余韻が深すぎる舞台。
大階段を使った演出で盛り上がったオープニングのあと、水夫たちがたむろする安酒場プローストに、家出娘マルギットがトランクをもって登場した瞬間、あまりにも可愛らしくてうなってしまいました。客席が納得せざるを得ない、くりんとした小さい顔、輝く瞳、金髪の巻き毛、白いワンピースがお嬢様感にあふれていました。明らかに浮いている感でこの場はマルギットだけが異質な存在。後日シュラック家のパーティーでカールだけが異質な存在として浮きまくるのとは対照的な場面。残酷な無知と無垢な同居するお嬢様。造形美に助けられているとはいえ、ここまでなりきれるとは、あっぱれ。綺咲愛里さん渾身のマルギットでした。
カールが声をかけて、出会ったばかりのカールとマルギットが手のひらを合わせる場面、紅ゆずるさんカールの日焼けした大きな手と愛里さんマルギットの白くて小さな手のバランスがちょうどいい男女感。ライブビューイングの大画面でよくわかりました。手足が長い紅さん、手はこんなにいい感じで男前なんだとあらためてびっくりしました。ほんとにいいコンビ、カールとマルギットとして出会うためにコンビを組んだかのようなお二人。
オンデマンド配信で2017年3月『スカーレット・ピンパーネル』宝塚大劇場終演後インタビューをみると、愛理さん、紅さんの隣にいられるのが嬉しくってたまらない感にあふれています。紅さんちょっと照れ気味?かなっていうぐらい、愛理さんニコニコニコニコ、幸せ感満載の笑顔。紅さんもすごく嬉しそう。お二人とも日々精一杯生きていますと。物語の最後、パーシーとマルグリットが船の上で互いの気持ちを確かめ合って歌う場面が、壮大でほんとに船にいるような感じで、二人の世界ですごく幸せなんだそうです。フィナーレのデュエットダンス、実は衣装がパールとビーズいっぱいついているのでめっちゃ重くて大変、でも見つめ合って踊っている時がいちばん幸せ、この幸せがお客様に伝わるといいなと思いながら踊っています、と紅さん。伝わってますよ、とフォローする七海ひろきさんの姿が千穐楽で、声掠れてしまった紅さんに愛の告白をした姿と重なりました。こんな信頼関係があるからこそのエルベだったのだと再確認。初日大羽根を背負った時もうわけがわからないぐらいものすごく重かったけれど、客席から拍手をもらった時重さを感じなくなりましたと話す紅さん、今からみるとほっぺたふっくらで顔つきも違います。トップスターとしての責任を背負った顔に変わってきているんだなあと思います。この公演中すでに5作で全うしようと決意されていたということですね。(パーシーのアドリブの相手ショーヴランは笑わないという誓いをロベスピエール閣下とたてたとか、ロベスピエールの歌が増えたことで演出も変わっているのに全く違和感を感じさせない小池先生はほんとにすごい、先生みてますかーとパーシーが手を振ったり、ロベスピエールは新しく挿入された歌がすごく好きだと語ったりとか、6分しかないのに盛りだくさんな内容で、すごくあったかい雰囲気なのが伝わってくるいいインタビュー)。
カールとマルギットが出会った翌日、マルギットが連れて行った湖のレストラン以降、味方のいないカールにとって残酷な場面が続くの、ライブビューイングでみていられないほど痛々しくなりませんでした。
****************
第9場 湖のレストラン
カール「お前、どうして俺をこんな場所に連れてきたんだ」
マルギット「私はあなたに美味しい食事をしていただこうと思って」
(フロリアン、ヨゼフ、カウフマン、シュザンヌが出でマルギットを連れ戻そうとすると)、
マルギット「お父さまにだけは私が家を出た理由がわかっているはずです。その理由には眼をつぶってただ帰れと言われても、私は家に帰るわけには参りません」
ヨゼフ「お前は、祭の熱に酔っているのだ!」
マルギット「祭の熱に酔って、私は恋をしたかもしれません! でも、祭の熱に酔って私は家出をしたのではありません!」
フロリアン「不幸はしばらくの時をおいてやって来るのだよ」
シュザンヌ「フロリアンは嫉妬で言っているのではないのよ」
フロリアン「さあ、マルグリット・・・(マルギットの手を引く)」
カール「触るのはやめろい!(揉み合ってフロリアンを殴る)」
