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四生の盲者日記

妄想による愉快な国際時事ネタ解釈

妄想と現実

2007-01-12 19:28:29 | 雑感

・中国警察の反テロは世界の関心を集め ”東トル”は哀れな末路をたどる(中文)
http://news.xinhuanet.com/mil/2007-01/11/content_5590361.htm

 5日に公安当局が「東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)」の訓練基地を襲撃、18人を排除、17人を拘束した事件を伝える記事、なのだが。
 9・11で国際社会が目の敵にしているのが「東トル」になっていたり、「「東トル」イスラム運動」という正式な呼称を認識しているにも関わらず(記事の後の方で一度だけこの呼称を使用している)、文中では地域名である「東トル」を使用して意図的にミスリーディングを誘導したり、露骨なプロパガンダ。
 東トルキスタンを「東土耳其斯坦」ではなく「東突」と表記するところに、記者の差別意識が見て取れる。差別意識とは中華思想を裏から見たものに他ならないので、当然といえば当然。

 記事の要点:「東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)」は米国も認めるテロ組織なので、中国の行為は反テロ。

 この記事に関する個人的な感想:ETIMがアルカイダと繋がりがあるのかどうか、果たして公安が襲撃したのがETIMの訓練キャンプなのかどうかさえ不明だが、今回の襲撃で排除、拘束された35人という人数は意外に多い。国内問題であるにも関わらず、人民の差別意識すら煽らなければならない程、中共当局では危機感があると思える。


・8年前「ブラックホークダウン」事件の報復 米空軍ソマリア空襲(中文)
http://news.xinhuanet.com/mil/2007-01/12/content_5595769.htm

 東京新聞でさえ認めているとおり(http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20070110/mng_____kok_____001.shtml)「ソマリア暫定政府の容認のもと米軍が8日から続けている空襲」について、いわゆるブラックホークダウン事件の報復だとする空想記事。
 まず突っ込むべきところは「自分ところの訓練キャンプ襲撃は米国も認める反テロで、米軍のソマリア空襲は報復」というダブスタ。自己正当化には米国を持ち出し返す刀で米軍を非難するという、なんとも節操のなさ。
 次に「米軍が報復」という嘘の上塗り。
 いわゆるブラックホークダウン事件とは米軍(国連軍)とアイディード将軍派との戦闘であり、それに対して今回米軍が空襲しているのはイスラム法廷(に匿われているとされるアルカイダ)なので、報復でもなんでもない別箇の軍事行動と見るしかない。
 それをあくまでも「報復」だといい張るので、事実無根の不思議な文章になってしまっている。暫定政府が米軍の行動を容認していると書いているにも関わらず、行間を読む限り、記者はアメリカvsソマリア戦争的なイメージで今回の軍事行動を捉えているとしか思えない。

 そもそも、資料としてリドリー・スコットの映画のシーンを貼り付けているという点で報道姿勢を疑いたくなる。国際問題という現実そのものを伝えなければならない記事に、フィクションを持ち出すというのはどういう精神構造をしているのだろうか。
「日本は台湾有事介入を狙っている」といいたいためだけに、硫黄島を沖縄近海に移動させてしまった時にも気にはなっていたが、空想と現実の区別が曖昧。むしろ空想が彼等にとって重要になっているようで、病理的に「妄想」と呼んだほうがいいかもしれない。そう考えてみれば、「ダブスタ」も「米軍の報復」だと言い張るのも、同じ症状ではある。
 中国人民の大多数がその日の食事に追われているうちは、日本のインテリ(例えば上記の東京新聞)のようにプロパガンダに載せられる事もなかろうと思っていた、食事以上の現実はない。どうも余裕が出てきたせいか、現実よりも空想が重要な連中が多くなってきているような気もする。


 空想にはつきあいきれないので、多少は現実的な仮想をしたい:
 今回の軍事行動について、空襲の目的は(報復などではなく)アルカイダメンバーの排除にあるとされている。であれば、イスラエル空軍がレバノンで散々学習したとおり、空襲では大雑把過ぎる。最低でも作戦目的を確認するための地上兵力は入れていないといけない。
 逆に、特定の人物の排除の為ならば、経験を積んだ特殊部隊を入れた方が確実だし安上がりである。米軍は実際にその手の軍事行動を手広くおこなっているので、空襲は陽動とも考えられる。