http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt234/20080529AS3S2902M29052008.html
政府は29日、中国・四川大地震の被災者支援のため検討していた自衛隊機によるテントや毛布などの救援物資の輸送を見送ることを決めた。中国側が自衛隊機の利用に慎重姿勢を示したため。当面は民間のチャーター機を使い、救援物資を空輸する。30日に正式発表する。
複数の政府関係者によると、中国側から「救援物資の輸送は自衛隊機ではなく民間機を使ってほしい」との要請があったという。政府筋は29日夜、「中国の国防部は前向きだったが、外交部が待ったをかけたのだろう」との見方を示した。
外交部の発表を見る限り、外交部は少なくとも拒否はしていないようだ。
・日本の軍用機による被災地支援、両国国防当局間の協議が必要【和文/人民日報】
http://j.people.com.cn/2008/05/30/jp20080530_88996.html
ただし、外交部のHPhttp://www.fmprc.gov.cn/chn/xwfw/fyrth/t441874.htmには、上に続いて以下のやりとりがのっている。
「中国のネットでは、自衛隊の来華に一部反対している上、マスコミは報道しなていない。これは自衛隊の派遣を断ることを意味しないのか?」
「中国人民は日本政府と人民がくれた同情に感謝している。自衛隊が軍用機で輸送するのは、「関係部門」が協議して決めることだ(後略)」
筆者の読解力では「この件に関して、日本と話進めてるのはウチじゃないから」と言っているように見える。日経のいう「政府筋」とやらの憶測も、全く外れているとも思えない。
実際には、解放軍vs外交部、といった単純な対立ではなく、その中でもさらに複雑な動きがあったのではないだろうか、ただし根拠はない。
はっきりしているのは、中国における90年代以降の民族主義偏向教育による日の丸コンプレックスは、首相や主席がいったり来たりした程度で収まるようなものではなく、むしろ災害復興より優先される程骨がらみになっているという事と。
米露韓の輸送機は受け入れるにも係らず、日の丸が描いてるというだけで拒否することで、中国自身が国際社会に対して、自分の特殊性をあからさまにした。この二点につきる。
空自の輸送機が中国に着陸しすれば、日本の国際貢献姿勢をアピールできるし、中国が断ってくれば中国の特殊性を国際社会にアピールできる。どっちに転んでも、日本は損をすることのない構図だったとはいえ、鮮やかに決まった観がある。
ある意味、地震という他国の弱みに付け込んだ、だが合理的な日本外交の得点ともいえる。
戦後日本の対中外交から見ると、えげつない印象はあるが、もともと外交とはそうしたものである。
初めから狙っていたかどうかは不明。
どうでもいいが、日本の某弱小党が、恥を重ね塗りした事もはっきりしている。