カールはジャックナイフを抜き、マルギットを背に庇う格好で、一行と対峙する。
******************
たぶんお金で苦労したことのないマルギットはなんの悪気もなく、その時心の底からそう思ったことを言葉にしているだけになおさらカールにとっては残酷。孤立無援の紅カール、魂で発するひとことひとことが凄まじいエネルギーを持っていました。喉がつぶれるほど気持ちをいれたことに批判の声もあるみたいですがそこまでカールそのものだったからこそ成立したエルベの世界観。最後の最後まで喉がもったことこそすごいと思います。マルギットの「祭の熱に酔って~」をきいたとき、マルギットを抱いていたカールの腕から力がぬけて表情がこわばるところ、ライブビューイングの大画面でよくわかりました。マルギットが無知であるだけに残酷きわまりない場面。それでもカールはマルギットの幸せを願うことを観客は知っている。知っている観客に違和感をもたせない愛理さんマルギット。
フロリアンの出自は、ヨゼフの親友の息子とだけしか脚本には書かれていません。違う出会い方をしていれば親友になれたであろう似た者同士のカールとフロリアン。上流階級の育ちなのにカールの気持ちがわかるフロリアン、もしかしたら例えば『ハンナのお花屋さん』のアベルのように生まれは貧しく施設から養子に入ったなどの背景があるのかなとか想像したくなります。最後カールをさがしに来たマルギットとフロリアンはカールに会ったら何をいうつもりだったのかな、とか観客に想像する余白を残しているところがすごい脚本だと思います。
4月1日の退団公演の先行画像が発表されて、新年号よりもインパクトがありました。
こんな個性的な衣装を着こなせるなんてすごい、エルベからの振り幅すごい。
楽しみでもあり、さみしくもあり。
チャイナドレス×メイドカフェ×ミニスカート×ピンク色のエプロンドレス?の愛理さん。
普通の中華風に白い洋服の料理人姿では面白くもなんともないところを遥かに超えた紅さん、かっこいいところもみられるといいな。
まだまだエルベ語りは続きます。
大階段を使った演出で盛り上がったオープニングのあと、水夫たちがたむろする安酒場プローストに、家出娘マルギットがトランクをもって登場した瞬間、あまりにも可愛らしくてうなってしまいました。客席が納得せざるを得ない、くりんとした小さい顔、輝く瞳、金髪の巻き毛、白いワンピースがお嬢様感にあふれていました。明らかに浮いている感でこの場はマルギットだけが異質な存在。後日シュラック家のパーティーでカールだけが異質な存在として浮きまくるのとは対照的な場面。残酷な無知と無垢な同居するお嬢様。造形美に助けられているとはいえ、ここまでなりきれるとは、あっぱれ。綺咲愛里さん渾身のマルギットでした。
カールが声をかけて、出会ったばかりのカールとマルギットが手のひらを合わせる場面、紅ゆずるさんカールの日焼けした大きな手と愛里さんマルギットの白くて小さな手のバランスがちょうどいい男女感。ライブビューイングの大画面でよくわかりました。手足が長い紅さん、手はこんなにいい感じで男前なんだとあらためてびっくりしました。ほんとにいいコンビ、カールとマルギットとして出会うためにコンビを組んだかのようなお二人。
オンデマンド配信で2017年3月『スカーレット・ピンパーネル』宝塚大劇場終演後インタビューをみると、愛理さん、紅さんの隣にいられるのが嬉しくってたまらない感にあふれています。紅さんちょっと照れ気味?かなっていうぐらい、愛理さんニコニコニコニコ、幸せ感満載の笑顔。紅さんもすごく嬉しそう。お二人とも日々精一杯生きていますと。物語の最後、パーシーとマルグリットが船の上で互いの気持ちを確かめ合って歌う場面が、壮大でほんとに船にいるような感じで、二人の世界ですごく幸せなんだそうです。フィナーレのデュエットダンス、実は衣装がパールとビーズいっぱいついているのでめっちゃ重くて大変、でも見つめ合って踊っている時がいちばん幸せ、この幸せがお客様に伝わるといいなと思いながら踊っています、と紅さん。伝わってますよ、とフォローする七海ひろきさんの姿が千穐楽で、声掠れてしまった紅さんに愛の告白をした姿と重なりました。