たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

月組『夢現無双』『クルン・テープ』宝塚大劇場千穐楽ライブビューイング(2)

2019年04月16日 19時13分16秒 | 宝塚
 昨日の余韻冷めやらぬうちに断片的な思い出し日記の続き。指揮は芝居、ショー共に雪組『ファントム』以来の西野淳先生。珠城りょうさん、昨年末のタカラヅカスペシャルで陸上部に入っていたという話をされていたと思いますが、武蔵として銀橋を走るときの走り方がなんとも体育会系なのに可愛かったです。武蔵として目を見開き、沢庵に生まれ変わるのだと髪を切られた時には涙を流し、舞台の上で武蔵の魂を生きていることがライブビューイングならではで伝わってきました。「今の月組でしかできない舞台」と挨拶で繰り返す姿に多くは語ってこなかった心のうちがにじみ出る姿は誠実そのものだと思いました。柳生石舟斎を演じた響れおなさんが退団挨拶で、劇中武蔵を諭して「人は一人では生きられない」という台詞があったことを引用されていましたが、珠城さんも同じく挨拶で引用されていて、沁みるなあと思いました。自分の力で生きているようなつもりでいても、一人でがんばってきているようなつもりでいても、人はみんな人の中で生かされているんですよね。郷里に馴染めず、気がつけば怒りと憎しみばかりでぎすぎすになっているわたし、そんな謙虚な気持ちを忘れてしまっていることに気づかされました。宝塚の舞台を観てなにかを考えようとしなくてもいいですが、一回一回命がけでつとめている舞台に、トップスターさんの人間力に、自ずと考えさせられたりします。自分、まだまだ未熟者だなあと。武蔵のように、人は生きているかぎりずっと心の修業が続いていくものなんでしょうね。ごめんなさい、思いのほか、深くていい舞台だったし、いい千穐楽でした。


 美弥るりかさんの佐々木小次郎、小顔に長い髪がよくお似合い、まなざしも麗しい美剣士ぶりでした。長い剣を鞘から抜いたりまた納めたり、所作と殺陣が大変だったと思いますが美しい仕上がりでした。出番は多くなかったですが役者として強い印象を残されたと思います。



 藤井大介先生演出のショー『クルンテープ‐天使の都‐』、タイの首都バンコクの正式名称とのこと。13年間も働いた大会社で、手取り足取り海外出張精算を手伝っていたので、わたし自身は一度も行ったことがないタイバーツの英語表記と為替レート、いつの間にか覚えてしまっていました。成田空港からバンコクの空港まで飛び、バンコクで乗り換えてそこから先の東南アジア各地へと飛びます。働いている間は絶対に行くもんか!と強く思っていましたが、そろそろ時効、この世にいる間に一度は行ってみたくなりました。藤井先生はタイが大好きだそうで、タイ好きがこうじて宝塚では珍しいタイが舞台のショーとなったとのこと。

 美園さくらちゃんが、男役をしたがえてバンコク風?アレンジのお馴染み「セ・マニフィーク」を歌うという不思議な場面もありましたが、楽曲が変更されたというのはここなのかな、体感時間はやはり短く楽しいショーでした。美園さくらちゃん、歌上手いし、トップお披露目にして堂々たるヒロインぶりで安定していると思いました。好き嫌いが分かれるところはあるかな、きびしいご意見を散見しますが、『雨に唄えば』からの珠城さんとのコンビに違和感なくて似合っていると思うので、負けないでがんばってほしいです。フィナーレのデュエットダンスでは、大階段に坐った燕尾服で腕まくりした珠城さんが、「おいでよ」っていう仕草をしてさくらちゃんは安心してぶつかっていけばいい感じで、すでに信頼関係があるコンビだと思いました。序盤には結婚式の場面もあって、藤井先生の新トップコンビへの祝辞かな。自分こうしてブログを書いていますが、珠城さんとさくらちゃんへの、誹謗中傷的な書き込みをみてしまうとネットもSNSもよし悪しだなと思います。ご本人たちの目に入っていないということはないはず。同じ筆でごひいきをすごく褒めていても褒められたジェンヌさんも哀しいのではないかなと・・・。

 印象的だった珠城さんと美弥るりかさんのデュエットダンス?、プログラムをみると第10場のブーア(蓮の花)という場面でした。「大きな蓮の花のもとに、愛の巡礼ファムラックが現れる。激しく狂おしく官能的に踊る二人。やがてファムラックは眠りに溶けていく。」振付は若央りささん。ファムラック2の美弥さんが溶けるように倒れて眠りにつくとファムラック1の珠城さんも眠るように倒れて溶けていくという、美しい場面でした。そしてセリがさがっていくのをみると宝塚を観ているんだという大満足感。燕尾服を着た美弥さんが一人で歌い踊る場面から(千穐楽では胸に薔薇をつけていました)、大階段の男役群舞、デュエットダンスと振付は安寿ミラさん。さすがの大浦みずきさんDNA。キラキラが一切ない燕尾服にターバンを巻いた男役群舞、シンプルな衣装がダンスの美しさをより際立たせていると思いました。

 美弥さんを送る珠城さんのことば、「みやさん」っていったあと涙で最初言葉がでなかったかな。「二人だからこそできた作品があった」と色々な想いが込められた涙。バッディとスィートハート、ドンとコズモ、それ以前にも数々の作品で素敵な関係性をみせてくれたようですが、美弥さんの方が学年上ですごく細くて中性的な雰囲気があり、珠城さん学年下でがっちり逞しい雰囲気っていうところがなんともツボ。きっと支え、支えられ、すごくお互いを気使いながら築かれていった二人だけの信頼関係があるのだろうなと思いました。

 まだ思い出すことあるような気がしますが、長くなってきたし今はこれぐらいで。


 昨年の『雨に唄えば』と『エリザベート』の思い出し日記、あらためて書きたいと思いながらまだ果たせていません。近いうちに書ければと思います。働いていたときは時間がなくそのままになっています。忙しいという字は、人を亡くすと書きます。忙しい、忙しいは壊れてしまいそうでしたが、このまま社会とのつながりなく無収入でもつらいです。死んだ人たちの荷物を整理したら今度はどこへ行こうかとつらつら思いながら、先は見えずです。明日こそはエネルギー振り絞って郷里に戻って以降できていなかった頭がしびれてきそうなことを整理するため電車に乗って出かけなければ。そのあとまた書類を一通出すかな。家から通えないとわかっていますが、同じ事業体で資格が要件となっている求人がもうひとつあることに今日気がつきました。出すだけ、出すだけ・・・。






東京宝塚劇場千穐楽ライビューイングのチラシ。