

(`回答)
 ガイドラインに示す安全性の考え方は、原子力安全委員会によつて示された追加的な被ばくの線量限度の目安を満足するように整理されており、埋立処分場の周辺住民はもとより、より被ばくしやすい埋立処分を行う作業者についても安全性を確保することのできる具体的な根拠を持ったものです。また、焼却に伴う排ガス中の放射性セシウムについては、バグフィルター等により、ほぼ完全に除去、捕集されることが測定データにおいて確認されており、放射性物質の飛散を防止することができます。安心の観点から、質問1に対する回答にも記述したとおり、受入側が県民・市民に分かりやすい形で独自の受入基準を設定し、受入状況に応じた安全性の評価、説明を行うことは可能と考えます。また、質問5にあるモニタリングの実施により実測データを積み上げていくことでよリー層の御理解、安心をいただく体制を構築することも有効と考えます。

(関連)
・Q&AのQ4「8,000Bq/kg以下の焼却灰を安全に処分できるということについて、根拠を示してほしい。」に対する回答


質問3 埋立処分地跡地利用とそれを利用する県民の安全性の視点からの基準の設定
 埋立処分地跡地の利用については、通常、工場等事業用地や、公園、畑・果樹園等農地など様々な形態がある。その中で埋め立てる焼却灰等が埋立基準8,000ベクレルを超えない場合であっても、『埋立処分終了後の跡地については、十分な安全性が確認されない限り「居住等」の用途に供することは避けること』とされていることから、埋立後の安全性を県民に明確に説明するためのきめ細かな情報と基準が必要と考えられる。このため、跡地の利用形態ごとに、それを利用する県民の安全性の視点から、きめ細かな安全基準を設定することも含め、見解を示されたい。

(回答)
 埋立終了後の跡地利用については、8,000Bq/kgの焼却灰を埋立処分した場合であっても、最終処分場の跡地で居住しないなどの利用制限を設ければ、原子力安全委員会による処分施設の管理期間終了以後の被ばくの目安である10μ Sヤ/年以下とすることができます。例えば、8,000Bq/kgの焼却灰を埋め立てた上に50 cmの覆土を設けて公園とした場合、子どもがこの公園を年間約3,000時間(一年間毎日8時間を公園で過ごす場合)利用したとしても、10 μ Sv/年に達することのない程度のレベルですので、公園利用は十分に可能です。
 また、ガイドラインに実測値を掲載しているとおり、災害廃棄物の焼却灰の放射性セシウム濃度は8,000Bq/kgより大幅に低い値になると見込まれます。このため、覆土を保った利用であれば居住等を除く一般的な用途には特段の問題は生じないと考えます。御指摘の工場等事業用地、畑・果樹園等の農地といった個別の跡地利用形態ごとの厳密な評価を行うには、一定の利用形態を想定してシナリオ評価をすることが必要ですので、その点も含めて今後ガイドラインを充実していきたいと考えます。
(関連)
・Q&AのQ4「8,000Bq/kg以下の焼却灰を安全に処分できるということについて、根拠を示してほしい。」に対する回答
・ガイドライン「HI 災害廃棄物の焼却処理に関する評価」


質問4 放射性物質の濃度基準を超えた場合の処理
 災害廃棄物の焼却灰について、埋立基準8,000ベクレルを超えた場合に、県民にどう説明し、その焼却灰についてどのように処理すべきか、見解を示されたい。