こんな信頼関係があるからこそのエルベだったのだと再確認。初日大羽根を背負った時もうわけがわからないぐらいものすごく重かったけれど、客席から拍手をもらった時重さを感じなくなりましたと話す紅さん、今からみるとほっぺたふっくらで顔つきも違います。トップスターとしての責任を背負った顔に変わってきているんだなあと思います。この公演中すでに5作で全うしようと決意されていたということですね。(パーシーのアドリブの相手ショーヴランは笑わないという誓いをロベスピエール閣下とたてたとか、ロベスピエールの歌が増えたことで演出も変わっているのに全く違和感を感じさせない小池先生はほんとにすごい、先生みてますかーとパーシーが手を振ったり、ロベスピエールは新しく挿入された歌がすごく好きだと語ったりとか、6分しかないのに盛りだくさんな内容で、すごくあったかい雰囲気なのが伝わってくるいいインタビュー)。
カールとマルギットが出会った翌日、マルギットが連れて行った湖のレストラン以降、味方のいないカールにとって残酷な場面が続くの、ライブビューイングでみていられないほど痛々しくなりませんでした。
****************
第9場 湖のレストラン
カール「お前、どうして俺をこんな場所に連れてきたんだ」
マルギット「私はあなたに美味しい食事をしていただこうと思って」
(フロリアン、ヨゼフ、カウフマン、シュザンヌが出でマルギットを連れ戻そうとすると)、
マルギット「お父さまにだけは私が家を出た理由がわかっているはずです。その理由には眼をつぶってただ帰れと言われても、私は家に帰るわけには参りません」
ヨゼフ「お前は、祭の熱に酔っているのだ!」
マルギット「祭の熱に酔って、私は恋をしたかもしれません! でも、祭の熱に酔って私は家出をしたのではありません!」
フロリアン「不幸はしばらくの時をおいてやって来るのだよ」
シュザンヌ「フロリアンは嫉妬で言っているのではないのよ」
フロリアン「さあ、マルグリット・・・(マルギットの手を引く)」
カール「触るのはやめろい!(揉み合ってフロリアンを殴る)」
カールはジャックナイフを抜き、マルギットを背に庇う格好で、一行と対峙する。
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たぶんお金で苦労したことのないマルギットはなんの悪気もなく、その時心の底からそう思ったことを言葉にしているだけになおさらカールにとっては残酷。孤立無援の紅カール、魂で発するひとことひとことが凄まじいエネルギーを持っていました。喉がつぶれるほど気持ちをいれたことに批判の声もあるみたいですがそこまでカールそのものだったからこそ成立したエルベの世界観。最後の最後まで喉がもったことこそすごいと思います。マルギットの「祭の熱に酔って~」をきいたとき、マルギットを抱いていたカールの腕から力がぬけて表情がこわばるところ、ライブビューイングの大画面でよくわかりました。マルギットが無知であるだけに残酷きわまりない場面。それでもカールはマルギットの幸せを願うことを観客は知っている。知っている観客に違和感をもたせない愛理さんマルギット。
フロリアンの出自は、ヨゼフの親友の息子とだけしか脚本には書かれていません。違う出会い方をしていれば親友になれたであろう似た者同士のカールとフロリアン。上流階級の育ちなのにカールの気持ちがわかるフロリアン、もしかしたら例えば『ハンナのお花屋さん』のアベルのように生まれは貧しく施設から養子に入ったなどの背景があるのかなとか想像したくなります。最後カールをさがしに来たマルギットとフロリアンはカールに会ったら何をいうつもりだったのかな、とか観客に想像する余白を残しているところがすごい脚本だと思います。
4月1日の退団公演の先行画像が発表されて、新年号よりもインパクトがありました。
こんな個性的な衣装を着こなせるなんてすごい、エルベからの振り幅すごい。
楽しみでもあり、さみしくもあり。
チャイナドレス×メイドカフェ×ミニスカート×ピンク色のエプロンドレス?の愛理さん。
普通の中華風に白い洋服の料理人姿では面白くもなんともないところを遥かに超えた紅さん、かっこいいところもみられるといいな。
まだまだエルベ語りは続きます。