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四生の盲者日記

妄想による愉快な国際時事ネタ解釈

歴史から学ぶということ

2007-01-15 23:14:55 | 雑感
・制海権は国家盛衰の要点であり 中国は海洋にむかわねばらならい(中文、環球日報)
 
「阿片戦争以来今日に至るまで、中国人は制海権の意味を正しく理解しているとはいえない」から始まる寄稿文。随分大上段に振り被るものだが、寄稿者は「北京航空航天大学戦略問題研究センター教授」の肩書きをもつ張文木氏。肩書きを見ても、文章を読んでも『制海権』を正しく理解しているとは思えない。
 筆者の理解として、制海権とは「好きなときにその海を航行できる権利」であり、人間以外に資源をもたない海洋国家において、それは死活問題となる(太平洋戦争において、日本が敗戦した理由を考えてみればよい)。基本的に重要なのは「自由航行権」であり、「制海権」はそれを保証する手段にすぎない。
 この教授が制海権をどのように理解しているか、また大陸国である中国がなぜ制海権を必要だとするのかよく分からない。西-英-米などをイメージして、世界帝国には制海権が必要だと思ったような気配はあり、教授の考える海軍は沿岸海軍の枠は出ていないようだ。
 
 大陸国の場合はまた事情が違ってきて、基本的に輸出入に頼らなければならない事情が、海洋国家ほど切実ではない。ところが、第二帝政ドイツとか帝政ロシアとか戦後のソ連とか、大陸国が国力をつけてくると海軍力を増強する事があり、そうなると海洋国家との間に軋轢が生じたりする。海洋国家側にしてみたら、金持ちの船遊びではなく生活がかかった話なので、歴史を鑑にすると大概戦争になっているようだ。
 
 報道姿勢が極端に民族主義的とはいえ、環球時報は立ち位置的には人民日報の運営している国際問題専門紙であり、決してイエローペーパーではない。その新聞がそれなりの肩書きを持った人間の寄稿文として、当然日米との緊張を高めるような文章を載せるというのは、まあ、その通りの意味なのだろう。

武器禁輸

2007-01-15 23:03:43 | 雑感
・EUの対中武器禁輸措置解除、東アジアの安全保障に影響=安倍首相(日文、ロイター)

 [東京 11日 ロイター] 欧州歴訪中の安倍晋三首相は10日午後(日本時間10日夜)、ドイツのメルケル首相と会談し、欧州連合(EU)の対中武器禁輸措置解除に懸念を表明した。会談後の記者会見で明らかにした。
 安倍首相は、中国の成長は世界にチャンスをもたらすとし、昨年10月の訪中の際、互恵関係を構築したことをメルケル首相に説明した。
 しかし、中国の急速な国防費の増大の透明性の欠如に問題があると指摘。そのうえで「対中武器禁輸措置解除に関して、東アジアの安全保障に及ぼす影響を懸念する」と述べ、あらためて反対する姿勢を示した。
© Reuters 2007. All Rights Reserved.

 上記の内容「中国に武器を売るな」に対する中国の反応。

・対中武器輸出解禁に日本はどう関わっているか(中文、新華網)
http://news.xinhuanet.com/world/2007-01/14/content_5602804.htm

 
「中日関係は最近良好なのに、なぜこんな事を言うのだ」という戸惑いが第一。
「中日関係は新しい出発点にある。日本の指導者は中日関係友好の大局に沿った話をしなければならず、それが中日関係改善と発展に有利である。これに反する言論は人心を得られない」
という、相変わらず偉そうながら、かなり混乱した文章で結んでいる。
「指導者」は原文で「領導人」リーダーとか指導者と訳すべき単語なのだが、首相を指導者と表現していること自体、民主主義を理解できていない証左なのだ。違いをわかっていながら、国内向けに敢えてこういう表現をしているのかと思っていたが、日本も中国と同じような政治体制だと素で考えている、と仮定したほうが彼等の論調は自然に説明できる。
傍証として、以下の調査結果をあげておきたい。
 
・中国人、「影響力は世界で2番」の自負…日米共同調査(日文、読売)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070114i201.htm

 中国人は自ら「中国はアメリカに次ぎ世界で2番目に強い影響力を持ち、10年後はアメリカに追いつく」と信じている――。
 日本、アメリカ、中国、インドの4か国、計6649人を対象に実施した意識調査で、こんな結果が出た。
 調査は国際経済交流財団が米シカゴ地球問題評議会と共同で行った。それによると、中国人の考える影響力のある国は、アメリカに続き自国が2位、3位ロシア、4位欧州連合(EU)で、日本は8位だという。中国の影響力について、日本人は、アメリカ、EU、ロシア、イギリスに続く5位、アメリカ人は3位、インド人は5位と位置づけていた。ただ、アメリカ人も、中国は10年後にアメリカに次いで2番目に強い影響力を持つようになると予測している。
 国際社会で存在感を増す中国に対して、「影響力の増大を抑えるために積極的に動くべきだ」との意見は、日本人で28%、アメリカ人で29%、インド人で23%といずれも3割以下にとどまった。逆に、日本人の72%、アメリカ人の65%、インド人の40%が「友好的な協力関係の構築を進めるべきだ」と、中国の台頭を好機ととらえる人々が多かった。
 ただ、「中国はパートナーか、ライバルか」という問いには、日本人の86%、アメリカ人の49%が「ライバル」と答えており、協調関係の構築は容易ではなさそうだ。
2007年1月14日3時2分  読売新聞)
 
 認識と現実のギャップによる集団ヒステリーの一種といえよう。