(回答)
 ガイドラインでは、災害廃棄物の受入れ前に、災害廃棄物の焼却灰の放射性物質濃度が8,000Bq/kgを超えないように十分に安全側の仮定を置いて評価する方法と、搬出側での確認方法を定めており、これらを踏まえた評価等を行えば、受入側で焼却灰8,000Bq/kgを超えることはないと考えます。
 また、ガイドラインに実測値を掲載しているとおり、例えば宮古市の災害廃棄物を同市の清掃センターで通常ごみに27%混焼した焼却灰(飛灰)濃度で133Bq/kg、大船渡市の災害廃棄物のみをセメントエ場の炉で焼却した焼却灰(飛灰)で905 Bq/kgといった測定結果が得られています。これらの結果からも、災害廃棄物の焼却灰が8,000Bq/kgを超えることはないと考えています。
 なお、放射性セシウム濃度が8,000Bq/kgを超える廃棄物については、「放射性物質汚染対処特措法」に定める指定廃棄物とする予定であり、万=、焼却灰の放射性セシウム濃度が8,000Bq/kgを超えた場合は、国が責任を持って対応します。
(関連)
・ガイドライン「HI 災害廃棄物の焼却処理に関する評価」


質問5 放射性物質のモニタリング
 災害廃棄物を処理する際の保管場所、焼却施設、埋立処分地の周辺環境の安全性を県民に理解してもらうため、放射性物質のモニタリングの実施が不可欠であり、その手法及び判断基準が必要と考えられるが、見解を示されたい

(回答)
 広域処理の対象となる災害廃棄物の放射能濃度は低いので、搬出側での確認が適切に行われれば、受入側での災害廃棄物の処理・再生利用にあたり問題が生じることはないと考えられるため、ガイドラインにおいては、確認的なものとして、受入側でのモニタリングの考え方を整理しました。
 また、放射性物質に汚染されたおそれのある廃棄物の処理に当たってのモニタリングに関する基本的な考え方としては、焼却灰の放射性セシウム濃度が8,000Bq/kgを超える場合、もしくはそれに近い場合(概ね8割以上を目安)においては、焼却施設、並びにこれを一時保管する場所及び埋立処分する管理型最終処分場におけるモニタリングを行う必要があるとの考えを示しています(平成23年8月29日付け環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長通知「一般廃棄物処理施設における放射性物質に汚染されたおそれのある廃棄物の処理につぃて」)。モニタリングを実施する際は、放射性物質汚染対処特措法に基づく施設の維持管理基準が定められるまでの間は、原子力安全委員会による6月3日付け「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響を受けた廃棄物の処理処分等に関する安全確保の当面の考え方について」を参考に、「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量限度等を定める告示(平成13年3月21日経済産業省告示第187号)」で示された濃度限度を目安とすることとしています。

(関連)
・平成23年8月29日付け環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長通知「一般廃棄物処理施設における放射性物質に汚染されたおそれのある廃棄物の処理について」
・ガイドライン「IV 災害廃棄物の広域処理における搬出側での確認方法等」


質問6 災害廃棄物の焼却等に伴う施設管理 .
 災害廃棄物を焼却施設等で処理した場合に、放射性物質等によるバグフィルター等施設そのものへの影響が考えられる。そうした影響を踏まえた、きめ細かな処理方式ごとの運転管理マニュアルが必要と考えられるが、見解を示されたい。

(回答)
 環境省が廃棄物の焼却灰の測定を依頼した16都県の一般廃棄物焼却施設のうち400を超える大半の施設において飛灰から放射性セシウムが検出されていますが、バグフィルター等の設備について特段の影響は報告されていません。
このことから、災害廃棄物を一般廃棄物等と混焼するに当たつては、排ガス処理設備を含め、廃棄物処理法等に基づく既存の運転管理マニュアルに従い適切な運転管理をしていただければ特段の支障はないと考えます。

質問7 焼却施設のタイプ別の安全性確保
 焼却施設には溶融方式など複数の燃焼形式があり、飛灰中の放射性物質の濃縮度合いの違いがあると考えられるため、燃焼形式ごとの実測データ等が必要と考えるが、見解を示されたい。

(回答)
 燃焼形式によつて飛灰の濃縮率が異なることは御指摘のとおりですので、質問1に対する回答でお示ししたとおり、一律の受入基準を定めることは困難と考えます。
 ガイドラインにおける評価は、放射性物質が全量飛灰に移行すると仮定した場合の濃縮率であり、濃縮率が高いストーカ式の焼却炉では、焼却炉に対する飛灰の発生量は3%程度であることから、濃縮率は33.3倍と仮定しています。これは十分に安全側に仮定を置いたものであり、これに沿つて安全性を評価することで特段問題は生じないと考えますが、その他の燃焼形式の焼却施設についても実測データ(投入廃棄物量に対する飛灰発生量)からより高い濃縮率を設定する必要があると判断されれば、ガイドラインの考え方に沿つて濃縮率のみ変更すれば安全性を評価することができます。環境省としても、専門家の知見を提供するなど濃縮率の設定及び評価に当たつては必要な支援をさせていただきます。
 並行して、多くの一般廃棄物焼却施設における実測データが蓄積されつつあるので、参考として焼却形式に応じた濃縮に関する知見を整理したいと考えています

質問8 放射性物質を除去する技術の確立
 災害廃棄物については、放射性物質をできるだけ除去する技術を国を挙げて早急に確立し、その技術を災害廃棄物の処理に活用していく必要があると考えるが、見解を示されたい。

(回答)
 広域処理の対象となる災害廃棄物の処理については、既存の廃棄物処理システムで対応できると考えていますが、除染等に伴つて多量に発生する汚染土壌の処理には、御指摘のような技術開発も必要と考えます。
 なお、高濃度の放射性物質を含む焼却灰等にも適用できる安全で効果的な技術が確立されれば、今後、そのような技術の活用も検討してまいります。


質問9 災害廃棄物の焼却に伴う排出ガスに係る安全性の周知
 災害廃棄物を焼却した場合にt放射性物質は、集塵装置などでほとんど除去されると示されている。
この内容について、県民がより理解できる分かりやすい資料を提供する必要があると考えられるが、安全性に関する周知方法についての見解を示されたい。

(回答)
 焼却処理の排ガスの安全性については、原子力安全委員会の示す考え方により、「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量限度等を定める告示」等で示された濃度限度※を下回ることを確認することが重要とされていますが、
ガイドライン別添2で示されているとおり、焼却灰の放射性セシウム濃度が8,000Bq/kgを超え数万Bq/kg程度となる焼却処理の排ガス実測データでも大半の施設が不検出であり、一部検出されている場合でもこの濃度限度を大きく下回らてぉり、安全に処理できていることが確認されています。
 このようなツトガス処理の安全性を分かりやすく伝える必要があると考えており、冒頭に回答したとおり、一般の方に分かりやすいパンフレットを早急に作成することなどにより、排ガス処理の安全性を含め、広域処理に対する理解の促進に最大限努めて
まいります。また、県民・市民の御理解をいただくため、地方公共団体の説明会等ヘの協力を行つてまいります。
※二月間の平均で、放射性物質ごとにそれぞれの放射性物質ごとに定められた濃度(セシウム134で20Bq/ポ、セシウム137で30Bq/ポ)に対する割合の和が1となる濃度。

(関連)
・ガイドライン「別添2 環境省における放射能測定結果」

質問10 風評被害対策
災害廃棄物の処理を行う焼却施設や埋立処分地の周辺等において、農産物等に対する風評被害の発生も懸念されるが、そうした事態が起きた時の国としての対応についてどうお考えか、見解を示されたい。

(回答)
 農産物等に対する風評被害が発生しないよう、地方公共団体の協力を得ながら、消費者や小売業者をはじめとする各主体に対し広域処理の対象となる災害廃棄物の性状やガイドラインの考え方、そして災害廃棄物の処理に伴って発生する焼却灰の安全な処理方法を丁寧にわかりやすく説明していくため、必要な施策を最大限講じてまいります。
 また、今後、多くの地方公共団体の協力を得て広域処理を広げていくことにより、安心につながる実測データを積み上げ、取りまとめていくことで、風評被害の懸念に対しての説明材料も充実していくものと考えます。

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